同一化(identification)

 キャラの視点と、読者の視点を合わせること。

  • 直前に、指差しなどを行って視点キャラが視線を向ける演技が入る(モンタージュ手法の一種)
  • 同じコマの中に、視点キャラの横顔や後頭部が描かれる(身体離脱ショット)。
  • カットインで視点キャラが描かれる。
  • キャラの持物や手が、キャラ視点から描かれる(インベントリーPOV)
  • 直前の視点キャラの姿勢に合わせてコマや絵に角度をつける。
  • 望遠鏡などで視点キャラが「のぞき」を行ったことを示すフレームを絵につける(アイリスショット的手法)
  • 画面のキャラが視点にキャラの目がある前提の動作(読者に向けての指差しなど)を行っている。

 などなどの様々な方法で、キャラと読者の視点の同一化が図られる。

主観ショットキャラ目線

動線(motion line)効果線
オレはおならで空を飛べるぜ!(c)キン肉マン
猫の足の所にあるのが動線

 動きを表現するための線で、動きの軌跡にそって描かれる。風の表現が線でされるように、空気の動きを線で示したものとも考えられる。
 ポーズだけでは分からない、動作の補助線。
 直前の輪郭を残したり、トーンをずらしたりした残像のようなもので、動きを表現することもある。
 コンピュータ加工が増え、モーションブラーのようなフィルタ効果が使われることも多くなっている。

「ノシ」は動線を使った漫画的な表現。のし、と読んではいけない。顔文字で使われる… (^_^)ノシ

ブレ線震え線

残像線ケリダシ

頭身

 頭を長さの単位として、身長を表したもの。
 例えば身長が頭の8つ分の長さがある場合を、8頭身とする。
 2頭身、3頭身は主にギャグのための頭身。

ちびキャラ

ドクロ(skull)漫符
寛海挑戦す
真のドジっ娘は味見をしない

 主にキャラが毒にやられたことを示す。精神的に毒にやられたことも示す。
 骸骨を記号化した絵で、下に大腿骨を交差させる場合もある。
 キャラの漫符として以外に、毒薬のラベルのシンボルとして使われる。

 また、海賊のシンボル(Jolly Rogerまたはskull and crossbones)でもあり、松本零士キャプテンハーロックのアルカディア号や、尾田栄一郎ONE PIECE麦わら海賊団のゴーイングメリー号の海賊旗に描かれている。

エンジェルリング三角巾死神

独白(どくはく)モノローグ
怒筋(どすじ)怒りマーク
飛ばし(spattering)技法

 インクの飛沫を、筆に息を吹きかける、歯ブラシを網でこする、爪の上に乗せて弾くなど、様々な方法で原稿に飛ばすこと。またそうしてできた絵。
 エアブラシより荒い点を作ることができる。

ホワイト飛ばし

吹き付け叩き

スパッタリング

怒髪天表情

 怒って「怒髪天を衝く」のそのまんま表現。
 肩を怒らせ、体の周囲にオーラを纏わせ、目はつり上がって光り、髪がざわざわと逆立ち、髪の長いキャラの場合、蛇のようにうねうねと描かれる。というのが定番。

 鳥山明ドラゴンボールの、穏やかな心を持ちながらも激しい怒りによって目覚めたスーパーサイヤ人の髪型は、正にこの怒髪天。

トビモノ効果背景

 風に流れるように動線とともに描かれる漫符。雰囲気を表すと同時に、視線誘導効果もある。
 風そのものも、トビモノの一種と言える。
 少女漫画では様々なアイコンや幾何学模様(トーンの切れ端)が飛んで、雰囲気作りをする。

 ちなみに写真(カメラ)の世界では、飛んでいるもの(鳥)を撮影したものがトビモノと呼ばれる。

カレハキラキラシャボンハナビラユキ

トビラ(splash page)

 基本的に全体が1コマになっているページで、タイトルとクレジット(著作者名)が入る。
 1ページ目か2ページ目に登場する事が多い。
 巻頭カラーの場合などは見開きの場合がある。
 雑誌連載時のトビラ絵は単行本には収録されないことも多く、凄くもったいない。

ドルマーク表情
混乱の極み
右目がドルマーク

 $記号。お金に目がくらんだ時に、瞳の中に描かれたり、目から飛び出したりする。
 ¥マークの場合もあるが、対象のお金の単位に関わらず$が使われることが多い。

トーン画材

 透明のシールに、模様が印刷されたもの。
 お手軽に漫画の画面密度を上げることができる。大幅な省力化のための画材。
 コンピュータを使った作画により、この画材の必要性は限りなく低くなっている。
 ただし、絵の手法としてトーンという言葉は残るだろう。
 アニメーションしない絵でも、アニメ絵と呼ばれるように。

スクリーントーン

61番アミテン万線、砂目

スクリーントーン - Wikipedia

トーンワーク技法 | 制作工程

 トーンを使った描画技法。
 ナイフやカッターで切ったり削ったり、砂消しゴムをかけたり、幾重にも貼ったりして、単に貼るだけでは出ない表現を行う。

 基本的に、ベタでできることはトーンでもできる。
 例えば、フラッシュ流線などはインクの代わりにトーンでも行える。

 上記のテクニックの発明者である宮谷(みやや)一彦のトーンワークによる、写真と見まがうような、いやさ写真よりも写真らしい絵が漫画界に革命を起こした。
 萩原一至BASTARD!! -暗黒の破壊神-は、異常に凝ったトーンワークを駆使して作画されるため、雑誌では紙の質が良くなくてつぶれ、単行本ではサイズが小さくてつぶれてしまう。結局自己満足なわけだが、そこが変な魅力になっている。ちなみに完全版だとほぼつぶれない状態で読める。