- 効果線
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単純な線を用いた効果背景または効果輪郭で、主に動きを表現するために使われる。
全く何もないところにも出現するが、何かの陰(あるいは陰)などのハーフトーンを表現するための斜線が効果線の役割を果たすこともある。
さらにビルなどの幾何学的な背景が、効果線と同じ効果を持つ場合もある。そのような具象背景を効果線としても使うという手法は、大友克洋童夢などに見ることができる。効果線と呼ばれるのは直線または二次曲線程度の単純な(要するに定規か雲形定規で引けるような)線で、波をうっていたり、さらに複雑な形をしているものは効果線とは呼ばれない。
また線一本ではなく、多数の線の集合によって効果線は成立する。 - 効果背景背景
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風景などの実在の景色を描いた絵ではなく、動きや感情などの様々な雰囲気を伝えるための模様が描かれた背景。
モンタージュの一種とも言える。ある種の心象風景でもある。効果バックあるいは単に効果ともとも言われ、漫画だけでなくアニメでもよく使われる。
- 効果輪郭
- 小口
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タチキリ(断ち口)のうち横側のもの。
- ゴシック体フォント
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見出しに多く使われる、線の太さが均等な書体。
また、アンチゴチのゴチック体のことでもある。 - コテ線漫符
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主に頬に描かれる数本の線。コテコテの表現として使われる線という、定番のアレ程度の意味。
ヒゲなどとも呼ばれるが、もちろん髭が生えているわけではない。
のっぺりしてしまいがちな、人間の頬の部分にアクセントを加え、立体感(的なもの)が出る。
テレ線のように照れて頬が赤らんでいるという訳ではない。蒼穹のファフナーをはじめとする平井久司キャラデザのアニメで多用されている。カラーアニメなので、頬を染めていることを意味していないのは一目瞭然。若くないキャラにも使われている事から、単に間を持たせるための表現と言える。
萌え漫画特有のものと思われがちだが、西岸良平なんかも多用する。顔を縦に伸ばし過ぎて、コテ線なしでは間が持たないのだ。
なおコテ線の発明により以前は多かった、いがらしゆみこキャンディ♡キャンディを代表とするそばかすのヒロインがほぼ絶滅したが、コテ線が飽きられたのか2020年現在は復活している。赤塚不二夫のチビ太などのキャラや、川崎のぼる巨人の星星飛雄馬などは、縦ではなく横向きの線で「小汚いガキ」という印象。これらはコテ線ではない。
前述のテレ線から発生した説や、斜めから見た時の頰の膨らみを表現した線が、正面でも使われるようになり記号化したという説もある。M線、N線、W線、ホホタッチ
- ゴナフォント
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極太のゴシック系書体。
叫びのセリフに使われることが多い。 - コマ(panel)
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コマとは、長方形のコマ枠を基本とする画の構成単位。漢字では「齣」で区切りといった意味。
コマが横に並んで段を構成し、段が列んでページを構成する。
中に描かれる絵やフキダシなどの漫画の構成要素も含めてコマとする。言わば漫画の細胞である。特に少女漫画では、コマはあまりはっきりとした区切りを持たず、幾つものコマが融合して、ページを構成している。
コマ画と呼ばれる挿絵(カット)的な漫画(四角い枠で囲われることが多かったようだ)から、漫画のコマという用語が成立したものと思われる。
- コマ間(vertical gutter)間白
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コマとコマの間にある縦の間白を、特にコマ間と言う。字間のコマ版と言える。
間白そのものを指す場合もあるが、本サイトでは間白とコマ間は区別して使う。
多くの場合、段間(横の間白)に比べて幅が狭く取られ、段の部分で切れることで、読者の視線を自然に誘導する。ハシラのようにページの端ではなく、ページの中に天地を貫いてコマ間が描かれることもあり、その際はページがそこで分割され、一度縦にコマ間の前の並びを読んだ後、コマ間の後の並びを読むという流れになる。この技法は、特に少女漫画に多い。
縦方向の視線の移動が強調され、映像のティルト的な効果を含む、独特の感覚を産む。ページの横方向は縦に比べるとスペースに余裕がないので、極端な太さにすることが難しく、読み手に混乱を招きやすい。
そのため、コマを横には分割せず、上下に長い天地ゴマが使われることも多い。
片側だけでも天地ゴマにしておくと混乱が少ない。この片側だけ天地ゴマにする手法は、鳥山明Dr.スランプのオープニングで頻繁に用いられた。 - コマ漫画ジャンル
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基本的に同じ大きさのコマが連続した6ページ程度までの量の漫画で、多く内容は笑いが占める。
そのため、ストーリー漫画と対となる概念として使われることもある。
1コマや4コマもコマ漫画の一種。 - コマ枠(frame)ワク線
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コマのワク線。コマ線やコマ罫線、コマ罫とも呼ばれる。
コマを細胞とするなら細胞壁にあたる。コマとは枠のことではないので、コマ枠が無くてもコマは成立する。タッチはつけず、均一な太さの直線で描くのが基本で、主線より太めに描かれる。
演出によって破線となったり、フリーハンドの線となったりして漫画の雰囲気作りに貢献する。 - コマ割り(panel layout)制作工程
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ページにコマを割り振ること。ネームのうちコマ構成を作る作業。
また、ページに割り振ってできたコマの構成。
横3コマx縦4段の1ページ12コマを基本として、隣り合うコマをつなげて、数を5〜8コマ程度に調整するのが一般的なところ。グラフィックデザインのグリッドレイアウトに似ている。
アラン・ムーア&デイブ・ギボンズ WATCHMENは、特にグリッドレイアウトを強く意識したスタイリッシュなコマ割り。また映像作品では、スプリット・スクリーンと言われる画面を分割する手法があるが、漫画と違い順番が位置によらず、主に音声によって誘導されることが大きく異なる。多くは同時進行を強調するために導入される。
- コミックストリップ(comic strip)ジャンル
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新聞や雑誌上で連載される、1ページから4ページ程度の漫画。アメリカでは比較的多い形式。
内容としてはキャラを中心としており、多くの人気キャラも産んでいるし、逆に人気キャラがコミックストリップ化されることも珍しくない。
新聞連載の4コマ漫画も含まれるが、これは4コマ漫画として独立して扱われることもある。
現在では、インターネット上に公開しやすい形式として、スコット・アダムスディルバートなど、様々なサイトで見ることができる。
日本では日ペンの美子ちゃんなどの広告漫画が、コミックストリップ的である。 - コメディ漫画(comedy)ジャンル
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ギャグに比べるとストーリーに比重が重く、笑いも爆笑よりも微笑みぐらいを狙った漫画。
ホームコメディとラブコメディが主なジャンル。ほとんど笑いがないものも舞台が家庭、あるいは題材が恋愛であることでこのジャンルに入ることもある。
他にも学園コメディもあるが、多くはホームコメディかラブコメディのどちらかの枠に入る。 - コンテ(continuity)制作工程
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下描きの前に、全体の構成を見るために描く非常にラフな線画。絵コンテと呼ばれることもある。
本サイトでは、アニメなどの映像作品の用語としてコンテを使い、漫画ではネームを使う。ちなみに、映像作品の場合は文字で書かれた字コンテが存在するが、漫画の制作工程で使うことはまずない。
絵コンテ