テイルズ オブ ヴェスペリア

対応機種・周辺機器
Xbox360、PS3、Xbox One、PS4、Switch、Windows(1人、戦闘のみ4人まで)
ジャンル
「正義」を貫き通すRPG
著作・制作
(c)NBGI (c)藤島康介 (PS3版)

基本情報

 テイルズオブシリーズはアニメ風味のJRPG(日本産のドラクエタイプのRPG)のど真ん中という感じのビジュアル。
 しかし多くのJRPGと異なり、戦闘システムが対戦格闘的なアクションゲームとなっているのが大きな特徴だ。
 本作は初のXboxのテイルズオブとしてに発売され、他の機種では出さないみたいなこと言ってた気がするけど、おおよそ一年後のにPS3版が発売された。
 なんか以前もこんなことあったなー、みたいな。

 パーティーキャラに宮野真守や久川綾と言った人気声優がいることは勿論、脇にも小野大輔、緒方恵美と言った面々が名を連ね、小山力也やチョーといった実力派も配置され、有名どころを並べていくだけで、このレビューが人気声優紹介文書に化けてしまうぐらいの面子だ。
 以前から、テイルズシリーズの声優ブッキング力は凄かったが、バンダイナムコになってから更に上昇した感がある。
 キャラクタデザインは藤島康介、主題歌は BONNIE PINKの鐘を鳴らして、オープニングやイベントシーンのアニメはプロダクションI.G.という、盤石の体制。

 PS3版で音声を中心に大幅に要素が追加されており、主要キャラクタ(CV斎藤千和)の追加まで行われている。
 Xbox360版スタートということもあり売り上げ的には従来のシリーズより少なめだったが、根強い人気があり、2019年にはリマスター版が発売されトータル販売本数は100万本を超えた。
 ちなみにXbox360ソフトの国内売り上げランキングでは2位らしい…PS3に移植して裏切り者や守銭奴扱いされてるが、むしろこんなビッグタイトルを出している時点でバンダイナムコ偉いよ。
 本レビューで取り上げているのはPS3版で、リマスターもほぼ同じ内容だ。
 ただしリマスターは画質・FPSの向上はもちろん、PS3のダウンロードコンテンツ(DLC)があらかじめ収録されていたり、PS3では本体備え付けのセーブ・ロード画面、文字入力画面だったのが、専用の画面が作られて使いやすくなっていたりする。

グラフィック

キャラクタ

 操作キャラがドット絵や荒いポリゴンの時にはマーカーとして割り切って使ってる感じだったし、プレイする方もこれは記号と割り切って遊べたが、本作はデフォルメしてあるものの等身は高めの3Dモデルで、十分キャラクタとして見れる。
 そのため逆に質の高いCGや手描きアニメムービーのほうに偽物感が出ている。
 また、3Dモデルによるイベントはプレイ中のキャラがそのまま出てくるが、手描きアニメには格好が反映されないという面も違和感がある。
 ただウサミミとかチョンマゲとか、割とおちゃらけた格好ができるので、シリアスなシーンが台無しみたいなところもあったりはする。

 特にイベントシーンがぼやけた感じなのは3Dモデルがアップに耐えないという判断かと思う。
 そういう細かい部分より、レイアウトがしっかりしていれば絵としては良い印象になる。
 とはいえ、本作のシステムではフキダシのレイアウトの必要もあり、かなりアクロバティックなレイアウトセンスが要求されるので、ぼかして誤魔化すのも致し方なし! という面もある。

 随所で発生するパーティー間の会話劇であるスキットも手描きキャラで、当然装備が反映されず、衣装が話題の場合など会話の意味がわからなくなってたりもする。

 全体を「これは人形劇風のアニメです」と3Dモデルで押し通して欲しかったが、セル調のキャラの吸引力は高く、この折衷状態もやむなしか。

マップ表示

 背景も含めて完全に3Dで作られているが、リアルな質感に行かずアニメの背景画のようなテイストで作られていて、テイルズオブのコンセプトであろう「アニメの世界を冒険する」ことができている。
 洞窟などでも無駄に暗いことはなく、進める場所もわかりやすく描かれている。

 また、カメラは自由に動かせずキャラ位置によって自動的に決まる方式なのもコンセプトに合っている。
 過剰な現実のシミュレートは必要なく、格好悪いアングルからの絵など不要という割り切りは良い。
 カメラアングルを利用し、宝箱が見えない場所やギリギリ見える場所に配置してあって、探索要素的にはちょうどいい塩梅だ。

