テイルズ オブ ゼスティリア

対応機種・周辺機器
PS3、PS4、Windows(1人、戦闘のみ4人まで) HDDインストール必須
ジャンル
情熱が世界を照らすRPG
著作・制作
(c)NBGI (c)藤島康介、いのまたむつみ (PS3版)

基本情報

 テイルズオブシリーズはアニメ風味で戦闘システムが対戦格闘的なアクションゲームとなっているRPG。
 15周年記念のテイルズ オブ エクシリア(以後エクシリア)の後テイルズ オブ エクシリア2(以後エクシリア2)を挟むものの、完全な新規タイトルとしては5年ぶり、つまり20周年記念作品である。
 これほどシリーズに間を開けたことはなかったので、期待と不安の両方が高まるタイトルだ。

 エクシリアはテイルズ オブ ヴェスペリア(以後ヴェスペリア)チームが中心であったのに対し、本作はテイルズ オブ グレイセス(以後グレイセス)チーム主導で作られた雰囲気だ。
 本作開発時は両チームは合流しバンダイナムコスタジオに吸収されているので、どこまで各チームの形が残っていたのかは分からない。

 メイン声優は木村良平、小松未可子、小野大輔という感じで、周辺に永井一郎、子安武人、小山茉美などなど、相変わらずの豪華かつ手堅いキャストだ。
 キャラクタデザインはエクシリアに引き続き、いのまたむつみ、藤島康介のテイルズオブ定番の2人を同時起用した上で、奥村大悟、岩本稔がクレジットされている。
 アニメパートはこれも引き続きufotable。主題歌はSuperflyのWhite Light
 同じくufotable制作のTVスペシャルアニメテイルズ オブ ゼスティリア 〜導師の夜明け〜が発売前に放送され、さらに発売後にTVシリーズテイルズ オブ ゼスティリア ザ クロスが2期放送された。
 なお、TVスペシャルアニメはゲームと同時にディスクに収録されていて(PS3含む)ブルーレイ再生機で鑑賞できる。ただし収録されているのはPS3版のみ。

 基本的にはPS3をターゲットに開発されているが、海外展開の際にPS4版とWindows(Steam)版が追加され、のちに国内でも逆輸入的にPS4版が廉価版の形で発売された。
 本レビューで取り上げているのはPS3版。

キャラクタ

 人間と同じような風貌だが、一般人には見えない精霊みたいな天族(てんぞく)という種族がいる。彼らの非実用的できらびやかな服装は、いのまたむつみの実力が遺憾なく発揮されている。
 そして人類担当が藤島康介というのが大まかな担当分けになっていて、デザイナの有効活用って感じだ。
 人間のうちアリーシャが奥村大悟デザインで、2大キャラデザイナのプレッシャーに負けて(特に髪型など)技巧に走った感じがしないでもないが、なかなか良い感じ。

グラフィック

 基本的にテクスチャやモデルの方向性はエクシリアからあまり変わってない。
 しかしPS3版は処理落ち対策でアンチエイリアスをカットしているようで少々雑な印象だ。
 それでも戦闘では割と盛大に処理落ちするのが悲しいが。

 それより、イベントシーンで歯を常に描いているのが大きな違いに感じた。
 おそらく海外展開を意識して、自動で口と声を合わせる仕組み(リップシンク)を導入しているので顎の関節がちゃんと入っていて、その流れで歯も作ったのではないかと想像する。
 この歯が妙に白いし、日本語らしからぬ口の開き方するし、漫画やアニメなら絶対描かないタイミングでも表示されて気になる。
 エクシリアまでは口の開き方別にモデルを作って声に合わせて人力で設定していた(と思う)のでわりと自然だったが、本作はどうにも人形(パペット)っぽい。
 いまいち設定イラストを再現できていないのも、おそらく歯が顎まわりに影響を与えているのだと思う。

 そして全体的に演技がパッとしない上に、あからさまに棒立ちのシーンが多く、戦闘後の掛け合いもバストアップが多い。
 一般人など通常の街中はもちろんイベントシーンでもビタイチ動かないことが多く、不自然極まりない。
 加えてイベントシーンをチャット(いわゆる立ち絵)形式で済ませてしまうことすらある。
 制作費をケチったというより、職人がいなくなった(魂が消えた)感じがする。

