ムービーの役割とは

ムービーを積極的にゲームに活用する方法にはどんなものがあるのか

退屈ですよね、ムービー

ムービーは駄目なのか

 これまで「遠隔操作という感覚」や「映画的ゲームの存在理由」なんかでは、とにかくムービー(動画)はいらない的なことを書いたが、今回は積極的にゲームの面白さの向上に使うことが可能なのかを探る。
 ここでは、ムービーを「プレイヤーの操作を受付けず、事前のプレイヤーの操作が反映されずに進行する動画全般」を指すこととする。つまり、RPGなどのイベントシーン格闘ゲームの技の演出も含まれる。

インターミッション

 まず考えられるのは、インターミッション(息抜き)に使うこと。

 消しものパズル連鎖の演出、面クリアデモ、格闘ゲームの乱舞技、これらが息抜きの代表的なものといえる。
 私の記憶では、ナムコパックマンのデモが、意識的に使った最初のものであると思う。

 特に激しい操作を必要とするアクションゲームでは、適度に息抜きの時間が入っていることが望ましい。
 例えば、コンパイルぷよぷよでは連鎖中は操作を受け付けないのでひと休みできるが、データイーストマジカルドロップや任天堂パネルでポンは、連鎖中も後付け操作ができるので、休む暇がく物凄く疲れる。
 ただ、息抜きとして考えれば、完全に操作を受け付けなくする必要は無い。シューティングゲームボスの前の攻撃停止時間は、強敵の出現を暗示する演出と同時に息抜きとして作用している。
 勿論、ムービーとして完全に操作不能にすることで、息抜き中のミスの不安を取り除く効果はある。

読み込み中の動画

 次に考えられるのは、CDなどのメディアからの読み込み中に、動画を再生することである。
 息抜きの一種とも取れるが、制作者としては、できれば入れたくないのに入ってしまう操作不能時間、ということで区別した。

 その目的は積極的にゲームを面白くするというよりも、極力つまらない時間を作らないという、後ろ向きのものであるが、CDなどのゲームではどうしても1回は発生するものなので、極めて重要とも言える。

 読み込みの多くは場所を移動した際に起きるので、動画も移動を表現したものが望ましい。例えばアトラスプリンセスクラウンのプレイヤーキャラクターが歩く演出や、エニックスドラゴンクエストVII の旅の扉の渦の中を進んでいるような映像、カプコンバイオハザードの扉の開く映像などが望ましい。

 読み込みの演出で更に読み込み時間が伸びては本末転倒だが、移動演出中に読み込みを行わず、「ゲーム中断-読み込み-移動演出-読み込み-ゲーム開始」となるゲームも少なくない。このような無駄な読み込みは避けたい。
 となると、ゲーム中に使用したデータを使いまわすか、極端にメモリに占めるサイズの小さい動画を使うのが良いということになる。プリンセスクラウンは前者、ドラゴンクエストVII は後者である。
 理想的には、そもそもゲームに必要な動画の再生中に読み込むのがよい。そうすれば事実上読み込み時間はなくなる。

状況説明

 文字では伝わりにくい説明を動画を使ってやる。
 これがゲームにおいてもっとも多いムービーの使用法だろうが、一番問題となる使用法でもある。

 まず、ヒントとしてのムービーとの兼ね合いから、プレイヤーキャラはゲーム中に不可能な行動は極力取ってはいけない、プレイヤーがゲーム中に実行可能と思って挑戦しようとしてしまうからだ。

 しかし、多くゲームではゲーム中にプレイヤーのアクションとして用意するのが難しいのでムービーでアクションを行うという側面があり、ムービーで行われた行動をゲーム中に再現することが不可能なことが多い。
 例えばムービーではジャンプで柵を越えているが、ゲーム中ではジャンプボタンは存在せず、当然ジャンプもできない、なんてことが往々にしてある。
 ムービーとゲーム中の画像クオリティが大きく異なっている場合は、割り切りも可能だが、両者のクオリティの差がほとんどない場合、プレイヤーが「絶対できるはず」と思い込むのをとめることはできないだろう。
 逆にゲーム中と比べてクオリティが断然高いムービーで行ったことを、ゲーム中に再現可能だったりすると、脳内でゲーム画面がクオリティアップされる効果が無いではない。

 根本的な問題として、ゲーム中とあまりにクオリティや表現方法の異なるムービーは、違和感しか残さないのではあるが。

ヒント

 アドバタイズ(集客)デモで行われるプレイデモや操作説明の類い。
 そこでムービーのキャラが行っていることをゲーム中に再現すれば、ゲームをプレイする上で有利になるわけだ。
 ムービーの非常に有効な使用方法と言える。
 ただし、これはゲームのプレイ方法の説明であってゲームそのものでは無い、とも言える。
 無いなら無くてもゲームは進行するし、無いとゲームが本質的につまらなくなるという性質のものではない。
 逆にあまり露骨にヒントを出すと、ゲームがつまらなくなる可能性もある。

 エイティングバトルガレッガのサターン版移植は、難易度の高いゲームであるだけに、デモムービーが非常に良くできていたことが、ゲーム全体のクオリティを格段に押し上げていた。

 現在は、インターネットの動画サイトが発達し、ゲームのプレイ動画の投稿・視聴が盛んに行われている。
 これは機能としてはデモと同じ効果があるが、ゲーム制作者が用意したものではないので、その効果は制御されない。
 プレイ動画については、また別に語りたい。

広告目的

 あとは「映画的ゲームの存在理由」でも述べた、見た目でプレイヤーを引き付けるという目的で使用されるムービーだ。まさにアドバタイズ(集客)と言える。
 アーケードでは集客は重要なので、人の目を引くムービーの意味は大きい。
 しかし、家庭用の場合、ゲームそのものが面白ければ、新たにムービーでプレイヤーを引き付ける必要はなく、むしろゲームの邪魔になりかねない。
 集客はTVや雑誌・ポスター広告やパッケージで大いにやってもらいたいが、ゲーム中はゲームで客を離さないようにしてほしいものである。

ご褒美

 脱衣麻雀の脱衣シーンのように、ゲームのクリアのご褒美としてムービーが流れる。という使い方がある。
 息抜きと重なる場合も多く、両者の区別は難しいというより、もう受け手の受けとりかた次第と言える。
 そのムービーを見る事が目的である場合はご褒美となり、そうでない場合は息抜きとなる。

 動画再生が難しかった初期のゲームはともかく、動画再生が特に技術を要するものでもなくなった時点で、動画がご褒美として成立するのは難しくなっている。
 脱衣シーンのようなエロ動画を除くと、もはやゲームプレイの必要がないエンディングぐらいでしか、ご褒美としての動画は成立していない。
 一応、何かを成し遂げたしるしであるトロフィーをより豪華にするような意味で動画が使われる事はある。
 こうなると、静止画・キャラクタの3Dモデル(フィギュア)などと同様な意味でしかなく、動画である必然性はさほど高くはない。

 そこで結論。

ゲームの性質上、ムービーは結局、主役にはなれない