 困るのは遠くに行ってもカメラが寄らない箇所がしばしばあって、豆粒みたいなキャラを操作しなきゃいけないのはつらい。半ば勘で操作する必要がある。
 背景ではないが、ワールドマップの現在地もかなり見づらい。
 基本的なUIは大きめで見やすいのだが、ちょこちょこUI部品が小さすぎる箇所がある。

マップ設計

 移動可能な町の範囲が狭く人物配置も少なめで、快適に遊べる量がきちんと設計してある。
 人以外で調べられるものは、ほぼ宝箱とドアだけで、家具が1/3ぐらい。
 調べられるものがあると右下に[○開ける]などと操作説明が出るので、いちいちボタンを押して確かめなくても移動するだけで場所が分かる。
 調べられる場所がキラキラ光っているシステムだとプレイが作業化してしまうが、そこまで簡単にせず探索要素として楽しめる良いバランスだ。
 ただ大して意味のない場所に説明があったりするのに、張り紙や看板が読めないことが多いのは、ちょっと減点。

 ドアは開けないものが大半だったりするが、これはマップを制限する方法として納得できるし、逆に全部開けられたら町や建物の探索だけで単純作業に飽きてしまうだろう。
 ただし、移動範囲を制限するのに大胆に透明の壁が設置してあって、画像的には明らかに進める場所に進めないことが常態化している。これは、このゲーム最大のがっかりポイントだ。

 ダンジョンの仕掛けも、(テイルズオブではおなじみの魔法弾を飛ばす)ソーサラーリングで各種仕掛けを起動すること+ブロックの移動で大半が解決できるという、抑制された作りなのも良い。
 ソーサラーリングは単純に機能強化で使える場所が増える作りになっているため、使い分けの煩わしさはない。
 また機能強化のタイミングで、前に通った街やダンジョンを再探索する理由づけになっている。

 あとで行ける場所を別階層や遠くにチラ見せする手法が多用されていて、早くあそこまで行きたいという気にさせる。
 また町に張られている結界が空に見えるのもファンタジックでいいし、高い場所に表示されるのでフィールド上で遠くから見え、曇ってたり夜だったりすると白く発光しているので、街を発見しやすいというUI的な面でも優れている。

 敵との遭遇はシンボルエンカウント方式で、かなり自由に戦闘回数を調整できる。
 特にフィールド・ダンジョンマップ上に大きなシンボルで配置されている強敵ギガントモンスターは、初見では絶対倒せないような強さで出てくるので、スルーは必須。
 世界がストーリーの都合だけで作られているわけではない雰囲気が出ているのも良い。
 最初倒せないので強くなった後で戻ってくる理由にもなっている。

 店の商品のラインナップに偏りがあるなど、通過するだけの町にならない工夫がされている。
 また上記のソーサラーリングやギガントモンスターのように、戻る理由がいくつも用意されており、サブイベントに遭遇しやすくしてある。
 このようにマップに関しては、かなりレベルの高いデザインがなされている。

シナリオ

成人済み主人公

 主人公のユーリは成人していて、プロダクションI.Gによるゲームの前日譚に当たる映画も作られているあたりからも、人生観を決める体験は終わっている感じだ。
 そのため決断に悩むことは少なく、話が早くて好感触。
 うじうじした展開になりがちな恋愛要素も、さほど大きくない。
 全体的に次の目的は即決まり振った伏線は即回収みたいな感じなので、これをテンポが良いと見るか淡々としていると見るかで評価は分かれそうな感じだ。

 基本スタンスは俺は俺、お前はお前なところも良い。
 皮肉屋だがひねくれているというほどでもない、一貫性は持ちながらも矛盾や迷いは抱えている、あたりのバランス。
 個人的には熱血漢の子供というテイルズオブ定番の主人公は肌に合わないので、この主人公の時点でかなり加点。
 とはいえ二十歳そこそこ、まだまだ生意気盛りの無分別、子供ではないだけで青年としても若い若い!
 あと、ユーリくんは自身がやってることを「正義」とは思ってない風なので、「正義」を貫き通すRPG、というジャンル名との齟齬を感じる。

パーティーメンバー

 序盤のユーリ・ラピード・エステル・カロル以外は、パーティーに入る前から丁寧に登場させて、唐突に仲間になって「このキャラいらなくない?」と思われないように扱ってある。
 特にPS3で追加されたパティは加入前にこれでもかと印象的に登場している(若干やりすぎて逆に後付け感が出てる気もするが)