 イベントシーンをセリフごとにボタンで飛ばせるのはUI的には快適だが「ビジュアルで表現してないので文字さえ読めればOK」と宣言していようにも思え、自己否定にも感じる。

人間と天族

 天族は天響術(てんきょうじゅつ)という魔法が使えるなど、ゲームシステムを分かりやすくする設定として機能しているというか、完全にゲームシステムから発想された設定だ。
 ゲームシステムを起点に設定を作ること自体は非常に良いのだが、本作の場合は問題点の方が多い。

 主人公のスレイは天族の村でたった1人の人間で最初から天族が見えるが、他の人間は交流を深めるにつれて声が聞こえたり姿が見えたりするようになる。
 この辺の流れはまどろっこしくはあるものの「仲間になれた!」という雰囲気を強く感じられて効果的だ。
 逆に一般人からは見えないので、プレイヤーは常に特別感と孤独感を持ちながらプレイすることになるのも良い感じ。

 しかし天族は一般人と関わることができないので、移動中に操作できるのはスレイ固定。
 それは残念だと思うもののまだわかるのだが、人間が2人になってもスレイ固定。
 加えて戦闘は人間2人が固定で天族のみ入れ替えできるという、かなり自由度に欠ける仕組みになっている。
 テイルズオブらしさにこだわって、お約束を切れないのがシリーズの悪い面だとは思っているが、流石にこれは「テイルズオブらしくない!」と言いたくなる。

 事実上の透明人間設定なので「天族を操作すれば覗き放題だな」って思うが、ぜんぜんゲーム的に活用しない。
 エニックスドラゴンクエストⅥ的な展開ないんかい。
 本作で見えてないのがゲーム的に活用される場面って、人間との戦闘で天族が狙われないことぐらいではないだろうか。
 他の天族の能力も、シナリオの都合で使ったり使われなかったりする傾向があってやな感じだ。

導師

 本作では、天族を含めた生物が穢れにより凶暴化した憑魔(ひょうま)が主要なモンスターとして登場する。
 天族と交流し憑魔を浄化できる人間は導師(どうし)と呼ばれ、それが主人公スレイである。
 主に高位の憑魔(エリアボス)を倒すと土地を浄化できるという仕組み。
 浄化されてないエリアは黒いカケラが舞い上がるエフェクトがマップ全体にかかっているのも、分かりやすく面白い演出。
 このへんは任天堂ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスやカプコン大神なんかが採用しているシステムに近くゲーム的で分かりやすい。

 さらに浄化後は地の主として天族、その器および人間の管理者を配置して土地を守護できる。
 捧げものをすることや、エリアの魔物を倒して戦闘成績(グレード)を稼ぐことでエリアの守護レベルが上がり、様々な恩恵が得られるようになる。
 また天族の亜種としてノルミン天族という、ぬいぐるみっぽい種族がいて、彼らを発見してエリアに設定すると、敵のレベルが上がるが、ドロップアイテムにノルミンに対応した付加効果がつきやすくなるという特典がある。
 理屈はよくわからないが、敵が弱すぎて戦闘がつまらなくなるという問題をある程度解消する仕組みだ。

 高位の憑魔の捜索・討伐→守護のための天族・器・人間(全部あるいはいずれか)の捜索・配置→捧げものや残存憑魔の駆逐によるエリアの強化。
 という感じの流れを色々とパターンを変えて行うので、分かりやすさと飽きずに行える面白さがある。
 浄化に関しては、テイルズオブで蔑ろにされがちなゲームシステムと世界設定がガッチリ融合していて好感度高い。
 いっそオープンワールド的にして欲しかったと思うほどだ。

話しかけられる仲間

 ドラクエの隊列みたいに、プレイヤーの後ろをパーティキャラがついてくる。
 このキャラに話しかけることでパーティメンバーに自由に話しかけられないという不満がある程度解消された。
 のだが契約した天族は普段は人の中に入ってしまって話しかけられないので、ついてくるのも話しかけられるのも人間1人だけ、操作キャラ固定の理由ともなっている。
 天族にも会話できて着せ替えしたキャラを表示して欲しかったし、フィールドは広いのでスクウェアエニックスドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城のように全員出て欲しかった。

