- 放射フキダシフキダシ
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発話者を中心にした2本の線(上だと逆ハの字)で描かれた線によるフキダシ。
多くの場合手書き文字でセリフが書かれる。1コマ漫画に多い。
モノローグでもナレーションでもないことが簡単に分かる。他のフキダシと併用される場合は、背景音に近いセリフ、あるいは独り言となる。ラジオなどの機械から出る声に使われることも多い。
擬音の発生場所を示す、という使われ方もよく見る。
音量が大きい場合、線が重ねられ二重線になり、さらに流線のように多くの線が描かれることもある。絵文字でも、\こんな感じに使われますよ/
- ホシ漫符
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「☆」のこと、エモティコンとフィジコンの性質をもつ漫符。
基本は衝撃を表す。火花からの連想だと思われるが、動線を伴って、衝撃のあった場所を中心に放射状に描かれる。ヒットマークの一種、特にタタキダシのバリエーションといえる。
他に目の中に星がある場合は、「目から火が出る」状態。キャラが何らかの衝撃を受けたことを示す。
まったく同じ表現でも、文脈によって物理的衝撃か精神的衝撃かが異なる。気絶している時に、頭の上で星が回るのはエンジェルリングの弱表現。
星に限らず、気絶している時はヒヨコや天使など、様々なものが回る。
頭の上で小さなものが回っていると、気絶表現であると認識されるので、あらゆるものが回ると言っても過言ではない。
ちなみに、ゲーム(特にカプコン)で多用される表現でもある。フキダシの末尾や、ウィンクした時に目から飛び出す星は、茶目っ気のある楽しげな雰囲気を演出する。例えば「キラッ」との音喩とともに使われる。
単体で使われることが多く、あまり大量に描かれることはない。
ただし、ファンシーな雰囲気を出すためのトビモノとしては沢山背景に飛び、ハートともに人気の有るファンシーアイコン。 - ホシ目玉表情目
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瞳の代わりに星を描く、びっくりしたことの表現。少女漫画のギャグで多く用いられる。多くは目パチ線とともに用いられる。
びっくり目玉では表現がどぎつすぎるので、少女漫画では別の方法がとられたということかと思われる。少女漫画特有の所謂「お星さま目」は、☆が描かれていることは少なく、キラキラや大量のハイライトが星のようだ、という意味での「お星さま目」であり、本項目の内容とは異なる。
- ポーズ
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ジェスチュアにも似ているが、ジェスチュアが意図的に感情を表現するのに比べ、ポーズは感情ではなく静止した体の形全般を指す。
漫画の場合は全て静止画であるため、アップでないキャラは全て何らかのポーズをとっている。
漫画は静止画で動きを見せるために、多くのポーズは決まる一歩直前、あるいは一歩後を描くことになる。その前後を描くことで動きが想像でき、逆に決まった瞬間を描くと動きが止まってしまうからだ。
もちろんミセゴマなどの止まるべきところでは止まっても良い。池上良一などは、主人公の登場シーンのほぼ全てがミセゴマであるため、漫画としての動きに欠けるがカッコいい。
- 炎漫符 | 背景
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燃え上がる○○のそのまんま表現。
目が燃え上がったり、体中燃え上がったりするが、勿論本当に燃えているわけではなく、心が燃えていることを視覚的に表現している。
カミナリと同様に口から火炎放射のように飛び出すこともある。島本和彦の得意とする効果背景でもある。
- 炎目玉表情目
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瞳の代わりに炎を描く、心が熱くなっている(燃え上がっている)ことのそのまんま表現。
極端な表現のわりにギャグではなく、シリアスな場面で用いられることも多い表現。川崎のぼる巨人の星で燃える目が使われ、一般化した。
- ホワイト(white)技法 | 制作工程
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修正液などの白い塗料、またはそれを使って白い部分を描くこと。
はみ出た線を消すなどの修正に使われることもあれば、効果として使われることもある。
切り貼りを行った際の継ぎ目を埋めるためにホワイトを使うこともある。ホワイトは印刷したら単なる白だが、生の原稿を見るとはっきり分かるので、原稿は意外に汚いこともある。
例えば、藤田和日郎の原稿は「物理的に厚くて重い」と言われるほどホワイトによる修正(というかホワイトで描いてる)が多いことで有名。漫画家が瞳の輝きをホワイトと言っている場合があるが、その人がホワイトを使って輝き(ハイライト)を描いているだけで、輝き全般をホワイトと言うわけではない。
- ホワイト飛ばし飛ばし
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ホワイトの飛沫を、筆に息を吹きかける、歯ブラシを網でこする、爪の上に乗せて弾くなど、様々な方法で原稿に飛ばすこと。またそうしてできた絵。
きらきらと星のような効果を与える、効果背景として使われる。
爆発の時の火花や、夜空の星、画面に華やかな印象を与えたい時など、その使用範囲は広い。
仕上げとして緻密に描かれた絵の上に飛ばすので、かなりの緊張をともなう作業かつ、止め時が難しい。島本和彦燃えよペンで、緻密な見開き背景の上のホワイト飛ばしに失敗する場面は、何度読んでも胸が痛む。