アイコン(icon)漫符

 記号化された物体(道具・動物・植物など)。
 漫画ではフキダシの中に描かれ、言葉の代わりに何らかのモノを示したり、背景にちりばめてモノが持つ雰囲気を利用した効果背景にしたりする。
 薔薇は代表的なアイコン。
 例えば、フキダシの中にケーキが描かれれば、ケーキを食べたいという意味になる。

 一般的には矢印他の物体以外もアイコンの一種ではあるが、本サイトの漫画文脈では物体のみを指す。

エモティコンフィジコン

アイレベル(eye-level)

 アングルの基準となる人の目の高さ。
 これを下げて描くとアオリ、上にして描くとフカンとなる。
 背景の消失点の位置(水平線)でアイレベルが分かる。このため、消失点の高さそのものをアイレベルと言う場合もある。

 なお、目の高さでカメラを構える事、あるいはその位置のアングルをアイレベルと呼ぶこともある。
 写真好きが絵の説明をすると、こちらの意味で使っている事があるので注意。

アオリ

 アオリ(またはアオリ文)とは、トビラヒキハシラに書かれる煽り文句(キャッチフレーズ)のこと。
 単行本化される際に無くなってしまうことが多く、何か寂しいなと思ったら、このアオリが無くなっていたから、ということもしばしばある。

 逆に単行本化された際は、オビにアオリが付く。
 漫画家や原作者がつけるのではなく、編集者が付けるのが普通ということで、漫画家と編集者の関係を深読みするのに格好の素材でもある。

アオリ(low angle)アングル
迫力が出る角度

 仰角(ぎょうかく)で捉えたアングル。低いアイレベルの絵。
 極端なアオリ角度の顎のラインを上手く描くのは難しいので、顔だけ角度が違ったりしがち。

 動きが大きく見え、スピード感や、ダイナミックな躍動感が出る。
 巨大なものは通常は下から見るしかないので、巨大感を演出するのに向く。
 また、希望、意欲、決意などの、キャラの内面の熱い心情を思わせる構図。
 その反面、多用すると客観性がなくなり、状況が把握しづらくなる。

 また本を読む場合、本に対し斜め下からの視点で読まれる。
 そのため漫画で描かれる構図も、被写体の少し下からの所謂「小津アングル」のアオリ視点が収まりが良いように思われる。

ローアングル、ローポジション、ローポジ、仰瞰、仰角、見上げ

フカン

明かり線フィジコン

 明かりの中心から放射状に引かれる短い線。

気付き線ニコ線消滅線

悪魔(devil)漫符 | キャラ

 悪しき心を示すキャラ化した漫符。
 キャラが例えばお金を拾って警察に届けるかネコババするか葛藤する際に、モノローグの近くに描かれ、天使と戦うのが定番。
 全身が黒く角を生やし耳は尖って、先に矢じりのようなものがついたシッポが生えていて、蝙蝠のような羽がついているのが典型的悪魔の姿。手にはトライデント(三つ又の槍)を持っていることも多い。

 擬娘化のモチーフとしても高い人気がある。

 漫画ではないが、やなせたかしアンパンマンのバイキンマンは、この悪魔のイメージに近い。

天使

死神

アシスタント(assistant)制作者

 漫画家の手伝いをする人。
 小説家と違い、プロ作家で一人で描いているのは稀で、数人のチームで描かれている。
 アシスタントは漫画家のタマゴである場合もあるが、専業アシスタントや、家族が手伝っていたり、独立した漫画家が持ち回りで互いのアシスタントをするなど、形態は様々。
 仕事も細かく別れていて、アシスタントをまとめるチーフアシスタントや、背景、仕上げ、ベタ・ホワイト、トーンワークなど専門のアシスタントがいる場合もある。
 ちなみに漫画を描くことと直接関係ない、ごはん係をメシスタントと言ったりする。
 アシ、アシさん、などとも言う。

アセエモティコン

 かなり写実的な漫画でも描かれる、漫符の代表ともいえる存在。
 汗は実際に流れるので、もとは写実表現ではあるが、漫画のキャラはちょっとしたことで汗をかき、髪の毛の上や服の上など、実際は汗が出る筈のない所にも出る上に、特に動いている訳でもないのに飛び散ったりもする。
 また「滝のような汗」という慣用句のそのまんま表現を多くの作品に散見できる。

ビガガーン
焦り汗。

 汗の漫符では、焦りの意味を加えるために頬や額に描かれる「焦り汗」が代表的なもの。
 気付き線のように、放射状に飛ぶように描かれることもある。
いがらしみきお「ぼのぼの」のアセは、点線のように飛ぶ。