 街の人は頭の上にフキダシマーカーが出ていて話を聴き終わると表示が変わるので新しい話題があるかすぐ分かる。
 しかしパーティキャラの頭にはマーカーがないので、新たな話題があるかどうか一見してわからない。
 通り道をふさいだ場合すり抜け可能だが途中で止まることができ、2人が融合したクリーチャーが出来上がってしまう。
 探索中に近くを通ると(話しかける○)と表示が出るので、何か調べられるものがあったかと勘違いしがち。
 またトラップから無視されたり、扉の向こうに残ったり、エリア切り替え時に消えてしまったり、いまいち実在感がない。

 パーティキャラに話しかけると他の住人と違って選択肢が出て、やりかけのイベントリストみたいな役割をする。
 選択肢がひとつしかない時も選択肢が出るのが面倒くさい。
 逆にやりかけのイベントが増えると選択肢がページ分けされ、これも邪魔くさい。選択するごとに移動シーンに戻ってしまうので連続して話を聞きたいときに煩わしい。
 プレイヤー的に「もうそのイベントやる気ないんだけど」と思ってもずっと出るので、押し付け感がすごい。
 加えて会話という作りなのでイベントの情報としては不足しており「何の話だこれ?」となることもしばしば。
 メインシナリオについては[R2]ボタンを押すと画面右上に次にやることが出てくるので、機能が重複している。
 人間の仲間がいない場合は話しかける相手がいないので、イベントリスト機能がなくなる。

 という感じで、仲間に話しかけられること自体は嬉しいが、なんとも使い勝手の悪い仕上がりになっている。
 エクシリアのイベントリストが非常に良くできていたので、引き続き採用して欲しかった。 

戦闘システム

 弱点・耐性や種族、攻撃手段の三すくみ、異常状態など戦闘中に考えなければいけないことが多く、かと言ってごり押ししようにも効果が高いので無視できない。
 結果として初見の敵には博打で適当な技を出し、うまくいったらしつこくそれを繰り返すというアホみたいなプレイになりがち。
 加えて味方AIもシステムを理解してない馬鹿丸出しで、効果のない攻撃や危険な間合いで、あっという間に自滅していたりして「グレードが落ちるぅぅ…」と嘆いたプレイヤーは多いだろう。

戦闘中の音声

 初見の敵に対してキャラの掛け合い音声での解説が流れるが、戦闘中は聞いたり読んだりしている余裕はないし、前述の通り戦闘システムが複雑すぎて即対処するのも難しい。
 加えてそもそも弱点とか対処方法とか探る面白さを毀損するし、AIが自分で注意した行動をとって大ダメージみたいなミストウォーカーラストストーリーで見た失敗をまた見る羽目に。
 先に音声を録ってしまったためゲームバランスがおかしくても修正できなくなってしまった、という可能性もあり「声優の無駄遣い」という感想だ。
 エクシリアと違って画面隅に顔が大きくカットイン表示されず、左下のチャットログに小さく出るだけなのも地味。

(半)シームレス戦闘

 移動中のマップそのまま移動範囲が限定された状態で戦闘フィールドにする方式で、スクウェアクロノ・トリガーを彷彿とさせる。
 ここ何作かのテイルズオブは、でっかい土俵の上で戦っているような感じだったが、本作では土俵 + 障害物を考慮に入れた戦いをする必要がある。
 がしかし、壁際でカメラが一人称視点になってワケ分からなくなる、戦闘フィールドになる前提だからマップが無駄に広い、戦闘後の掛け合いでキャラが障害物を避けることで他のキャラと重なって不思議クリーチャーか爆誕することがある、などとにかくひどい。

神衣化

 天族は人間に憑依して神衣(カムイ)という状態に変身する。
 ゲームの数値は1割増えただけでも「おっ、強い」と感じるぐらいなのに神衣はステータスが2人合算(防御は平均)で雑すぎる。
 一応不利な点や変身の制限もあるが、神衣で戦わない理由は「神衣で戦うと強すぎてつまらないから」ぐらいしかないほどに強い。
 加えて神衣化できる2人の見た目は違うものの使える技は共通なので、そういう面でも神衣での戦闘は面白くない。
 その強さに対抗するためか敵全般の攻撃力が高い傾向があり、かつ弱点連携の効果が大きいため、大げさにいうと瞬殺するかされるかみたいな、ほとんど初手で弱点つけるかサイコロ振ってるような戦闘になっていて、どうにも面白くない。

