GCコントローラレビュー

家庭用ゲームの老舗の回答となるコントローラとは

プレイ中のゲームはスターフォックスアサルトです
ウェーブバードはGCのワイヤレスコントローラです

概要

 ゲームキューブのコントローラは、基本的にニンテンドー64のコントローラを発展させたものである。

 このコントローラは、FC-SFC-N64の流れがあって出来上がったものであるので、まずはざっとおさらいしておく事にする。

FC:ファミリーコンピュータ、SFC:スーパーファミコン、N64:ニンテンドー64、GC:ゲームキューブ
任天堂製コントローラの変遷

 SFCでLRトリガ、N64でアナログスティックとコントローラパック、GCでLRトリガがアナログ化された。

 コントローラの役割についてのエッセイは、「ボタンの共通機能」や「ボタンレイアウトを考える」あたりも参照してほしい。
 参考:任天堂/ゲームキューブ/コントローラ

ABボタン

 任天堂のコントローラは伝統的に、ABのボタンの並びが感覚と逆になっている。
 まず、FCとSFC(と携帯ゲーム機)では(B)(A)と並んでいる。アルファベットなら左から右に並べていくでしょフツー。セガの(A)(B)(C)の並べ方が素直で理解しやすい(ちなみにN64は上下)
 GCではボタンの大きさが異なるので、Aが主要ボタンBが補助ボタンという意味では分かりやすい。位置を記憶するためのラベルと考えると、ファミコンと同じで分かりやすくはない。

 ボタンの色は、Aは緑でBは赤。緑は安全、赤は危険色である。これによりAがどんどん押しても良いボタン、Bは押す時に気をつけるボタン、という事を強調している。
 SFCではA赤、B黄、N64ではA青、B緑という、今イチ色の意味が納得いかないものだっただけに、GCでやっと収まる所に収まった気がする。

 Aボタンは非常に大きく、自然にコントローラを握った時に親指の下に来る。これが、とにかく押しやすい。
 BボタンはSFCのボタンより気持ち小さい程度で、Aの左下に親指をスライドさせた位置にある。
 AB間の距離も近く、同時押しや、ボタンを押したまま親指をずらして行う連続押しも引っかかりなく行える。
 GCのボタンは、全て中央が膨らんでいる。特に小さいボタンは中央を凹ませるより膨らませた方が押しやすいので、これは正解だろう。

XYボタン

 XYもABと同様に、感覚と違う並びである。文字を読む方向と合わせ(Y)(X)ではなく(X)(Y)とするべきだ。
 Aを中心として、座標軸としてXYZを配置したとも考えられるが、それは数学に親しんでいる人なら分かりやすくもあろうが、GCのメインターゲットは子供、無理がある。
 YXZはそれぞれ横、縦、奥に対応しているならば、Aから線を引くなどして、その関係を視覚化する必要があったろう。
 特にXとYは色が灰色で同じ事もあり、間違いやすい。

 ただし形と位置は抜群に良く、Aを中心とした同時押しが容易となっている。AX、AYの2ボタン同時押しは勿論、AXYの3ボタン同時押しも、1ボタンを押すのに近い感覚で行える。
 親指の角度に合わせて、上にあるYの位置は少し左にずらし、横のXの位置は少し上にずらしてある。
 形はYは横長、Xは縦長で、2つともAボタンに沿う形で湾曲しているため、同時押しできる範囲が広くなっている。
 それから、YボタンがAボタンに向けてスロープがついているため、指の形とぴったり合い、快適である。

 ただし、XYの同時押しは非常に難しい。
 どうしてもAボタンをメインのボタンとできない場合(例えば格闘ゲームの1キャラクターのみの操作)は、意外に困ったレイアウトとなる。

LRトリガ

 LRトリガのアナログ入力自体はセガ「マルチコントローラ」やナムコ「ネジコン (Rはデジタル)」で採用されたものなので、常にコントローラに新たな提案を行ってきた任天堂としては新鮮味のあるものではない。

 ただし、LRトリガはアナログ入力とデジタル入力の併用という、珍しいものになっている。
 押してみると分かるが、押し込みの最後にボタンが付いていて、コチッとデジタルボタンを押した感触がある。
 コレはなかなか気持ちいいし、押し込んだことが分かりやすい。単純なアナログボタンではないこのような工夫は、任天堂の矜持を感じる。