 人物が大体固まっている主人公に対して少年のカロルに成長要素を持たせるとか、各キャラに担当分野を振り分けて解説役をやるとか、システマティックにキャラが作られているところがある。
 そのため予定調和感が強い面もあるが、キャラかぶりがないため 8人+1頭という大所帯でも成立しているし、誰かしら思い入れできるキャラができるようになっている。
 戦闘スタイルにしても極端に設定されていて、同じようなスキル構成でもプレイ感は全然違う。

 例えば、犬のラピードにしてもゲーム的な機能からキャラが作られているように思う。
 一旦メンバーと別れたとしても相棒の犬はいていいので戦闘バランスも取りやすいし、犬に話しかければ独り言にならずに済む。パーティーメンバーとの会話のクッションにも便利!
 また犬(狼)を操作キャラにするのは、任天堂ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス、カプコン大神年に出ており、当時は業界全体に四つ足キャラをプレイヤーキャラにするチャレンジで技術を競っていた感がある。
 ところでラピードは盗みスキルを持っていて忍犬をイメージしているっぽく…鳥海浩輔(NARUTOのキバ役)をユーリに配役したのはそういうこと?

 例えば、エステルはちょっと度を超えた読書好きで、内容をほとんど諳んじている。
 なので伝説や故事についてはフキダシが四角の引用モードに変わって、スラスラと説明する。
 他のキャラクタについても見事に機能的に作られている。

 ゲームのキャラクタは物語的な側面より、まずシステムの機能的側面から設定されるべきと思っているので、この辺りの作りは好感度高い。
 またゲームは物語を表現するより、キャラを見せるのに向いていると思っているので、スキットによる絡みや戦闘終了時の簡単なやりとりが呆れるほど充実している本作は、なかなかわかっている感じだ(偉そう)

任侠もの

 西洋ファンタジー世界の見た目であるが、物語の骨子はバリバリの任侠もの。
 アニメ的なノリのいつものテイルズオブでありつつ、従来のテイルズオブとは一線を画している。
 海賊ファンタジーだけど中身は任侠ものというワンピースと同じ構造だ。
 登場するギルドというのは要するに「組」の言い換えであり、ギルドメンバーは組員つまり「ヤクザ」である。
 任侠もの的にはユーリはチンピラであり、親友のフレンは警察官だ。社会の陰と日向に別れて物語に深みを出す定番パターン。

 これが後半になってファンタジー色が強くなってくると、任侠ものの下敷きがなくなるためか、展開が薄味になってしまうのは少々残念。

後半は別ゲーム?

 ただ後半で雰囲気が変わるのは、狙ってやっているようだ。
 サブイベントの類は序盤から割と発生するが、後半はちょっと気になるところに行ってみると必ず発生するぐらいのレベルで大量に現れる。
 ユーリがしばしば「お前の好きにすればいいさ」的なセリフを言うので、寄り道するにしてもしないにしても、気が楽な感じではある。
 この辺もキャラが機能から作られてるなと感じる点であり、それは上手くいっているように思う。

 前半は演出の都合で昼夜や天候が変わっていたが、後半は敵のバリエーションを出すために時間経過で変わるようになる。
 前半は山や海で区切られたフィールドを線を辿るように進んでいくが、後半は空を飛び自由にマップを移動し侵入可能な箇所も増え、メンバーのスキル・術・技も充実し、武具の合成のための素材集め(主に魔物狩り)も楽しくなってくる。
 前半はメンバーが集まってきて入れ替わりもありドラマチックだが、後半は常にメンバーが揃っている。
 と言う感じで前半は物語に、後半はゲームプレイに重きを置いた構成だ。

 前半で壮大なチュートリアルを通過するために物語で引っ張る必要があるが、後半の物語の吸引力が強くてはゲームとして遊ぶことなく物語に満足して終わってしまう。それでは本末転倒である。アニメじゃないのだゲームなのだ。
 実際は時間制限がないのだから緊急事態って雰囲気を無くして、後半は「クリア後のある程度平和になった世界」ぐらいのノリでもよかったかもしれない。
 任天堂ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドが「いつボス倒してもいいですよ」という設定で面白かったので、本作でも十分プレイの吸引力はあったと思う。
 ただ「締め切りが近い時の遊びほど集中できて面白い心理」もあったりするので、本作の作りも悪くはないのかもしれない。

日本語はちゃんとしてますが

 テイルズオブは物語どうこうの前に、誤字・誤用、日本語として不自然な言い回しが目立つ印象が強かったが、本作ではその手のものがほとんどない。
 ちゃんと校閲を通した感じだ。