 そして神衣化すると1キャラ減るため複数人プレイしている時に何もすることがない人が出てくる…。
 エクシリアのパートナーが操作不能になるリンクや、エクシリア2の異空間に1人で行ってしまう変身も大概だったが、強力かつ戦闘中ずっと変身していられる本作のシステムは、とことん複数人プレイに向いてない。
 また人間と天族が対になって変身するため、前述のように人間が固定される理由にもなっている。

天族でのプレイ

 天族は人間側でも十字キーにより入れ替え可能で、敵の属性などの状況に合わせて使い分ける。
 そう「使い分ける」のだ。つまりシステム的に天族は追加装備扱いであり、プレイヤーキャラに向いてない。
 しかし人間は天響術(魔法)を使えないため、遠距離主体で戦いたいプレイヤーは天族を使わざるを得ない。
 前述のようにキャラ切り替えで対処するのが基本なため、必然的に属性に対応した4人の操作を覚えざるを得ない。

 という感じで、神衣が強すぎて細かいバランスなどどうでもよくなっている上に、あまりにパーティー構成やプレイスタイルに制約が多く、好きなように遊ばせてくれない。そして制約に沿って主人公でプレイしても面白くない。

その他のシステム

 まずエクシリアで右スティックでいちいちカメラ動かすの面倒臭いなーと思っていたので、オートカメラオプションを見つけて早速ONにしたら絶妙に気持ち悪い挙動で、3D酔いに強いと自負している私も数分でOFFにした。
 エクシリアはオートカメラがないと言っても、ごくわずかプレイヤーに追従してはいたのだが、本作ではオートカメラOFFで完全に動かなくなる。ONでもOFFでも操作性が落ちるという最悪な印象でゲームスタート。

 そして、次から次に出てくる基本的な部分の作り込みの甘さ。
 判定が雑で人に話しかけるのすら困難な上に話しかけても振り向かない、表示される文字が背景に埋まって読みづらい、などなどなどなどなー、うられていくーよー…あれ、なんの話ししてたっけ、ってぐらいダメ。
 代表例として取り出すと、店の看板が高くかつ地味で視界に入らないという「RPGツクールの初心者講座で気をつけましょうって言われているような」ポカがある。素人か!
 流石にまずいと思ったのか、店主のフキダシマーカーに店のアイコンがついている。
 これ俗に「テプラUI」と呼ばれる「元の作りが悪いので現場で注意書きを追加してカオス化する」やつだ。ひどい。

マップ

 ぱっと見の絵的には、エクシリアとそんなに違いはないが、ランドマークが配置され地形も変化があり、比較的分かりやすいマップとなった。
 しかし探索対象も少なく戦闘を考慮に入れても無駄に広い傾向があり、構造が平面的で面白みに欠ける。
 そして上記の看板のようにマップの細かな作りは悪く、ミニマップに宝箱などの探索の結果が記録されないなどの仕様も面白みを削いでいる。

 テイルズオブで定番のソーサラーリングがない代わりに、十字キーの各方向に対応した属性の天族の能力が使える。
 また剣を振って障害物を切ることもできる。
 マップに干渉できる方法が複数用意されているのは良いが、限定された場所でしか効果を発揮せず、それはほぼダンジョン内部だ。
 一応、敵シンボルに当てると弱体効果があるらしいが、結局どういった効果があるのか分からなかった。ひどい。
 そのため街やフィールドでは死に機能と化している。

食事

 食事は宿屋でだけ取る方式で、頻繁にチャットが発生しサポートタレントなどを獲得することもある。
 食事の効果回数は種類で異なるが戦闘10回とかで長く、効果が切れたら一旦戻る目安として機能している。
 テイルズオブは宿屋に泊まる理由がほぼなくなっていたので、これはなかなか良い。
 個人的にゲームアーツグランディアの食卓を囲んで作戦会議をするのが一番好きな食事システムなので、類似のものが採用されて嬉しい。
 ただ、宿で天族も食事しているので普通の人間からどう見られているのかは非常に気になる。

 グレイセスのレビューで食事はキャラが作らないと意味ない的なことを書いたが、本作では宿屋の食事の他にキャラがおやつを作る。
 宿屋の食事は会話や地方ごとの名物があって良いが、やはりキャラが作ってくれるのは嬉しい。
 おやつは一回限りの回復+付加効果があり、強敵に挑む前に使うことを想定しているようで、アイテムとしての使い勝手もまずまずだし。前述の捧げ物としての効果が高いのもいいバランスだ。

