- 擬音語(imitation sound,sound effect)音喩
-
音を文字で表したもの。単に擬音とも言う。
漫画では主に、描き文字として表現される。
動物の鳴き声や衝突音が代表的なもの。人の声ではないので、発音できる必要はなく、イメージ優先で様々なものが考案され、単語としても絵としても様々な工夫が凝らされている。
作家毎というより、場面毎に別の擬音があるぐらいのバリエーションがある。
カタカナで書かれることが多い。手塚治虫が漫画で初めて使ったとされる「シーン」は、無音を表す音という、全くおかしな擬音語だ。この擬音自体は小説などで手塚治虫以前から見られる。
田村信から高橋留美子へと継承された「ちゅどーん」は爆発音としても使われるが、むしろ劇的な笑いが発生する場面に爆発イメージの背景と共に使うものとして定型化している。 - 擬娘化キャラ
-
漫画では動物や植物、道具など様々なものが擬人化されるが、その中でも特に少女化したもの。
また、男性を少女化したもの(女体化)も擬娘化の一種。絵本・アニメであるが、やなせたかしアンパンマンのドキンちゃんは、ばい菌の擬娘化と言える。
鈴木次郎まじかる無双天使 突き刺せ!! 呂布子ちゃんなどは、その名の通り、三国志の英傑呂布が女の子だったら…という漫画。
塩崎雄二一騎当千も三国志武将擬娘化漫画と言っていいだろう。少女ではなく少年化した「擬息化」というものは、日丸屋秀和Axis powers ヘタリアが擬息化漫画では最も有名かと思われる。
また、漫画ではないがゲームの刀剣乱舞により、少年化は定着をみたと言えるだろう。 - ギザ歯表情口
-
歯の噛み合わせがギザギザで表現されている歯。サメ歯とも。
狩猟用の罠のトラバサミがイメージとしては近い、ただしトラバサミは必ずしもギザギザの歯を持っているわけではない。やんちゃであったり、凶暴であったりすることを表す。悪魔などの別種族であることの記号の場合もある。
常時ギザ歯であるキャラもいれば、いたずらを企んだり、噛み付いたりする時だけギザ歯になることもある。
リアル寄りの絵柄でもよく使われる。漫画ではないが、任天堂のゲームスーパーマリオシリーズに登場するワンワンが典型的ギザ歯。
- 擬情語音喩
-
感情を文字で表したもの。擬態語に含まれることもあるが、本サイトでは区別する。
例えば、きゅん、ずーん、など。
漫画では主に、描き文字として表現される。歌のスキャット(ルルル、ラララ、ドゥビドゥビ、パパパヤーなどの意味のない音)を思わせる、音楽的言葉でもある。永島慎二、平田弘史などが使い始め、梶原一騎&川崎のぼる巨人の星でメジャー化した「がーん」という擬情語は日常語として一般化している。
なお「がーん」という擬情語は江戸時代にはすでにあったようで、漫画の発明ではない。 - キズ(scar)ダメージ漫符
-
切り傷を戯画化したもので、十字に描かれ、ダメージを表す。
悪ガキの象徴としてキャラ記号にされ、頬に常に描かれることも多い。
ちばてつやハリスの風石田国松をはじめ、多くのキャラに付いている。 - 擬態語音喩
-
動きや状態を文字で表したもの。擬情語を含む場合もあるが、本サイトでは区別する。
例えば、ふらふら、てくてく、ピタッ、など。比較的ひらがなで書かれることが多い。
漫画では主に、描き文字として表現される。女性器が開く「くぱぁ」は、極端に場面が限定されるがエロ漫画では頻出する。
ひらがな表記を、あかざわREDが定着させる前はクパなどとカタカナで書かれる例がある。 - 気付き線漫符
-
何かに気づいたことを示す記号。3本ほど短い線が頭の近くに出たもの。
より衝撃が強いものになると、Σ状のヒットマークになり、気付きの他にびくんと体が動いたことを示したりする。
目の辺りを中心としたベタフラッシュは、より深い部分での気付き、例えば殺人事件の犯人に気付いた、といったものに使われる。
予感や超能力のようなものによる気付きは、さらに横方向に白い線や雷のような線が引かれる。これはアニメ機動戦士ガンダムで使われ、非常に有名になった。
