- ダイアローグ(dialogue)セリフ
-
キャラの発する会話の言葉。通常フキダシの中に、手書きではなく写植によって書かれる。
声で判別できるアニメで、漫画と同じようなセリフ回しを行うと、過剰な装飾となることも。会話だけで話が進むと、バストアップ中心の退屈な画面になりがち。特に推理漫画で陥りやすいので、構図などを工夫して飽きさせないようにしてある。
ゆうきまさみ機動警察パトレイバーの中に、後藤隊長と内海課長(ウォン)が電話で延々会話するというシーンがあるが、退屈しないように様々な工夫が凝らされている。ある種の漫画の到達点と言える。 - 太陽フラッシュ効果背景
-
フラッシュ表現の一種で、短く細い線を、放射状にまばらに描いたもの。
笑顔とともに用い、明るい雰囲気を演出する。
勿論、太陽そのものの周りに描き、太陽の暖かさを表現するのにも使う。
細切れの線を円周上に列べ、それを何重にも重ねるという描き方や、楕円を放射状にまばらに並べるという描き方もある。「ぱあぁぁぁ」とか「にぱぁ」とかの音喩とともに使われる。
- 多角形フキダシ会話フキダシ
- 〜ダシ漫符
-
楕円に四角か三角のシッポがついた図形につく語尾。気体が吹き出すイメージとして様々な場面に使われる。
=3のようなブロッコリー状のものも同様。
漫符としては、古典的なものに属する。田河水泡のらくろで多用され、それまでの漫画とは一線を画す斬新な表現として、一世を風靡した。
ちなみに、会話フキダシを現在のような曲線にしたのも田河水泡らしい。
それ以前は直線の組み合わせが主流だった。 - 叩き(Patting)技法
-
「ティッシュを丸めてガーゼで包んで口を縛ってから、インクを軽く付けて原稿をぽんぽん叩く」略してガーゼポンポンとも言われる。スタンプの一種。
カケアミともトーンともひと味違う、怖い場面や油っぽい煙に向いた模様(texture)が付く。ガーゼの他にも指(指紋)やタバコのフィルターを押し付けるなど、色々と味わい深い模様が出るような工夫がなされている。
この手の技を使う場合は、マスキングシートやマスキングテープなどでしっかり汚したくない絵を保護しておく。
デジタルの場合でも、レイヤーを変えるとかマスキングを行うなどの同様の保護は必要。パッティング
- タタキダシダシ
-
衝撃のあった部分を中心に放射状に描かれる、楕円に長方形を組み合わせたものやプロッコリー型の記号。
形は異なるが、ホシはタタキダシのバリエーションの一つとしても使われる。 - タチキリコマ
-
ノド以外のページの端。
転じて、外枠まで描かれたコマ。ページの下(地)側のタチキリをタチオトシと言うこともある。
ページ左右方向へのタチキリは、岸本斉史が好んで使う手法で独特の視線誘導効果を持っている。
この横向き(小口方向)のタチキリは、開放された印象を与え、コマの外の空間を想像させる。
浦沢直樹はかなりの率でイリゴマとヒキゴマ(ページの最初と最後のコマ)でタチキリを使い、メクリのつながりをスムースにしている。
- タチキリ線
-
それより外に描くとタチキリになることを示す枠。要するにその内側が印刷される。
印刷したり、本を裁断する際に多少ズレがあるので、目安としての線にしかならない。
そこで、タチキリを描く場合は、この仕上がり線にぴっちり合わせるのではなく、余裕を持たせて少しはみ出して外枠まで描く必要がある。仕上がり線
- タッチ(touch)
-
線に強弱(太細)をつけること。線種は色々あるがタッチは主に実線につける。
また、短い線で質感を表現すること。タッチをつける。タッチを入れる。
転じて、絵柄を指す場合もある。なお、あだち充タッチは、このタッチとはまったく関係ない。
羽衣翔はこのタッチをつけるためにロットリングで「線の輪郭」を描いて中を塗りつぶすという手間のかかることをやっている。羽衣翔に限らず、タッチをペンの線引き一発で出さずに、カリカリと太さの強弱を調節する描画法は珍しくない。 - 炭団目目
-
炭団のように黒くて丸いベタ一色の目。
とはいえ炭団が何かわからない人が多いと思うが、木炭や石炭を糊で黒く丸めた調理・暖房用の燃料。施川ユウキサナギさんの目は典型的な炭団目である。
- ダメージ漫符(damage emanata)
- タレ線
- タレ線フキダシフキダシ
-
縦に引いた線で囲んだフキダシ。
モノローグであると同時に、どんよりとした気持ちも表す。 - 段(strip)
-
ページを横に貫いた直線の間白によって分けられるコマの集合。言わばコマで作られる行。
1段3コマが基本とされる。 - 段間(horizontal gutter)間白
-
段と段の間にある横の間白を、特に段間と言う。
多くの場合、縦の間白に比べて幅が広く取られ、ページの横方向を貫いていることで、読者の視線を自然に誘導する。特殊な談の組み方として、見開きに渡る段間を大きく取ってページの上下が分割することにより、まず(幅広の)段間上部の見開きを読み、その後下の見開きを読むという流れになる。
通常の組み方より横方向の視線の動きが強調され、映像のパンに似た効果を含む、独特の緊張感を与える。
この手法は、柴田ヨクサルハチワンダイバーなどで使われている他、唐沢なをきカスミ伝などでは、上と下で別の場所の話が同時進行する、といった使い方もされている。 - タンコブダメージ漫符
-
打撲によってできた瘤を戯画化したもの。
漫画の中のタンコブは、餅のように景気よく膨らむ。
より強調したい場合は、雪だるまのように2段重ね3段重ねで描かれる。古典的だが、ユーモラスで分かりやすいこともあって、残り続けている漫符。