ナミダエモティコン
涙は飛ぶものではないが漫画では良く飛ぶ

 涙などは写実的に描かれているようでも、かなりオーバーに誇張されていて、実際のその多くは漫符と言える。
 例えばキャラは横に倒れているのに、頬を伝う涙が下に流れず、顎の方向に流れていることで分かる。

 大泣きしている場合は目から点線状に放物線を描いて噴き出し、さらに大げさになると滝のように噴出する。
 驚いている、あるいは怖がっている場合は目尻に一粒描かれる。
 振り向きつつ目から涙が振り向きの動きの軌跡のように溢れ出すのは、悔しさや気絶しそうなことを表現したギャグ表現の定番。

 川崎のぼるのナミダは粘着質でさらさらしておらず波打って頬を伝う。いなかっぺ大将に至ってはアメリカンクラッカーのように硬質化している。

 絵文字にもよく使われバリエーションも豊富…(T_T)、(;_;)

波目

波口(なみくち)表情
民子さん危機一髪

 波線で描かれた口で、混乱(パニック)していることを示す。
「あわわ」といったセリフとも音喩ともつかない言葉とともに使われることが多い。
 コミカルで可愛い印象があるので、例えば読者を怖がらせるより、怖いと思っているキャラを見せて、読者を楽しませるために使われる。

 開いた口ではなく、閉じた口が波打っている場合は、酸っぱいものを食べた、足が痺れたなど、軽めの刺激をがまんしている様子を示す。
 藤子不二雄作品に良く出る小池さん(初期は小池さんの家に下宿している鈴木さん)は常に波口のキャラで、独特の雰囲気を醸し出している。

 ちなみに、焼き物の器の縁が波打っているものも波口と呼ばれるが、漫画とは全然関係ない。

波目ヨダレ

波線(なみせん)(wavy line)線種

 〜のように、蛇行した線のこと。モノや声が揺れ、あるいは震えていることを示す。
 はせんと読むこともあるが、破線と区別がつかないので、ここではなみせんを採用する。
 通常は対象の周りに波線が描かれるが、キャラや文字自体を波線で描くこともある。
 波ダッシュ「〜」は音引き「−」の滑稽な雰囲気のもの。

 また、コマ間を波線にすると、グラフの省略線「≈」のような印象を与え、同時刻の出来事だけど距離が離れている、という意味を持つ。

破線

ユゲユゲダシ震え線震えフキダシ波口波目ニョロしびれ線

波目(なみめ)表情

 波線で描かれた目で、涙目になっていることを大げさにしたもの。
 びっくり、安心、怒り、恐怖など、感情が高ぶったとき全般に使われる。
 リアルな描写がなされる漫画では、波目のように輪郭が波打つ代わりに、目の中のハイライトなどが波線で描かれ、涙目(うるうる瞳)を表現する。

波口

なめる

 手前に何かを置いた構図。とりあえず画面を印象づけることができる。
 TVでは、花瓶をなめて対談を行う2人を撮るなどが定番。
 ただし、多用すると逆に安っぽくなってしまうので注意が必要。

 漫画ではないが、建物の間から巨大な被写体(怪獣など)を捉える、実相寺アングルが有名。電線があるとなお良い。
 桂正和ヴォーグマンや、アニメ新世紀エヴァンゲリオンなどでオマージュとして使われている。特撮好きがやってみたくなる構図ナンバーワンと言っても過言ではない。

縄網(なわあみ)ヘビナワ
ナレーション(narration)セリフ
嫌いな動物と好きな食べ物メソッド(c)藤子不二雄

 状況を説明する、画面に登場しないキャラによるセリフ
 シッポのない四角や巻物状のフキダシ(プレート)、あるいは地に直接書かれる(字幕)。

 ナレーションはコマからはみ出すことが多い。そうする事で、コマの内部との距離をもった冷静な視点を感じさせる。

 松本零士の一連の作品の巻物状のナレーションや、さくらももこちびまる子ちゃんのツッコミ型ナレーションが代表的なもの。
 多用すると説明臭くなり、漫画の特性を殺してしまう。
 高橋留美子境界のRINNEでは「なのだ!」と断言し、ナレーションにしては珍しくギザギザの破裂フキダシを使って自信満々感を演出し、逆に説明臭くすることでギャグにしている。

キャプションダイアローグモノローグ