佐藤秀峰ブラックジャックによろしくでは、気付き線のみが小さなフキダシの中に描かれる独特な手法が使われる。大友克洋が小さなフキダシに擬音を書くのと似た、強い方向性を持ちつつも小さな現象といった印象がある。集注線の軽いものでもある。
「ッ」が、気付き線を兼ねていることもある。良くあるのが「クッ」という手書き文字によるセリフ。「Σ」はハッとしたことを示す顔文字の定番…Σ (oдO)
- 機能キャラキャラ
-
脇役の中でも、その職業などの機能さえ満足していればいいキャラ、顔は描かれないか目立たない顔立ちで、セリフもほとんどなく特徴的な言い回しはない。
警官・消防士・看護士・仲居・学生などの職業かそれに準じるものの記号として、その場限り働けば良いキャラ。
2度と登場しない、あるいは2度登場しても同一人物だと判断できない(しなくていい)キャラ。 - 基本枠内枠
- キメゴマコマ
-
一度展開を落ち着かせ、読者の目を引き付けつつ、次への展開を期待させるコマ。
つまり、ミセゴマとヒキゴマが重なったコマと言える。
当然置かれる位置は、ヒキゴマと同じページの最後のコマである場合がほとんど。
あるいは、メクリ後のイリゴマに描かれる。大きいコマにキャラクタのアップが描かれ、決め台詞を叫んでいるというのがパターンのひとつ。
歌舞伎でいう"見得を切る"部分と言っていいだろう。理解しやすく印象的なキメゴマを作るには前後が大事。
例えば、扉を開く(フリ) → 衝撃的な情景(キメ) → 驚愕の表情(ウケ)みたいな感じに展開すると良い。
ただし、毎回馬鹿正直にコレをやると展開がモタつく。 - 疑問符(question mark)約物
-
「 ? 」記号のこと。はてなマーク、クエスチョンマークとも言われる。理解に遠いほど多く出る傾向がある。
セリフの後ろに付くのが基本。
漫符として、疑問が湧いた時に時に頭の上を中心に出現する。
描き文字としても単体、または語尾に付く。
- 疑問符感嘆符約物
-
「 ?! 」という疑問符と感嘆符との組み合わせ。
混乱した状況を表し、縦書きでは特に感嘆符疑問符と区別されないが、こちらは一応理解できている表現。
「どういうこと?…あっ!」という流れを短く表現している。 - ギャグ〜(gag...)
-
ギャグ漫画に限らず笑いを取ることはあり、そのような場面で極端なものをギャグシーンと言う。
また笑い場面のキャラだとギャグキャラ、笑いの場面での顔はギャグ顔となる。
特に日本漫画は、同じキャラでも場面によって大きくキャラデザが変わるのが特徴で、その特徴が良く現れるのがギャグ。
ギャグキャラは大抵頭身が低くなり、線も単純化される。
ギャグ顔は、表情が極端にデフォルメされる。
そして、ふんだんに漫符が使われる。 - ギャグ漫画ジャンル
-
お笑い系の漫画のうち、より非現実的な設定や行動で笑わせるもの。
- キャプション(caption)
-
間白に書き込まれる文章。本来は注釈(あるいは本文)が書き込まれていたが、現在は作者のツッコミや全然関係ない近況報告などが入ることが多い。
逆に士郎正宗などは、本来の使い方通りの注釈が書かれるものの、その量が尋常ではなく、また別の役割を持つに至っている。 - キャラ(character)
-
登場人物(動物etc.)や、その性格を指す言葉。キャラクターの略。
自己同一性を担保されたものは、全てキャラと言っても差し支えない。キャラは人はもちろん生き物である必要もなく、図像である必要すらない。
例えば、さくらももこちびまる子ちゃんのナレーターは、ナレーションの文だけが漫画に存在し、その人物が絵に描かれることはないが、読者は明らかに同じキャラの存在を感じる。自己同一性を持つ故に、漫画のキャラは作品を離れて単体で成立しやすく、キャラ商品として様々な展開がされることも多い。
