- オチ
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話の結末。あるいは笑わせどころ。
基本的には4コマ漫画では最後のコマでオチが付く。しかし、最初のコマの「出オチ」、オチを繰り返す「テンドン」、フリだけあってオチがない「スカシ」など、バリエーションは多い。実は今までのことは全部夢でしたという「夢オチ」は、大抵今までの出来事に意味がなかったことになってしまうので、かなり嫌われるオチ。と思ったら、何か証拠品を持ち帰っていて、夢の中の出来事ではなかったと分かる、というオチにすると多少救われるものの、それはそれでありがちとして嫌われる。
ちなみに「やおい」は、「山なしオチなし意味なし」の略とされる。
- オドロ効果背景
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波打つ髪の毛的なものを這わせて、怨念のこもったオドロオドロしい雰囲気を演出する効果背景。少女漫画に多い手法。
キャラを中心として放射状に広がるので、集中線の効果も持つ。
カケアミなどを併用して、執拗に描き込むと、より怨念っぽさが出る。
細めのものはオドロ線、太めになると帯オドロと呼ばれる。オドロオドロしい雰囲気を出すものなら、なんでもオドロと呼ばれがちなので、例のコマとはまったく違う手法のオドロもある。
ブキミ
- オーバーラップ(overlap)
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ふたつのカットが重ね合わされた表現。
カットインとは違い、片方の映像は線画のみなどの半透明なイメージで描かれる。
同一化手法では、キャラの見ている景色にキャラの目を重ねる、といった使い方がされる。
漫画では、空に別れた人物の顔をオーバーラップさせるのは最終回の定番、という共通認識が作家・読者間にある。 - オビ
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単行本の新刊の下に巻かれている紙。アオリが書かれている。
例えば、有名人の推薦の言葉があり、作家本人の名前より推薦人の名前が大きく書かれたり、絶賛!の下に「予定」と書かれたりして、「非常に紛らわしい」感じになっていることが定番のひとつ。
また、キャンペーン中の他の漫画や映画などの広告が入ることもある。
オビの下にある本来の表紙は、絵の重要な部分やタイトルがオビにかからないようにデザインされる。田中圭一神罰のオビの「訴えます!手塚るみ子」は、未来に伝えたい名コピー。
- 帯ゴマコマ
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一つの段が一つのコマで構成されているもの。つまりページの端から端まで届く(横長の)コマ。
川原正敏修羅の門などは帯ゴマが多用され、ほぼ帯ゴマで構成されていると言っても良い。
このような手法は視線の動きを単純にして読みやすくなる他、シネマスコープ的な空間の広がりを感じさせる効果もある。
また、縦スクロールで読むコンピュータ用漫画にも適している。通常のコマ割りの段から繋がった場合、左から右に読ませる場合もある特殊な視線の流れ方をするコマでもある。
羽海野チカハチミツとクローバーなどでは、横書きの文だけをコマの中に置いて、自然に左から右に読ませるようにしつつ視線移動が逆になる言葉を印象づける手法が使われている。
天のコマで使うと文の後ろから視線が入り頭まで行って戻ることになる。また地のコマで使うと読んだ後に既に読んだページの中を視線が通ることになり、どちらも流れが不自然になる。 - 主線ワク線
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キャラの輪郭線など、他と比べて太い線。
校正に使う朱線(訂正のための赤い線)と混同しないように「おもせん」と読むが、「しゅせん」でも間違いではない。
他の背景などの要素との区別をはっきりさせるために、強いタッチで描かれる。 - 折り返しソデ
- オンプ(note)漫符
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楽譜に使われる記号、音符。漫符としてはほとんどの場合八分音符(♪)が使われる。
歌っているフキダシのセリフ末尾に描かれるのが基本的な使い方。
緩やかな震えフキダシの周りに散らすような使い方もある。
あるいは、歌っているキャラの口の辺りから出てきたように描く。
楽器を奏でてている場合には、背景に沢山の音符、あるいは波打った楽譜が描かれるのが定番の手法。歌っていることを示すだけでなく、楽しい雰囲気を表すために、頭の上を中心に出現する。
鼻歌を歌っちゃうような楽しいことがあった、という表現であり、実際鼻歌を歌っているとは限らない。なお庵点「〽」が歌の頭につくことが稀にあるが、あまり認知度は高くない。
- 音喩(onomatope)
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漫画の中での音・動き・感情を表現する文字、オノマトペとも呼ばれる。特に描き文字によるもの。
漫画のサウンドエフェクト(SE)ともいえる音喩は、音を頭の中で発生させる役目を持つので、基本は仮名のみ。
日本の漫画では音だけではなく、動きや雰囲気を表したりするために多用されるため、他言語に翻訳する場合に、縦書き→横書き以上に困難な要素と言われる。擬声語、擬音語、擬態語、擬情語はきっちり分けられるわけではなく、多くの場合はそれぞれの要素が重なっている。
例えば、自慢げな状態に書かれる「ドヤァァ」という音喩は擬態語であり擬情語である。
他にも「かぽーん」は風呂場を表す音喩で、ちょっと分類に困る。
そういう場合は、当サイトでは総称である「音喩」でまとめて説明する。ちなみに、講談社では1960年代まで「擬声語はカタカナ、擬態語はひらがな」のルールがあった。
ルールの理由は不明だが、かなり厳密に守られていた。通常、音喩は絵が描かれている部分に重ねて描かれるが、フキダシの中に描かれることもある。
大友克洋などの作品では、小さい音をフキダシの中に描くことで、音が発生した箇所を明示するような使い方が見られる。音そのものではないので「効果音」は正確な表現ではないが、音喩の意味でよく使われる。
また、音が出せるメディアである、ゲームやアニメの中にも文字として現れることからも、単なる「音の代わり」ではないことが理解できる。荒木飛呂彦、久米田康治などは、新たな音喩の発明、あるいは意外な転用という形で、作品に多くの音喩が現れる作家。