- 間白(gutter)
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コマとコマの間の空間。柱とも呼ばれるがハシラと混同しやすいので、本サイトでは間白で統一する。
縦の間白(コマ間)は幅が狭く段を跨いだところでずれる。横の間白(段間)は幅が広く、ページを横切る直線になる。これらは段を明確にしコマを追いやすくするための工夫で、基本的には現在どの漫画もこの法則に従っている。多くの場合、間白の広さはコマとコマの間の経過時間を示し、間白がなくなった場合は同時に起きたことと解釈できる(必ずではないが)
他にもコマとコマにまたがる絵(主にキャラ)を描くことによってコマの連続性は増し、それは連続性ではなく同時性に近くなる。
キャラが重なっている部分(コマ)は、全て同時に起きているような印象を与えやすい。キャラがコマを連結することで間白が消滅するからだ。少女漫画では地ゴマを使うことも多く、それに合わせて間白なしの一本線でコマが分けられることも多い。例えば現実の事象と主人公の想いが、同時並行に起きていると解釈できる。
柴田ヨクサルの間白は横幅が極端に狭く、ほぼ密着していると言っても過言ではない。コマとコマの連続性が高く映像的な漫画、あるいはコマの間を読者に想像する隙を与えない漫画であると言える。 - 間白フキダシフキダシ
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ワク線で区切られず、間白と一体化しているフキダシ。
近接したコマとの時間的断絶を短くする効果や、画面に区切り線が増えてごちゃつく事を押さえる効果がある。
単にコマの中にセリフが収まらなかった場合もにも使われる。 - 丸カッコ約物
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セリフの中に( )で括られた部分が現れると、多くの場合それはモノローグを示す。
アブクのシッポがついたフキダシもモノローグを示すが、カッコの場合は一つのフキダシの中でダイアローグとモノローグを混在させることができる。 - 丸ゴシックフォント
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曲線のカーブが円に近い、可愛らしい雰囲気のある書体。
多くは、若い女の子のセリフに使われる。 - 丸ゴマ変形ゴマ
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丸く描かれた変形ゴマ。ルーペあるいは望遠鏡で拡大したような印象があり、実際に画面の一部を拡大した絵が描かれることが多い。
丸という形状自体が集注線のような視線誘導効果を持っているため、少ないスペースで読者の視線を惹くことができる。
またフキダシのシッポと同じものが付いて、どの部分を拡大したかを指し示していることもあるが、この場合はもはや、コマなのかフキダシなのか判然としない。荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険Part6以降で多く目にすることができ、その使い方(バリエーション)もほぼ漫画で使われる全パターンを確認できる。
- 漫画(comic)
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漫画の定義は難しいが、「キャラとセリフを含む、連続した絵」といったところ。
漫画、まんが、マンガ、Manga、萬画(石ノ森章太郎)、MAN画(牧野圭一)など、様々な書かれ方があり、それぞれニュアンスが異なるが、本サイトでは基本的に漫画で統一する。漫画という言葉は古くは北斎漫画という形で出ているが、北沢楽天が漫画という言葉を使うよう主張したことが現在の漫画という言葉の定着の切っ掛けとなったようだ。
漫画の訳語はComic(s)だが、ComicとMangaは、Cartoon(animation)とAnimeが区別されるように区別される。Mangaは日本漫画的手法を使った漫画のこと。
細かく言うと海外では「日本人が描くからMangaであるとする派」と「日本漫画的手法を用いたらMangaとする派」がいて、その議論は激しいらしい。そもそも漫画にしろComicにしろ、滑稽な絵を意味する言葉だが、現在の漫画で笑いを中心としたものの比率はさほど大きくない。
しかし、未だに漫画やアニメの作中で漫画を読んでいるシーンでは、笑うことで漫画に熱中していることが表現され、他の感情が出ることは滅多にない。 - 漫画家制作者
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漫画を描くことを職業としている人。
日本の場合は、一人で印刷前の全行程を担当することを前提としている。
漫画原作者がネームまで描く場合は、原作と絵の担当のどちらを漫画家と言うべきか、それとも両者とも漫画家と呼ぶべきか微妙な感はある。
現状は、絵を仕上げる方が漫画家と呼ばれる。 - マンガ肉
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大腿骨っぽい骨に円筒状の肉がついた食べ物。ざっくり言えば骨付き肉。原始肉と呼ばれることもある。
園山俊二ギャートルズが有名かつ古い。ちなみにギャートルズでは、円形のテーブルのようなマンモス肉の登場の方が多い。
マンガだけでなく(特にカプコンの)コンピュータゲームの中にも回復アイテムの一種として良く出現する。
大食いのキャラの健啖ぶりを表現するための記号として、手に持ってかぶりつき引っ張って肉を引き千切る、という描写とともに使われる。
尾田栄一郎ONE PIECEルフィが典型的。 - マンガ盛り
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茶碗の高さ以上にこんもりと盛ったご飯。山盛り→てんこ盛り→マンガ盛りといったところ。
大食いのキャラの健啖ぶりを表現するための記号として、箸で飲むように大口の中にかき込まれる。その際は頬にご飯粒が幾つも付着するのが定番。
川崎のぼるいなかっぺ大将風大左衛門が典型的。 - 漫景
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見開きワンカットで、パノラマ状に展開された漫画。
沢山の(10〜100程度)のキャラが、てんでに数キャラごとに1ネタ演じている。絵巻物的な群衆絵。
ストーリー漫画に挿入されたり、単体で1コマ漫画になっていたりする。特に初期の手塚治虫が得意とした手法で、ウォーリーを探せをイメージすれば概ね正解。
尾田栄一郎ONE PIECEの見開きで展開される宴会シーンなども、漫景の一種と言っていいだろう。 - 万線
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等間隔に引かれた線。ハーフトーンの表現方法の一種。
まばらな間隔で引かれると、流線などの効果背景となる。
万線は手(ペン)で描かれるのではなく、万線を乗せる範囲を青鉛筆で指定して印刷で表現するか、トーンを貼って表現する。
手描きで入れる技法はハッチングと呼ばれる。藤子不二雄ドラえもんの青い部分に使うのが、主な用途。
- 漫符(emanata)
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漫画特有の記号。特に文字的な使われ方をするもの。
感情、動き、状態、などを表す。相原コージコージ苑の巻末付録漫画の文法で竹熊健太郎が提唱し定着した用語。