 ただ独自用語が多く、理解が進まないうちにさらに別の用語が投入されて会話の意味がどんどんわからなくなる傾向は、困ったことに本作でも健在だ。
 漢字+ふりがなで表示されるので、音声だけでなくフキダシの文字を読めば、わけのわからなさが緩和されるのが救い。

 とはいえ話の展開はあらすじが用意されていて、完全に見失うことはない。
 画面には出てこない記者が書いた記事形式なので、ある程度の客観性を持ちつつ無機質でなく、なかなか面白く読める。

システム

大枠のシステム

 本作はデイルズ オブ ジ アビスを基本にアップデートした感じで、正直目新しさはほとんどない。どうやらスタッフも多くは同じらしい。

 スペクタクルズで敵を調べないと図鑑に登録されない。
 料理は戦闘終了時に簡単にHP・MPを回復させる手段だが、材料揃えるのが面倒くさい。
 称号とPS3のシステムが持っているトロフィーの機能がバッティングしているのもいただけない。
 クリアに長時間を必要とするのに周回が前提のグレードシステムもどうかしている。
 この辺のテイルズオブだから問答無用でついてる感じのシステムは、バッサリ減らして欲しかった。

武器合成とスキル

 売ってあるものを買うより武器を合成していく方が中心になっている。
 武器にはスキルがついており、しばらく装備して戦闘(控えでも良い)でLP(ラーニングポイント)を入手していくと、武器と独立してスキルを持てるようになる。
 スキルが武器に分散して配置されているので、全くの意味なし武器がでてこないし、レベルアップとは別にスキル獲得が頻繁に発生するので、ただ戦闘を繰り返していてもプレイに進捗感が出るところもいい。
 ただ、武器は次の武器の素材となるので、すでにスキルを入手した武器でも気軽に売れないのはちょっと困った。
 防具やアイテムはそれらを素材とすることはほぼないと教えられるので売りやすいのだが。
 派生武器をコンプリートしたら「売ってもいいよマーク」つけて欲しい。

 取得したスキルは殆ど基本スキルとして取ったら付きっぱなしでよかったと思う。
 特にコンボを増加・継続するスキルなど、ついてないと本来の面白さを削ぐレベルなのに、それをプレイヤーに選ばせるのは疑問だ。
 UIが使いやすいからまだいいが、それでも選択肢が無駄に多くて煩雑にすぎる。

戦闘バランス

 しっかり敵の方向を向いて攻撃上下を使い分け、距離を調整しないと技がスカることが多く、攻撃前後のモーションも大きめなので、適当に出していると敵に隙をつかれる。
 もっさりした印象もあるもののアクションゲームとしての必然性があり、連続技(コンボ)を繋げる理由にもなっていて割と好感触。

 相手をダウンさせる技が多く、しかもダウンから起き上がりまで殆どの攻撃が効かなくなるのは、戦闘のテンポを削いでいる。
 使い込むと術・技の能力が上がるのでどんどん快適になるのだが、逆に序盤のもっさり感が強すぎるところは、どうにかして欲しくもあった。
 新規の技を取得するために同じ技を繰り返して使わないといけないのは、ちょっと作業感が強すぎる。
 またPS3で追加されたガード・フリーランによるキャンセルを駆使しないと繋がらない技もあり、これは操作が忙しく、あんまり楽しくはない。

 敵は割とプレイヤーを殺しにくる調整で、ふと気を抜いて何度も全滅してしまった。
 ただ遠距離攻撃の使い勝手が良いのと、フリーランで敵の攻撃範囲から逃れることが容易なので、接近戦をメインにしなければ戦闘もそう難しくはない。
 当然RPGなので成長や装備で強くなり、加えて難易度も選べ、補助のあるセミオート操作まで用意されていて、アクション苦手でもなんとかなる調整にはなっている。

戦闘システム

 敵にマークが表示された瞬間に対応したボタンを押すと、一般の敵を一撃で倒し強敵には大ダメージを与えるフェイタルストライクが発動する。
 戦闘の停滞感、作業感を軽減し爽快感を追加してくれる。
 とはいえ、複雑なシステムの不満をさらにシステムを追加して解消しようとするのには疑問もある。