 LRトリガの間の出っ張りが邪魔。私は時々指先が出っ張りに当たり、微妙にイライラする。
 爪が長い人もイライラするだろう、ゲームキューブはオシャレなオネーサンはプレイしちゃ駄目なんか?
裏から見ると、こんな感じ。

 押し込みのストロークが長いことが、デジタルボタンとして使う場合のプレイ感を損なっているのも否定できない。

 N64で採用された3Dスティックは、確実にゲームの操作感を変えたと言えるが、このアナログLRトリガは今の所、それほどゲームを変えてはいない。
 PS2のボタンもアナログ判定が可能だが、うまく使った革新的なゲームどころか、対応しているゲームそのものが少ないというていたらくで、ボタン系統にアナログ入力は、それほど適切ではないのかもしれない、と思えてくる。
 ただ、このトリガが無いと、あまりにも革新が無いコントローラとなってしまうので、ハードウェアとして良くないとも言い切れない。
 問題はうまく利用したソフトが出ない事の方にある、とも考えられるのである。

 LRをアナログにするのではなく、ローリングスイッチやら、ジョグダイアル(スクロールホイール)、傾きセンサー、マイクなんかを採用する方向性も無くはなかったと思うが。

Zボタン

 PSコントローラレビューで書いたように、人差し指が担当するボタンが二つ以上あるというのは、何かと問題がある。
 GCにはRトリガの上にZボタンがあり、これが多くの問題を抱えている。

 まず名前と位置の関連付けがわかりにくい。直感的な位置は、YやXの奥というより、Rの上と捉えられるだろう。しかしZには右側の意味はない。
 色はGCの標準カラーと同じ青であり、またRトリガとしては小さい。その上、Rトリガとコントローラ上面の隙間に押し込んだような位置にある。これらの事が合わさって、非常に気づきにくいボタンとなっている。ゲームの中で一番難しい謎が、「コントローラのZボタンを発見する事」だったりしかねない。
Zボタンはこっちから見ないと気づかないぞ!

 PSコントローラのように押し間違う事はまず無いが、とにかく押しづらい。
 デザインがほぼ決定した後に、慌てて隙間に押し込めた、という感じだ。
 ボタンをもう一つ増やしたいなら、ホリのデジタルコントローラのように、Yボタンの横あたりに配置するべきだったろう。

コントロールスティック

 N64で採用されたアナログスティックはソフト側のポリゴンによる3D表現という革新とマッチしていた。アナログスティック非対応の3Dゲームは、それだけで評価が2段階は落ちてしまう位にマッチしている。
 N64ではまだ十字ボタンの補助のような位置にあった3Dスティックだが、ふたを開けてみるとほとんどのゲームが十字ボタンの方が補助、もしくは全く使わないという状態であった。
 そこで、GCではコントロールスティックをメインの位置に持って来てある。

 N64でもスティックの根元に8方向の刻みがついており、スティックがさしている方向が分かりやすくなる工夫がされていたが、GCではその刻みが深くなり、より分かりやすくなっている。
 これは、スティックが固定できずに自機がフラフラすることを押さえる効果もあり、非常に嬉しい工夫と言える。
 と同時に、微妙な操作が必要な時に刻みに引きずられてうまく行かない、という事も起きるため、一長一短と言った所。

 それからN64の3Dスティックは、スティックの上の円盤が小さく平たすぎる上に材質も硬いこともあり、少々痛かった。
 GCではそれらの問題は全て改良されており、円盤は大きく上面が丸みを帯び材質も柔らかく触感の良いものになった。
 実際は丈夫で問題は無かったものの、細くて視覚的に不安のあったスティックの軸も、GCでは太くなって安心感が出た。

 かなり改善されて快適になったアナログスティックだが、刻みの方向をもう少し右に傾けてほしかった。
 まだ少し、スティックを倒す方向とゲーム内の反応に違和感がある。

十字ボタン

 かつてファミコンを大繁栄に導いた立役者である十字ボタンは、GCではPSのデュアルショックのアナログスティックの位置にあり、その大きさもゲームボーイと同じ小ささ(というかまるっきり同じパーツっぽい)であり、完全におまけとなっている。

 小さい上に位置も悪いので、もともとがデジタル入力装置用に作られたゲームでも、十字ボタンで遊ぶよりアナログスティックで遊んだ方が快適な位だ。
 個人的にはN64の次の機種では十字ボタンは無くなるんじゃないか、と思っていた位なので、マジいらねー、って感じもする。

