- 怒りマーク(anger sign)エモティコン
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怒った時にこめかみや額に浮かぶ青筋を記号化した、エモティコンの代表的なもの。
見た目としては十字のものとY字のものがある。配置場所はこめかみや額が基本だが、後頭部などでもよく、頭から少し離れていても成立する。
フキダシの中に描かれることも少なくなく、フキダシを頭に見立ててこめかみ位置に描くか、文末に置かれることが多い。
漫画以外でもチャットや掲示板・ブログ、TVのテロップなど口語的な書き方をされる文章の文末に「(怒」と書かれて、この漫符の怒りマークと同様の役割をしている。
絵文字では「#」が怒りマークとして使われる… (#` Д´)
怒りマークは💢と💢の二種類がUnicodeで規定されているほど一般化している漫符である。怒りを堪えている場合は「ピキピキ」とか「ピクピク」とかの音喩とともに使われることが多い。
さらに、堪忍袋の緒が切れた際は「ブチッ」という音喩とともに使われる。青筋、怒筋、ぷんぷんマーク
- イキダシ(sigh mark)ダシ
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ブロッコリーのような丸に長方形のついた図形が口から出ているもの。ため息やほっと息をつく表現。
記号化が進み、口から出ていない使い方も増えている。フキダシはイキダシのバリエーション、あるいはその逆と考える事もできるが、本サイトでは区別する。
- 異時同図
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同じ画面(背景)に、同一キャラが複数存在することで、時間の流れを表現する手法。
インドや中国から輸入された手法のようだが、特に日本の絵巻物に多く見られる手法である。
漫画では直接の異時同図は勿論、連続背景ゴマや、バタ足などにその手法の残滓が見て取れる。マルセル・デュシャン階段を降りる裸体のような全体が細かい時間フレームで描かれる場合、漫画では特に背景を黒くして、スローモーション的表現として利用される。
例えば石森章太郎サイボーグ009の加速装置や川崎のぼる巨人の星の大リーグボールの表現などに典型的に見られる。
残像表現とかストロボ表現などと言われたりする。 - イナズマフラッシュベタフラ>
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雷のような白いラインが、フラッシュとフラッシュの間をつなぐ表現。
所謂「電流が走った」とか「電撃を受けた」という感情が湧くような、衝撃的なシーンを演出する効果背景。
もの凄い精神的衝撃を受けることを「雷に打たれる」というが、その状態のそのまんま表現でもある。カミナリフラッシュ
- イマジナリーライン(imaginary line)
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2体のキャラを通る直線を、イマジナリーライン(想定線)と呼ぶ。
このイマジナリーラインを越えてカットを切り替えると、2キャラの左右位置が入れ替わるため受け手に混乱を与える。
イマジナリーラインを越えてカメラを動かさないという原則(180-degree rule)を守っておけば、カメラが上下左右どう移動しても、ほとんど混乱がない。ただし映像作品と異なり、漫画の場合はキャラの左右位置や向きによる意味付けや、フキダシを読む順によるキャラ位置などの法則が非常に強いため、相対的にイマジナリーラインを守ることの重要度は低い。
フキダシの読み順を合わせるために、イマジナリーラインどころかキャラの立ち位置そのものが一コマで変わることさえあるが、意外に読者は気づかない。イマジナリーラインを越える(破る)事を、漫画業界では「切り返し」と言うことが多いが、映像業界では「切り返し」はカットバックなどを意味するので、それがまたややこしい。
ちなみに(シューティング)ゲーム業界の切り返しは丸っきり違う意味となるし、格闘や運転その他の用語にもあったりするので、使いづらい用語ではある。
そんなわけで、当サイトでは、極力「切り返し」は使わない方針である。 - イラストレータ(illustrator)制作者
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ペンシラーとインカーを兼ねる、主にアメコミ(の中でもグラフィックノベル)の職種。
日本の漫画家はほぼこれに当たるが、漫画家はこれに加えてレタラーも兼ねる。ちなみに、Adobeのドロータイプの作画アプリケーションの名前もIllustratorで、漫画の作画に使用している作家も少なくない。
- イリタッチ
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ペンの線の引き始め。なかなか難しい。私もこれでペンに挫折してロットリングを使うことにした(結局パソコン作画に落ち着いた訳ですが)
サシとも言う。 - イリゴマコマ
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見開き右上のコマで、見開きで最初に「読む」コマ。
メクリ後に最初にくるコマなので、視線が想定しやすくタチキリが使いやすい。
最初のイリゴマは舞台を説明するコマとなることや、ページを開いた後にきちんと視線をそこに集める必要があるため、大きめなことが多い(人は大きな絵に目を引かれる)
また、ヒキゴマのオチ(前のページの決着)を付けるコマでもある。めくりゴマ、あるいは単に「めくり」と呼ばれることもあるが、ヒキゴマもめくりゴマと呼ばれたりして混乱するので、本サイトではめくりゴマは使用しない。
左ページの右上のコマも、性質は弱くなるが同様の機能があり、イリゴマと呼ぶ場合もある。
- イルミ(illumination)背景
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電飾のように光がきらきら光った効果。グリッター(glitter)とも。
演出効果なので、側に明かりがあろうがなかろうが描かれる。美形のキャラの登場シーンなど、とにかく、画面を華やかにしたい場面に使われる効果背景。
アニメの技法で言うならクロスフィルター。 - インカー(inker)制作者
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実際に印刷される絵を描く人。アメコミ特有の職種。
インカーの善し悪しで、絵の善し悪しが決定する。極めて重要なポジション。
読者の目に届いている絵は、インカーが描いている。
アニメで言うと「動画マン」に近い仕事。赤本漫画のような昔の低価格漫画の、ガリ版に線をトレスするトレス職人がインカーに近い職種と言える。
このため、1940年代前後の漫画の絵の良し悪しは、漫画家本人よりトレス職人の腕の重要性が高かったりする。
漫画家は絵が上手いのが当たり前だが、トレス職人には明らかに絵のセンスがない人も多かったからだ。 - インク
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紙に線を引くために使われる塗料、漫画では黒が使われる。
製図用インク、墨汁などが漫画でよく使われるインク。
転じて漫画の黒い部分。スミ
- インサートカット(insert cut)