漫画制作者養成塾である劇画村塾を主催した小池一夫の「漫画とはキャラクターである」という言葉は、漫画におけるキャラの重要性を端的に表したものとして有名。
- キャラ記号(character icon)キャラ
-
キャラを特徴づけるための、キャラデザに盛り込まれる記号。顔・髪型・身体的特徴、服装、所持品を含む。
例えば、魔法使いが箒を持つなどして、キャラの見た目と能力や性格などの、見た目だけでは本来分からないものを結びつける役割も持つ。
高橋留美子めぞん一刻PIYOPIYOエプロンなどは、作品を越えたキャラ記号となった。
萌え要素はキャラ記号のうち萌えに特化したもの。外見に限らず、役割語などもキャラ記号の一種。
- キャラ起ち
-
キャラが自立した個性を獲得すること。つまり他のキャラと異なり印象に残ること。
漫画以外にも通用される言葉だが、特に漫画ではキャラ起ちが重要視され、キャラ毎の区別を付けるべく工夫がなされ、「キャラがかぶらない」ように気をつけられる。
また、キャラの一貫性が崩れる「キャラぶれ」が起きないようにも気をつけられる。
ただしドラマ性を大切にしたい作品で、あまりキャラが起ちすぎると、物語の進行が阻害される要因にもなりかねず、危険な要素でもある。
例えばキャラぶれを極端に嫌うと「まったく成長のないキャラ」になってしまう。最初からキャラデザとして設計されたキャラ起ちもあれば、物語の進行によって獲得されるキャラ起ちもある。
前者は設計されたものだけに「あざとさ」を感じさせることもあり、さらに物語との整合性が出ずにキャラが起っているのではなく、単に「浮いている」状態になることもままある。 - キャラデザ
- キャラ目線
-
キャラから見た印象のこと。
キャラ目線で描かれた絵は、キャラの感覚によって大きく絵柄や効果が変わる。
映像作品などでも良くあるが、かわいい女の子に一目惚れしたときなどは、ソフトフォーカスがかかったり、キラキラが周囲を覆ったりする、アレだ。
例えば、キャラが恋人と一緒に見た風景には、実際はないはずのイルミが大量に現れたりする。ときめいている心境が視点に反映しているからだ。
漫画は手描きが基本なので、どのように印象を操作することも可能で、それが漫画の面白みの一つ。漫画では、キャラ目線の主体(イメージを見ているキャラ)の配置やコマの流れで、キャラ目線であることが示される。
同一化手法を使うことも多いが、キャラ目線は実際の被写体というより、キャラの脳内イメージであると言った方が近く、主体の背後にイメージが出るパターンも多い、
例えば、薔薇をしょった絵は、構図的に同一化された視点であるが、薔薇が突然現れることは現実にはありえない。しかし視点キャラにはそのように見えているのだ。
キャラデザそのものが変わり、キャラデザで誰の視点であるか判別できるということもある。例えば、ティーンのキャラが大人視点からは幼児的に、小学生からは大人に見えるように描き分けられたりする。 - キラキラ
-
- 漫符
菱形を引き延ばして十字に近くした光芒を表す記号。トゲは8程度まで増えることもある。光の広がりを示す円が加えられたりもする。アニメ用語のクロス透過光からクロスと呼ばれることも。
単に光っていることを示す他、モノの上にちりばめられてステキなものを意味する。
目の中に十字のキラキラが入るのが代表的なものだが、殆どありとあらゆるものに付く。
例えば、矢口高雄の漫画では釣り糸がステキなものなので、象徴としてキラキラが付く。 - トビモノ
明るくきらびやかな感じを出すため背景に使われる。上記の形をしている。
イルミは、キラキラの飛ばないバージョン。 - 音喩
輝いている様子を示す擬態語。
安達哲キラキラ!は特にこの項とは関係ない。
- 漫符
- 切り貼り技法
-
主にコマを原稿から切り取って、別の原稿に描いたコマと入れ替えること。
原稿の裏から補修テープなどで止める。
修正液での修正では間に合わない場合に、原稿の一部を張り替えることで対処する手法。コンピュータ作画では問題にならない、アナログ特有の技法。