 キャラが多い上に術・技の種類も多く、それを組み合わせるコンボのパターンとなると目眩がする量だ。
 戦闘だけに限ったとしても、とてもではないが、すべてのシステムを使いこなせない。
 例えば秘奥義など発動までの手順が多すぎて、理解できるのかと言う以前に「存在に気づくのか?」レベルだ。
 秘奥義で発生するカットインなど「戦闘演出の最大の売り」ぐらいのなのに!
 チュートリアルを小出しにしてくれるので、少なくとも基本的な部分は身につけられるのが救い。

 かなり頻繁にメンバーが入れ替わるので、慣れてないキャラを使わざるを得ない。
 沢山技を覚えなきゃいけなくて面倒くさいところもあるが、割と新鮮に遊べて良かった。
 別れる時に装備を持って行っちゃうのはコラー!って思ったが、戻ってきた時に(たぶん)レベルを揃えてくれるのは親切。

 戦闘はアクションなので仲間は自動で戦う。
 術・技のON/OFFや作戦指定で行動の調整はできるし、戦闘中も大雑把な作戦の指示や具体的な行動の指示までできる……が、面倒くさい。
 アホと言い切るほどではない程度には働いてくれるので、ほぼ未調整のまま最後までプレイした。
 もうちょっとAIには頑張って欲しいが、「アイテムを無駄遣いしがちだが入手が容易なのでなんとかなる」みたいなバランスで作られていて、全体の調整としては悪くない。
 状況を知らせる台詞も、内容タイミング共に若干ずれてる感じもあるが、そこまでおかしくはない。

シリーズとしては少し高めの難易度

 Xboxのユーザ層を考えてか、戦闘以外でも、パズルやリドル、ダンジョンの作りはちょっと歯ごたえがある。
 ダンジョンから脱出する呪文やアイテムが用意されておらず、クリアするまで脱出用のワープゲートが出現しない、セーブポイントの間隔も長め、という作りなのも難易度を上げている。
 他にもアイテム・食材の種類ごとの上限が15個なので物量でおして行くにも限界があるなど、雑すぎるプレイができないようにしてある。
 この辺好みもあるだろうが、折角あるシステムを無駄にしない調整で好ましい。

 派手で爽快な戦闘ができる本作だが、そうするためのスキルやアイテムが、割と終盤だったり特別なイベントを経ないと手に入らなかったりする。
 そういう仕組みに気づかず「なんかいまいち地味だったな」と思ってゲームを終える人も多そう。

PS3での追加要素

 パティまわりは完全新規なので割となじませてある。
 しかし、Xbox360から存在していてPS3で主要パーティーメンバーとなるフレンまわりは、少々歪さが出てる感じはある。
 特に追加ダンジョンや敵はXbox360版やったことない身からも「有り合わせの素材でなんとかしました」という、とってつけた空気を感じてしまった。
 とはいえ他にも、映画のキャラがゲスト的に登場する、細かなUIの調整など、大量に追加・変更があるが、そのへんは単純に嬉しい変化かと思う。

まとめ

 とにかくシステムが詰め込んであってやることが多く、やだなー面倒くさいなー、と思いつつもUIが良くてバランスが取れているので、なんだかんだで楽しく遊べる。
 にしてもマップデザインに関してはかなり抑制が効いているのに、なんでシステムデザインはこんなにてんこ盛りにしちゃうのか…システムも抑制して!

 今までシリーズが積み上げてきたシステム資産を極力使い切った上で、物量をかけてきているので、つまみ食い的な贅沢な遊び方をしても十分なボリュームがある。
 しこたま寄り道してクリアまで100時間程度かかったが、それでもかなりやり残しがある雰囲気だ。
 逆にメインストーリーだけ追えばイベントはポーズ後△ボタンでスキップ可能だし、スキットも見る必要はないので、20時間ぐらいでクリアしてしまうかもしれない。
 何度も作ってきただけあって、戦闘のバランス、スキットの出現タイミング、メッセージのフキダシ表示の配置、キャラ間のバランス、メニューのUI、マップの作り、チュートリアルも含めた導入の展開、オプション項目など、何もかもがこなれていて破綻が少ない。

 ダウンロードコンテンツに関しては、経験値やゲーム内通貨が購入できるのは(購入の必要がない調整とはいえ)あまり適切とはいえず過渡期って感じだ。
 コスチュームなんかはゲームには必要ない趣味性が強いものなので、好きな人だけどうぞって感じで悪くないが、提供方法や値付けについてはこれも過渡期って感じ。

参考

 そこで結論。

歴史あるシステムに、さらに物量を積み上げて剛腕で面白くしようとした結果…ちゃんと面白くなった!