ゲーム密度

絵は奇麗で細かく描いてある、でもつまんない。なんでだろう

ゲーム画面の密度

 一見密度の高い画面でも、プレイしてみるとやけにスカスカした印象を受けることがある。
 これは画面のゲーム密度が低いからだ。
 ゲーム密度とは、面積当たりのゲームとの関わりの度合い、と定義する。今回は時間軸を考えない。

 ここでは、ゲーム密度を以下のものにわけてみた。
 もう少しありそうだが、取り合えずこれだけ。

  1. オブジェクト密度
  2. マップ密度
  3. 文字情報密度
  4. コマンド密度
  5. ヒント密度

オブジェクト密度

ついこういうユーザが喜ばないしかけ思いつくよね
インタラクションも程々に

 オブジェクト密度とは、インタラクション可能な画面上のオブジェクトの数である。
 絵がいくら細かく描いてあっても、プレイヤーがちょっかいを出すことのできるもので無ければ、それは存在していないのと同じである。
 ちょっかいとは、具体的に書けば、近付くと音が出る、そばを通ると動く、調べることができる、そんなこと。

 例えば、戦場の絵があって、倒れた兵士や散乱した武器が描いてあったとしても、調べることも話しかけることもできなければ、持ち上げることも爆弾を爆発させてもふっ飛ぶどころか焦げることすらない。それらが移動の邪魔になるわけでも無い。
 その時、兵士や武器はゲームに存在していない。見えてるだけだ。プレイヤーキャラクターを除けば、オブジェクト密度は0に近い。

 例えば、怒濤のような弾が画面上にばらまかれる、シューティングゲームのケイブ怒首領蜂は、とんでもないオブジェクト密度があるといえる。

マップ密度

シンジ君が歩いてそう
この場合、まず映像密度がない

 オブジェクト密度の一種だが、地面やそのほか行動を制限する障害物をとくに分けてマップ密度とする。
 例えば、画面上に表示されるキャラクターが大きくなると、当然のことだが画面に表示できる範囲は相対的に狭くなる。
 例えば、通路が分かれている訳でもなく、画面の外の上下左右に移動すること以外のことができない、他の通路が見えているわけでもない、そんなマップの実際のデータ量は、画面4方向が壁か移動できるか示す4方向のON/OFFだけなので、いくら何メガバイトも使って絵が描き込んであっても、ゲーム的には4ビットのデータしかないことになる。
 マップの密度でいえば、2D対戦格闘ゲームの多くはナムコパックマンの通路「=」の密度しかない。

 3Dのゲームは、奥行きの要素が加わったのでマップ密度が上がるような気もするが、多くのゲームでは障害物が画面を占領して、むしろマップ密度は低くなっている。
 ウィザードリィタイプのダンジョンなどは、どれも同じ密度のように思えるが、壁がひとマス分の大きさがあるタイプとマスとマスの境界にあり厚みがないタイプがあり、前者は後者に比べマップ密度は断然低い。

文字情報密度

 画面に表示されるスコアやコマンド・メッセージなどの文字情報の多さを、文字情報密度とする。残機などのアイコンも一種の文字情報と考える。

 まず、文字の量が、単純に文字情報密度を上げる。
 そして、単に何も描いてない部分はもちろん、豪華な枠やグラフィックも文字情報密度を下げる。
 それから、文字の面積当たりの意味が文字情報密度を高める。少ない文字数で同じ意味を持っているならば、文字が少ない方が文字情報密度が高い。
 例えば、「じょうほう」と「情報」のように、ひらがなを漢字に書き換えると情報密度が上がることが多い。
 また、色や字体に意味を持たせてある場合も、情報密度が上がる。
 回りくどい文章や、冗長で修辞的な表現は文字情報密度を落とす。

 例えば、エニックスドラゴンクエストの持っている文字情報密度は、他を圧倒している。
 ドラゴンクエストはウインドウを重ねているので、後ろのウインドウは一見隠れて文字情報の意味がなくなっているように見える。しかし直前まで表示されていたものなので、少しだけ見えている文字が後ろに隠れている多くの情報を伝えている。
 残った数文字が、ウインドウの下に隠れている情報を代表しているのだ。
 他にも、ドラゴンクエストはメッセージに使われる文章が厳選されているため、メッセージそのものの持つ情報量もかなり多い。

コマンド密度

 これは、今までの密度全てに関わることであるが、画面に直接あらわれる密度では無い。
 画面に存在しているものに対して、どれだけ多くのアクションが取れるかということだ。

 例えば、アクションゲームでキャラクターの前に岩が落ちているとする、これが背景以外の意味が無いときは、コマンド密度が最低であるといえる。
 岩が移動の障害物になる、攻撃の障害物になる、持ち上げることができる、攻撃して壊せる...etc.。プレイヤーができるアクションが増えるほど、コマンド密度は上がる。

 このへんは「遠隔操作という感覚」で述べたことと重複するので、解説はこの辺で切り上げるが、ゲームの面白さにダイレクトに関連する密度と言える。

ヒント密度

 画面に表示されているものが、ゲーム進行のヒントになっている場合。
 例えば、矢印のような直接的なものから、溶岩を背景に描くことで、熱いものに備えた装備に変えた方がいいことを暗示するとか、草がむしり取られた跡が筋になっていることで、何かが墜落したことを知らせるとか、そのようなことである。
 これは雰囲気を高めるために使われている場合との境界が分かりにくいが、ゲーム進行に関係しないものはヒント密度を上げないと考える。
 ブラフ(ひっかけ)を考えると、境界は存在しないともいえる。

 これは、アドベンチャーゲームの背景で特に重要な密度である。

 一応言っておくと、ゲーム密度は高けりゃいいという性質のものでは無い。
 食べ物の味みたいなもので、丁度いい濃さがある訳だが、濃くする方法が分かってなければ、素材の薄い味のままだったりするし、味を際立たせたりすることもできない。
 そういう薄い味の料理が、冒頭に述べた「やけにスカスカしたゲーム」なのである。

 そこで結論。

意味がある情報がゲーム密度を上げる