 アニメでも良く見るのは「呆れ汗」だ。
 誰かがおかしな発言・行動をとって、それに呆れているという状態を示す。つまり、弱いツッコミだ。
 焦り汗に比べると非常に大きく描かれることが特徴で、何かを見ての感想という性質上、後頭部に描かれることが多い。
 焦り汗に比べると、より記号化が進んでいて、水滴が空中から出現するような描かれ方が多く、水滴の尖った部分は必ず上に描かれる。

 エロ漫画では、興奮の度合いを示す記号として、蛭子能収の漫画キャラ並みに汗が描かれる。
 とくかくエロシーンで、一筋でも汗が描かれない絵はない、といっても過言ではない(ただし、レディコミは汗控えめ)
 他にも、感情が高まった時には、とにかく汗が出るのが(日本の)漫画キャラの特徴。

 アセはフキダシの中にも描かれ、その位置は文末を基本とするが、特に文末に限ったこともなく、様々な位置に描かれる。
 漫画以外でもチャットや掲示板・ブログ、TVのテロップなど口語的な書き方をされる文章の文末に「(汗」とか「j」と書かれて、この漫符のアセと同様の役割をしている。
 アニメ「きんぎょ注意報」が、積極的に焦り汗や呆れ汗を取り入れたアニメの嚆矢だ。

「;」「j」なんかはアセの表現として顔文字の定番… ('_';)

チノリ

アタリ
アタリかっ!アレはイイものだッ!

 下書きの際に、モノのおおよその位置や形が分かる程度にラフに描かれた線。また、正確な絵を描くために付けられる補助線。
 そのような下書きをすることを「アタリを取る」「アタリをつける」「アタリを入れる」と言う。
 特に顔に引かれた十字の線のことを指す場合もある。

アップ(up)ショット

 対象物をコマいっぱいに描く事。特にキャラの顔をコマいっぱいに捉えたカット
 キャラ(とセリフ)を印象づける事ができる。
 多用すると、場所や状況が良く判らなくなったり、逆に全体の印象が弱くなったりする。

ロング

アトリエ(atelier)

 漫画制作会社の呼び名の一つ。最も有名なのは秋本 治アトリエびーだまだろう。
 漫画家の名前を加え、「○○プロダクション」「○○企画」「○○スタジオ」という社名が多い。

 ちなみに、アトリエという無料のWindows 用漫画制作ソフトがある。

アナ空きチーズ

 扇形柱に穴を開けるとチーズに見える。漫画的表現。
 現実的にはエメンタールチーズがこのような形状をしていて、ネズミがかじって空けたのではなく、製造工程状発生する穴だ。
 アニメ作品トムとジェリーが特に有名で、ネズミといえばアナ空きチーズという漫画的定説を作り上げた。

 逆に言うと、穴をあけないとなかなか見た目でチーズと認識させるのは困難だし、ネズミが特にチーズを好むわけでもない。
 しかしこの漫画表現が強烈であるため、チーズ感を出すために、現実のスナックなどのチーズ製品に穴を開ける加工がしてあったりする。
 漫画で簡単に食物を確定できる表現なので、漫画での登場率は現実のチーズよりも格段に多い。

マンガ肉マンガ盛り

アブク(bubble)フキダシ | コマ
まずっ!

 フキダシのシッポの一種。丸いものが2〜5個(多くは3個)「○o。」のように連なっているもの。フキダシから離れる程小さくなる。アワともよばれる。
 このシッポをしたフキダシは心話フキダシと呼ばれる。

 コマにアブクが付いた場合は、そのコマまで(あるいはそのコマから)キャラの回想や妄想であることを示す。

網掛けカケアミ
アホ毛キャラ記号

 髪の毛全体から独立して、主に上の方に竿状に飛び出た一筋の毛。
 平面で表現される漫画のキャラクタに、立体的印象を与える要素。
 特に感情記号として、動物のシッポのように動く。

 アホ毛は基本敵には細い筋だが、桜場コハルみなみけの三女はクリっぽい毛の塊が感情表現に使われる。
 感情記号という意味では、水島新司ドカベンの岩鬼の口にある二葉はアホ毛の一種と言える。