 疲労度という表示されないパラメータが存在していて、マニュアルには「疲労がたまるとSCの回復率が落ちるので食事で回復する」とある。
 大抵の人は「だんだん戦闘に爽快感がなくなっていくなー」となんとなく感じるだけではないだろうか。
 つまんないゲームだとの体感を加速させる、有り体に言ってクソ仕様である。

 セーブポイント間をワープする際に所持金から比率で金を取るという通行税+所得税みたいな訳のわからないシステムになっている。
 このせいで飯食ってさぁ行くぞと気軽にワープできないので、徒歩で向かうと道中で無駄に時間を食ってしまい「時は金なり」の教訓を与えてくれる…と同時に戦闘すると移動が高速化するという意味不明な仕様のせいで到着するまでに無駄に食事の効果を使ってしまう。

 というわけで、最初に褒めた食事のシステムも他のシステムに足を引っ張られて台無し。
 あんまりレビューで個人攻撃するのもどうかと思うが、本作をプレイした人はプロデューサーに対して「馬場じゃなくて馬鹿なの?」と(エドナ風に)言う権利がある!!

武具融合

 武具は同名のものを融合して強くしていける。その際武具ごとに異なったスキルが付いていてそれも合成される。
 そして装備の組み合わせによりスキルシートを埋めた場所によって、ボーナススキルがつく。
 これにより基本能力が低い武具でも持っているスキルや融合回数、そしてなにより組み合わせボーナスによりかなり能力を高くできる。

 これが面白いかと言われると面白いんだけど「鍛冶屋が主人公で戦闘がないゲームだったら」という但し書きをつける必要がある。
 RPGのついでにやるにしてはシステムが複雑すぎて、ただただ面倒臭いのだ。
 ヘルプで説明されていたり宿屋でライラが「興奮したオタク」みたいな解説するのだが、ほとんどの人は「うむ、分からん」で終わりだと思う。
 ゲーム開発現場における仕様書やプレゼンも、図表を使わず文や口頭だけでやってて全く伝わらないという、阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられてそうだ。

 他にもシステムは沢山あるのだが、システムを解説して最後に「これはひどい」とついただけの文を延々読むのも苦痛だろうと思うので、このへんにしておく。

シナリオ

 イントロは遺跡の外から始まるのだが、そこへは2度と行けず、最初どうやって行ったのか分からない。
 といった細かい部分から大きな部分まで矛盾点が多く、どうにものめり込めない。

チュートリアル・ヘルプ

 各地に点在する石碑にヘルプが書かれていてプレイヤーが能動的に取得するスタイルが取られていたり、メニューの各場面で[START]ボタンを押すと画面に対応したヘルプが表示されるなどの工夫がされている。
 ただし内容は説明書然としたものでアイコン程度しか画像がついてないし実際に入力して練習することもないので、まったく頭の中に入ってこない。

 ヘルプとは別に実際に操作するチュートリアルも入っているが、出し方が激烈に下手くそで、チュートリアルだと気づかず「全然ダメージ通らねぇ、バグか?」と思って逃走を選んでしまったぐらいだ。
 普通のゲームだと稽古とか試験とか、そういうシチュエーションを用意して練習させるものだが、全然そういう工夫がない。

 ヘルプに限らず、看板の内容などの細かい文や、過去の出来事の説明ムービーまで含めて「言葉で説明すれば事足れり」という思想で作られており、ゲーム的な映像・音声・インタラクションで説明する感覚に乏しい。
 これは本作に限らず、前々からグレイセスチームの悪癖だと感じている。
 …文だけのレビューを大量に書いている私が言うのもなんだが。

ヒロインの扱い

 主人公のスレイとミクリオは人里離れた天族の隠れ村の出身だが、天遺見聞録という博物誌的な本を読み込んでいる言わば冒険オタクで、それをきっかけに世界や人と関わりを持っていくという設定は、冒険ものとしては素晴らしく良い。
 しかし中盤以降のメインパートナーであるロゼが「そんなん興味ない」という態度をとるので、どうにもゲームでの冒険に夢中になっているプレイヤーが否定されているような気持ちになり、いちいち冷める。
 ロゼは主人公とは別の例えばお金方面から天遺見聞録に興味がある設定にして、世界を膨らませて欲しかった。