 ただし、方向キーではなく左側にもボタンが4つついたと考えれば、なかなかに使いでのある装置となっている。
 GCのソフトでは、主にマップ表示用のボタンとして定着している。

Cスティック

 左のアナログスティックがコントロールスティック、右のアナログスティックがCスティックという名前。
 位置や形がだいぶ違うが、PSのデュアルショックみたいに、左スティック右スティックでいいんじゃないか?
 AがボタンBもボタン、それでなんでCがスティックなんだ。意味が分からん。

 ところで、FPSにおいては、視点を移動するのにもアナログスティックが欲しい。むしろFPSはキャラの移動はデジタルでも、視点移動はアナログである方が嬉しい位重要な装置と言える。
 しかしN64では視点変更(移動)用のCボタンはデジタルであったため、結局は視点移動としては何かボタンを押して主観視点モードに切り替えて3Dスティックで視点移動を行う、というゲームが多かった。

 そこでGCでは右側にもアナログスティックを置いて、視点移動がスムーズに行えるようにしたようだ。これは実に快適。
 ただし、単体で見たCスティックは位置が下すぎる事もあって、メインのコントロールに使うほどの操作性の良さは無い。
 乳首のような形のスティックの触感は良好。指が痛くなる事も無いし、つるつるすべってしまう事も無い。
 補助入力装置としては、及第点を軽く超えていると言えるだろう。

 ちなみに十字ボタンも含めて、PSのデュアルショックのアナログスティックのレイアウトを参考にした(有り体に言ってパクった)ことは想像に難くない。

START/PAUSE

 スタートボタンは窪んだ部分に存在している事と、かなり小さい事もあり押しにくい。
 スタートボタンはある程度の押しにくさが必要であるとはいえ、ちょっと極端な気がする。
 中央にあるという時点で押しにくさは十分と言えるので、ボタンはもっと大きく、高くしてほしかった。

 試しに、適当な大きさに切った段ボールを一枚上に貼って使ってみたら、かなり快適になった。
 GCコントローラではZボタンに次ぐ失敗だと思う。

おかしな名前はなぜ付いた?

 GCのボタンやスティックの名前はN64との互換性を大切にした結果である事は容易に想像できる。
 ハードウェア設計のかなり早い段階で、N64のソフトウェアの移植が容易であることが分かっていた、もしくは最初からN64で開発中のプロジェクトを容易に移行できるようにハードウェア設計されていたと思える。
 XYボタンのことを考えると、SFCからの移植も考えていたと思える。
 実際、N64の移植であるどうぶつの森ゼルダの伝説 時のオカリナなどもあり、SFCからはパズルコレクションがある。
 ここで、任天堂が自社のハードウェアのエミュレーション技術に関する特許を取得した、という情報を合わせて考える。
 すると、どうもゲームキューブは、エミュレータとして設計されており、コントローラもエミュレーションに対応できるものが求められ、結果このボタン名が採用されたとすれば得心がいく。

消えた拡張ソケット

 振動機能が内蔵されたことで、N64コントローラの下に付いていた拡張ソケットが無くなった。
 N64で最も成功した拡張機器は振動パックであり、最終的にはほとんどのソフトが対応した事から、この判断は正しいだろう。

 しかし、拡張ソケットを無くした事で、新たな入出力装置や遊びの芽を摘んでしまったことは残念である。
 もしGCのコントローラに拡張ソケットがあれば、まず間違いなくGBで好評の傾きセンサーパックが発売されていただろう。

 とはいえ、本体付属のコントローラが新しい遊びを提供できない分、ゲームボーイアドバンスをコントローラとして使用できるので、そちらが新しい遊びを提供している。それはそれでアリかもしれない。

まとめ

 このGCコントローラだが、ホリのN64用コントローラ「ホリパッドミニ64」そっくりだ。
 任天堂がホリをパクった、と言っても良い位にN64標準コントローラからの改良の方向性が似ている。
 全体を小さくし、アナログスティックを中心に配置し、十字ボタンをその右下に。そしてアナログスティックの形などは、ホリが任天堂にライセンスしたんじゃないかというくらいGCと同じ。

 コントローラの形状は痛い所を削って丸くして丸くして、手に吸い付くようにフィットする、非常に完成度の高いものとなっている。
 それと同様に、定評のある装置を無難に取り込んだため特に新しい部分がない上に、拡張ソケットも無いこのコントローラは、完成度は高いが遊びが少ないコントローラと言えるだろう。

 そこで結論。

任天堂コントローラの集大成、それだけに新しさはない