スコアスコアスコア

スコアって、そもそも何だったんだろうか

役に立つ立たないの問題じゃない!

スコアとは何か

 良くできましたという印、それがスコアである。
 どういう行動が評価の対象になるかを定量化した数値、それがスコアである。
 つまり、スコアはゲームの持っている哲学を表現している数値である。

スコアがゲームの方向性を決める

 技能に対して支払われる対価がスコアである。
 つまり、ゲームの方向性を示しているものである。
 例えば、格闘ゲームで、通常技の点数が高く設定されているならば、暗に通常技中心に戦った方がいいと、制作者が教えているわけである。
 スノーボードで早くゴールしても高スコアがもらえず、高度なトリックをくり出すとスコアを貰えるのなら、演技ゲームになるし、その逆ならばレースゲームとなる。スコアの割り振り一つで、ゲームの目的が変わるわけだ。
 妙なスコアの割ふりを行うと、奇妙なゲームになってしまうことも、容易に想像できるだろう。例えば、打ち込み点を高く設定し過ぎて、敵を倒すのをそっちのけで、地形を撃ち続けるほうがスコアが稼げたりするなんてものである。

 また、ゲームそのものではなくゲーム周辺の持っている方向性も、スコアは反映する。
 大抵、早くクリアすると点数がもらえる、これはゲームが上手いことを示している面もあるが、「早く終わって、どんどんお金を使って欲しい」というアーケードゲーム制作者(などゲームで商売している者)のメッセージでもある。
 これを、さらに拡大解釈していけば、スコアは社会情勢すら映すのである。ま、これは大げさすぎるか。

スコアの金銭的意味

 スコアが評価を数値化したものであるのならば、スコアは金銭的意味を持ってくる。金銭とは価値を数値化したものだからだ。
 当然だが、スコアが金銭的な意味を持つには、一貫した正しい評価が必要である。
 ザコ敵を倒した時のスコアが、ボスを倒した時のスコアより高かったりしてはいけない、ということだ。
 このような基本的な評価が正しくないと、スコアは金銭的意味を持ちえない。ゲーム内での価値があやふやになるからだ。

 逆に、基本的な部分の評価が正しく行われているならば、少々逸脱した評価も意味を持ってくる。
 それがボーナスである、基本的な評価が正しいからこそ、「ザコ敵を100体倒すのと同じ価値が、このアイテムにはある」というような理解が可能となる。だからこそ、有り難みが出てくるのである。
 当然、ボーナスが主な得点源となると、スコアの金銭的意味が崩壊する、ということも容易に想像できるだろう。

スコアの崩壊

 ところが、最近はスコアが評価軸として機能しない状況も生じてきている。
 クリアや対戦を目的とし、ハイスコアを目指さないプレイヤーが主流になってきたからである。
 そこで、クリア時間はあってもスコアはない、全くスコアはなくただただ対戦とか、スコアと不可分だと思われていたアクションゲームでも、そんなゲームも出てきている。
 かくいう私も、あまりスコアを稼ぐのに躍起になるタイプではないのだが、ある程度ゲームに慣れてきて、さてやり込んでみようかというときに、スコアという取っ掛かりがないと、随分と薄味の画面に見えてくるものである。

 スコアというシステムは、1プレイ毎にお金を払うアーケードのシステムであり、それ以外のシステムでは成立させづらい部分もある。
 投入した金額に対して、どれだけ充実したプレイができたかの指標としてスコアがある、という意味合いがあるからだ。
 対して、家庭用ゲーム機などでは既に金を払っているので、充実度に対してスコアという指標はあまり重要ではなくなっている。
 課金型のゲームにしても、充実度は得られたコミュニケーションだったりプレイの進行度だったりするので、スコアという指標は使いづらい。

 スコアの役割は、今やある程度集める楽しみで書いたトロフィーシステムに移ったと言えるかもしれない。
 あるいは、経験値やゲーム内通貨というゲームプレイに還元される数値が、スコアの役割をおっているとも言える。

 逆にシューティングゲームではスコア偏重の傾向が強く、ボーナスシステムが複雑化し、何をゲームの目的としているのか、さっぱり分からない。
 特に、すぐに敵を倒さない方が点数が上がる、ってシューティングゲームが多いのはかなり疑問である。

 いまや、スコアという数値は、最初に持っていた意味を離れて、転換点に立っているといえるわけである。
 スコアがゲームで何をやることが評価となるかを示す数値であるなら、スコアを見直すこと、それはゲームを見直すことといえるし、スコアを見直す必要がある状況ということは、ゲームを見直す必要がある状況といえよう。

 そこで結論。

ゲームの評価軸である、スコアを評価せよ

2019年追記

 さて、2002年に「転換点」と言っていたスコアだが、2019年現在はますますゲームにおけるスコアが希薄な存在となっている。
 最近、漫画の押切蓮介ハイスコアガールがヒットし(紆余曲折を経て)アニメ化もされたが、もはやスコアという単語はノスタルジーを想起させるものと断言しても良い。

 とは言え、アーケードゲームでは音ゲーを中心に未だ現役ではある。
 逆説的に、技術を評価するタイプのゲームには必須だということが明らかになったと言えるかもしれない。
 もちろん、クリアタイムという明確な技術評価指標があるレースゲームなどに、スコアは不要だ。