漫画の構造学

漫画学(論)者のすなる漫画構成要素の取り出しというものを、とんびもしてみんとするなり

UMLでやってみる

 漫画はどういうモノに分解できるのか。UMLを使って分けてみた。
 UMLをそのままHTML上に書くのは面倒なので、見開きを一番上位(root)のコンテナ(container)として、その下に含まれる要素(element)を、Has-a関係を作ってツリー化した。
 枠で囲われた中に存在しているという平面的な分解ではなく、レイヤーのようなまとまりをイメージして分解しているので、キャラとフキダシのように平面上では分離している要素も包含関係が見られる。

 以上のことはプログラマさんだけ読んで理解してくれれば良いです。
 みんなUMLが分かれば、非常に伝わりやすくなるんですが、私自身も良く判ってないので、読者に期待するのは無茶というものです。

簡略図

 まず簡略図で、概要を掴んでほしい。だいたい、殆どの人に納得してもらえる構造かと思う。

詳細図

 もう少し、特殊な場合も含めて詳細なツリーを作った。このへんになると、異論も色々ありそうだ。
: 集約(母コンテナに0..複数(*)含まれる)
: 合成(母コンテナに0..1含まれる)むしろ属性(property)に近い。

※1 背景音のように、ページのシーン全体に響いている音。

※2 コマがコマに含まれるように見える場合は「重なっている」のであって含まれているのではない、と解釈。さらにぶち抜きのようにキャラが、あるいは音喩やフキダシがコマをまたいで重なることもあるが、それは「枠のないコマ」か「他のコマからはみ出した部分」が重なっていると解釈。ただしこの解釈にあまり意味は無く、コマにコマが含まれているとしても良いし、ページに直接、キャラ・音喩・フキダシが含まれているとしても、複数のコマに渡って含まれているとしても問題は無い。ただ、そのように考えるとこの図が複雑になりすぎる、というだけの話で本質的な問題ではない。

※3 コマ自体が振動する場合など、コマそのものに付くこともある。

※4 多くの場合、背景のフキダシは透明なので存在していないように見える、と解釈。

※5 目の表情、口の表情…(制服、髪型…)と数えると複数だが、それぞれキャラに付きひとつ。あるいは表情(キャラ記号)総体としてひとつ。

※6 通信などキャラが見えていないのにフキダシだけ存在することもあるが、その場合もカットに入っていないだけで、キャラそのものは存在すると考える。

※7 複数のキャラが同時に同じセリフを喋る場合にシッポが複数方向に生えることがあるが、複数のフキダシが重なっていると解釈。また、破裂フキダシのトゲをシッポと解釈すると複数と取れるが、ここではそうは考えない。あと、同じキャラに向けて2本生えていることもあるが、それは1本のシッポのデザインであって2本ではないと考える。

まとめ

 てな感じで分解したわけだが、なかなかに複雑怪奇なものになった。
 しかし、コンピュータ(OS)のUI部品(control)に比べると、インタラクションが無いだけに意外とシンプルですっきりしているとも言える。

 前回の漫画の定義に比べると、わりと役に立つんじゃないかと思う。特にコンピュータ上で漫画を作る際は必見とも言える図となったんではないかと思う。と、自画自賛。
 どーぞセルシスさん、参考にしてやって下さい。ついでにコミスタの最新版下さい。ちょうど今日Mac OS Xの4.0リリース情報が出たことですし!
 Proとまでは言いません、ComicStudioDebut 4.0 for Mac OS Xでいいです。詳細なレビューだって書きますよ。私のレビューは推定2000万円の価値があるよ(しつこい)

 そこで結論。

「かなり頭の中が整理できた。まんぞくまんぞく(c)池波正太郎」