 さて突然だが、まだプレイしてない人に言うと正直この作品はプレイしない方がいい。
 なので以下、遠慮なくモロバレしていく。

 ロゼの暗殺者(アサシン)設定も、ヴェスペリアでのユーリの行動の善悪を真剣に考え悩んだりしたファンをあざ笑うかのようにあっけらかんとしていて、いいのかなー、いやダメだろ。
 シナリオは隊商のリーダーという設定だけでほぼ成り立つため、UBIアサシンクリードシリーズやベセスダ・ソフトワークスThe Elder Scrollsシリーズが売れてるから、海外向けのフックに暗殺者設定を安直に入れたんじゃないか? という気すらする。

 そんなこともあって、序盤で同じ天遺見聞録オタクとして仲良くなるアリーシャにどうしても肩入れしたくなるのだが、なぜか中盤にも至らないうちに離脱して、ずーーーーーっと戻ってこない。
 かなり長い間アリーシャに会うことすらできないので「これは向こうでアリーシャ隊を作って、後でそっちの話を進める展開だな」と思ったらそんなこともなく、加えて専用武器が引き続き売られていて融合して武器を育てることもできるのに、帰ってきたと思ったら即離脱というのも罪深い。
 TVアニメに出てきてたアリーシャ隊の面々がそもそもいないとは思わなかった、というのもある。
 ストーリーどうこうより、ゲームとしてプレイ指針が立てられなくなるから、少なくとも終盤は全プレイアブルキャラ使用可能状態にしていただきたい。

 なおアリーシャの追加シナリオはダウンロードコンテンツ(DLC)で提供されるが、その空白期間とはまた別のシナリオらしい。
 DLCでの追加シナリオはテイルズオブ初の試みだが、ゲーム本体での不足をDLCで補完するようなやり口は、極めて悪質に感じる。

 どうにも展開が唐突で行き当たりばったり感があり、駆け足だと思ったTVアニメもゲームプレイ後は丁寧だったと思える。
 敵キャラの扱いも丁寧さに欠け、なんとも底が浅い印象だ。

まとめ

 ゲームのあらゆる面で開発の中心人物がほぼ全員いなくなっているとしか思えない品質の落ちっぷりの酷い出来。
 そもそも中心人物がいなくなったとしても、20年テイルズオブ作ってて基本的なノウハウが全く積み上げられていないことに驚愕する。
 このくらいシリーズが続いていたら過去の資産である程度のレベルが担保できる(なんだかんだあるがおもしろい)のが普通だが、本作はお菓子の家で餓死してる状態だ。大量の資産を前にして使い方が分かってない。

 そんな体たらくなのに(半)シームレス戦闘などを導入するという無茶をやっているので、完全に破綻している。
 難しいことにチャレンジするのはいいんだが、できなかったら撤退する勇気が欲しかった。
 特にマップに関してはヴェスペリアのラインまで撤退すべきだったと思う。3Dが下手くそすぎる。

 ゲームシステムやシナリオの都合で天族や穢れの設定を作るところまでは良いのだが、作った設定が戦闘やシナリオで結合せず空中分解して終わっている。
 テイルズオブに「ご都合主義」的展開は付き物ではあるものの、本作はその場その場のつじつま合わせで、すぐバレる嘘をつき続けており虚言癖と言っていいくらいだ。

 バンダイナムコが「シリーズ最高傑作」と謳うのは百歩譲ってありだとしても、日本ゲーム大賞のフューチャー賞、ファミ通でプラチナ殿堂入りしているのは、もともと大してなかった両者の信頼性が一切なくなるぐらいにありえない評価だ。
 食人描写があったり殺人を肯定してたりするのにCERO:B(12才以上)で通ってるあたりも含め「政治だけ上手い人」が舵取りしてしまった雰囲気を感じる。

 ただJRPGに免疫がなかった欧米ではかなりウケたらしく、海外でのJRPG再発見そしてアトラスペルソナ5の爆発的ヒットの流れを生む一助となったらしい。
 実際に販売累計100万本を超えの過半数は海外売り上げらしい。
 日本のゲームファンにはピンとこないが、2021年の東京オリンピックの入場曲のひとつとして採用されたのは、そういう理由があったという話もあったりなかったり(知らんけど)

参考

 そこで結論。

シリーズは遥かに後退してしまった。開発部内の大規模な離反発生を疑うレベル。