アホッペキャラ記号
萌え萌えだねっ

 頬の上に描かれるゼリービーンズ状の楕円。
 可愛いことを示す漫符。カラーだとピンクで描かれる。
 テレ線が恒常化したものと考えられる。

ぐるぐるホッペコテ線

アミテン
本物のトーン使ったことないんだけどね

 点(dot)で濃淡を表す手法。網点。
 主にトーンの種類として、以下の二つの単位で表される。
線数(L):1インチあたりの点の個数。
パーセンテージ(%):点の面積比率。0だと、100だと真っ黒。
 例えば、アミテンの代名詞とも言える61番トーンは「60L10%」で表される。

点描61番

網縄ヘビナワ
アメコミ(American Comic)ジャンル

 アメリカで制作された漫画の日本での呼び方。アメリカを舞台にした漫画のことではない。
 日本漫画はアメコミを下敷きにして発展したが、現在はアメコミがMangaの手法を取り入れることも珍しくない。
 日本に比べるとジャンルが極端に偏っている(恋愛漫画などが全くない訳ではない)。
 これは1950年代に漫画排斥運動が起き、自由な表現が難しくなってしまった(業界で自主規制を行なった)ことによるとされる。
 オルタナティブあるいはアンダーグラウンドコミックスというインディーズ(同人誌)による漫画や、日本のMangaの流行により、この傾向は2009年現在解消される傾向にある。

 主に、ドラッグストアなどで雑誌形態で売られたコミックブック(スーパーヒーローが多い)と、新聞や雑誌の中に数コマから1ページ程度で連載されるコミックストリップ(カートゥーンが多い)、そして風刺1コマ漫画としてエディトリアルカートゥーンがあり、それらの間のメディア的関連性(内容や流通など)は大きく異なる。
 この中でアメコミと呼ばれて一番イメージされるのはコミックブック。
 近年はかなり状況が変わり、書店で売られる単行本漫画も増えつつあるが、2009年現在は書店も漫画置き場を決めきれずに持て余している状況のようだ。

 分業体制による制作方法、シリーズを様々な作家が描き継ぐシステム、カラー印刷、雑誌形式の単行本、横書きの文(ページめくりが逆)など、日本とは大きく形態が異なる。
 日本では、原作者漫画家(+アシスタント)程度の工程分割だが、アメリカだとライターペンシラーインカーレタラーカラリストエディター、と細かく工程が分割され、それぞれに専門職が(一人あるいは複数人)いる。

 カートゥーンは別として、アメコミはベタの陰影を使った引き締まった絵柄が多く、デフォルメ・漫符音喩は抑制され写実的な絵や演出で描かれる傾向が強い。これは劇画に影響を与えた手法と言える。

 ちなみに、アメコミと違いイギリスコミックは白黒が多かったが、現在はカラーに移行しているようだ。
 劇画以外でアメコミに近い日本の漫画は、カラー、セリフの多さ、作家が変わって描き続けられることなどから日ペンの美子ちゃんが挙げられる。

バンド・デシネ、マンファ、コミック・ストリップ、エディトリアルカートゥーン

アワ漫符

 意識が朦朧としていることを示す、丸いものが2〜5個(多くは3個)連なっているもの。
 例えば、眠いこと示し、あくびの際に口の側に描かれるのが定番。
 また、酩酊状態を示すために頭の上辺りに描かれることも多い。アブクとも呼ばれる。

ホシエンジェルリング

アングル(angle)

 角度を基準に決められるカット。カメラのない漫画でも、映画用語に沿ってカメラアングルと言われることもある。
 通常はアイレベルを基準にしてどのショットかを分けるが、漫画の場合はキャラをどの角度から描いたかを中心にすることが多い。
 フロントアングル・サイドアングル・バックアングル・トップアングルのように、図面的な角度の場合は○○ビューと呼ばれることも多い。

 漫画の場合は、その絵が紙面の左右天地のどの場所にあるかによって、読者の視線の角度が異なり、収まりの良いアングルもまた異なる。
 例えば天(上)の絵はアオリ(見上げ)のアングルの収まりが、地(下)に比べて若干良い。

アオリサイドビューフカン

アンチゴチ(antique-gothic)フォント

 仮名を「アンチック明朝体」、漢字を「ゴチック体」で写植した漫画独特の書体(フォント)。
 質の低い紙に印刷した際も読みにくくならないように工夫されたもの。記号などの細かい部分の振り分けがどうなっているかは良く判らない。
 パソコン写植の普及や、印刷・製紙技術の普及により、とくにこの書体に拘る必要は無くなってきていて、実際に書体を工夫した漫画は増える傾向にある。

アンチG、アンチゴ