- サイドビューアングル
-
横から見た絵。モノ、特にキャラを横から見た構図。
フルショットで、横長のページを横断するコマが使われると、舞台・絵巻的な印象を与える。
田河水泡のらくろでは基本的な構成として使われた。手塚治虫も比較的多用したアングル。非常に分かりやすいが、平板な印象を与えるアングルでもある。新聞4コマでは多く見られる。
サイドアングル
- サイレント(silent)
-
そもそも音が出ない漫画でサイレントというのもおかしな話だが、フキダシによるセリフも、音喩もない、つまり背景の看板などを除く文字のない漫画がこう呼ばれる。サイレント映画から転用された言葉。
全編がサイレントの場合もあれば、演出効果として一部がサイレントの場合もある。
逆に言えば、漫画というものが普段はいかににぎやかなものかが分かる。また、漫画の時間感覚を司るセリフがないことは、漫画の中に流れる時間を曖昧、あるいは逆に強烈に意識させる。
つまり、サイレントはストップモーション、スローモーションを意識させる。 - ささやきフキダシ(whisper balloon)フキダシ
-
小声で話しているフキダシで、点線で描かれたフキダシを利用し、大抵はセリフのフォントサイズも小さく書かれる。
通常の会話フキダシの形のまま、セリフを小さく書く場合もある。
はにかんだキャラのセリフのように、声が小さいだけでなく震えている場合は、震えフキダシを使ったりもする。
小声を強調するためにヒソヒソといった音喩を添えることも多い。 - サシイリ
- 三角巾漫符
-
通常は三角の布のこと全般を指すが、漫画では額烏帽子のこと。三角頭巾や天冠とも。
額に巻かれ、幽霊であることを示す。キャラ記号の一種であるともいえる。
基本的に日本以外では通用しない。 - 三角目表情目
-
「目を三角にして怒る」のそのまんま表現。
その名の通りに三角で描かれることもあるが、多くの場合は楕円の上部を斜めにカットして、目がつり上がっているように見せる。
瞳が描かれない白目であることが多い。 - 3の口表情口
-
3の形をした口。
むくれた様子、口づけをしようとする様子、口笛を吹く様子など、口を尖らしていることを表す記号表現。
常時この口の形をしたキャラもいる。絵文字だとこんな感じ。(' 3 ')
- 3の目表情目
-
3の字状に描かれた、メガネを取った時に周りがよく見えていない状態を示すという、かなり限定的な状態を示す目。しょぼ目。
藤子不二雄ドラえもんの、のび太がメガネを取った状態が有名な表現で、多くはパロディ的に使われたが、あまりに良く使われるので、もはや一般的なギャグっぽい表現の一つとなっている。絵文字だとこんな感じ。(3_3)
- 残像(afterimage)異時同図
-
残像は直前に見た映像が時間経過後も同じ位置に見られる実際にある現象だが、それを複数の図像を描くことで二次元の平面上に表現したもの。
古くは石山寺縁起絵巻の薙刀などの表現に見られる。オバケ、残像線
- 残像線(afterimage line)効果線
-
主にバトルシーンで剣や拳の軌跡を太い帯で表現したもの。大抵は白い帯。
アニメのオバケと似ている。もちろんアニメと漫画である時点で同じ効果など存在していないわけだが。
大友克洋AKIRAのテールランプの残像表現も、残像線の一種。
ハイライトが伸びることも多く、目の光が残像を残す表現も見られる。ゲーム(特に格闘)では当たり判定や動きを分かりやすくするためと画面を派手にする目的で、残像線のような半透明の帯がよく使われる。
ちなみにエロ漫画でよく使われる、乳首の残像をトーンで描いたのは、奥浩哉が最初との話。 - 三点リーダ(ellipsis)約物
-
「…」のこと。主にセリフの最後に書かれる約物。
単体でフキダシに書かれることも多い。
漫符として使い、アセと組み合わせて、頭の付近に現れ、声もでないほどの呆れを表すことも多い。
このように単体で使われる場合は沈黙を表す。無言なら不要という訳ではなく点の数で時間経過を表現している。
そもそも、三点リーダ入りのフキダシがないと、絵を見ずに飛ばしてしまう読者も多い。
「…!」や「…?」のように使うと、気づいたり疑問に思うまでに時間が経過したことになる。ダッシュ(ダーシ)「—」(特に倍角)も、セリフの最後に置かれ、三点リーダと同じ役割をするが、音引き「−」と区別がつきにくいこともあって、三点リーダほどは使われない。また、セリフ以外の場所で漫符として使われることは殆どない。
2回以上重ねて点を打つことも珍しくないが、小説と比べると単体で使われるケースも多い。
とにかく文字数を減らすことが求められる漫画では、そこから先の言いたいことは大体分かるでしょ、と読者に委ねちゃえる便利な記号なので多用される。描き文字の場合は、「 ! 」のようにも見える微妙な描き方で、多様な意味を内包した記号として使われたりもする。