トップビュー考察

2Dゲームの代表的な視点、トップビューの持つ利点・欠点

姫さま、後ろ後ろ!
日常、人はトップビューで見ることはない

トップビュー(上面図)とは

 真上から見た視点であるトップビューは、RPGアクションRPGシューティングゲーム等で多く使われる、一番ゲームらしい視点と言えるかと思う。

ARPGのトップビュー

 トップビューは、3次元の世界を2次元の世界で表現する際に、情報をどのような切り捨てる、あるいは盛り込むか、という観点で作られた画面と言える。
 その発想は、カメラアングルというより、図面としてどういう描き方をするか、という事に近い。

 今回の記事は、以前の記事の「ゲーム密度」を先に読むと、より分かりやすいかと思う。

トップビューの特徴

 まずは、トップビューの持つ特徴を並べてみよう。

平面の移動が可能

 地面を二次元的(平面的)に動き回るのが人間であるので、移動という観点からは日常的な空間を作りやすく、特にRPGとは相性がいい。
 これは、画面全体にキャラクタが移動できて無駄が無いため、ゲーム密度を上げやすいということでもある。
 分かりやすく言えば、画面ぜんぶを「調べる」事ができるわけだ。

方角がはっきり分かる

 トップビューの背景がゲームではマップと言われる事からも分かるように、視点というより地図の感覚に近い形で利用される。
 そのため、画面上が北となり、左が西、右が東、下が南となるのが、ゲームの中では不文律として存在し、東西南北が常にはっきりしているので、迷いにくい。
 ただし、ナムコアサルトやファルコムブランディッシュのように、自機(プレイヤーキャラ)は常に上を向いていて、背景の方が回転するシステムの場合、上が北という決まり事は崩れ、トップビューでも迷いやすくなる。

ものの形が分かりにくい

 基本的に、我々は地面に張り付いて生活しているので、実生活では馴染みの無い視点である。そのため表示されるものの形を認識しづらいという問題がある。
 完全に上から見たキャラクタや背景を描いたのでは、プレイヤーが認識できない。

縦方向の移動が不鮮明

 完全なトップビューならば、上(画面手前)にキャラクタが移動したとしても、全く見た目が変わらない。
 結果、ジャンプという行動が、非常に分かりにくい。
 飛んでいるものと地面にいるものの区別のような、高度の表現は困難。
 それを逆用しているのが、多くの縦スクロールシューティングゲームで、空中の敵も地上の敵も、同じ弾で破壊できてしまう。

パターン数

 完全なトップビューの場合は、4方向でもパターンを1つ、8方向でもパターン2つを上下左右に反転させることでまかなう事ができる。
 つまり、1つパターンを描けば4倍にする事ができるわけだ。
 矢印などの記号的なもので構成されたパズルゲームなどでは、この利点が活用される。

 初期のトップビューではキャラクタは表示されず、現在地を示すマーカーが表示されている事が多かった。
 その後マーカーはキャラクタに変わったが、例えばエニックスドラゴンクエストではまだ正面向きのみで4方向に移動していた。

 その後多くのトップビューのゲームは斜め見下ろしになっていくため、左右はパターン反転で作られるが、上下向きはそれぞれ作らなければいけなくなり、1つのポーズで3パターンは必要となった。
 さらに、ナムコドルアーガの塔では、盾の位置がゲーム攻略上極めて重要となるので、左右も反転ではなくそれぞれ作られているので方向分のパターンが必要となる。
 結果としてトップビューはメジャーである割に、パターン数が必要な視点となったわけだ。

現実には見えない部分まで見える

 上からの視点だと、キャラクタの背面は勿論、壁の向こう側まで見えてしまう。
 その不自然さを解消するために、キャラクタのいる場所から繋がっていない通路は表示しないようなゲームもある。
 しかし、折角の画面が何の情報も無いもので占められているというのも勿体ない話で、多くのゲームでは逆に自然にヒントを与える事ができるという利点として使われている。

非コンピュータゲームからの転用

 非コンピュータのゲームの多くは、盤上などの平面で行われるため、アイディアを転用しやすいというメリットもある。

欠点克服のために

 今度はトップビューの持つ欠点を克服するための工夫を並べてみよう。

オブジェクトを横から描いてしまう

ゲームではウソの方が正しい?!

 トップビューであるならば、左のような絵になる筈だが、ゲームの上では右のように描く。これで、認識しづらいという欠点は克服できる。
 いわば写実から記号・アイコン化するわけだ。

 等高線発明以前の地図では山は横から見た形で描くのが当然であったし、現在でも観光地図のようなイラストマップではお馴染みなので、上から見た地図に横から見たオブジェクトという摩訶不思議な絵だが意外に違和感が無い。
 写真のように絵を描くのではなく、人が認識する形を置くということが、ゲームの絵では必要なのだということが理解してもらえると思う。
 この原則は、ポリゴンになったからと言って変わるものではない。現実と同じであることが重要なのではなく、分かりやすいということが重要なのである。

斜め見下ろしで描く

 少し視点を横方向に移動する。これにより、トップビューの持つ多くの問題点を解消することができる。
 トップビューとサイドビューの中間的手法であり、実際のトップビューはほとんどこれを採用している。
 横方向のジャンプだけを取り出すと距離も測りやすく、サイドビューのジャンプアクションと遜色無くなるので、トップビューとサイドビューのゲーム性を同居させることができる。

壁の部分が左は真上、右は斜め見下ろしになっている

 この方法を採用すると、重ね合わせの問題が出てくる。上図の右側を見れば、キャラクタが壁の後ろに隠れているのが分かるだろう。
 今や、この程度の重ね合わせで困ることは無いが、初期のトップビューでは、これができるかできないかが、プログラム技術やハードウェア能力の差となっていた位に面倒なことであった(大雑把に言って、ファミリーコンピュータとスーパーファミコン、ゲームボーイとゲームボーイアドバンスの差)
 ただ、キャラクタが画面から消えてしまうことを避けるためや、調べにくい場所を作らないという目的で、あえて重ね合わせをしないということもある。

 斜め見下ろしで描くと、建物の横や後ろが分からなくなる、つまり入り口が南にしか作れないという問題も出る。
 この問題を避けるには、上図左のように建物は人間の腰の位置ですぱっと切って、模型のカットモデルのように表示するという方法がある。この方法はむしろ、重ね合わせの省略やマップチップの量を減らすということが主な目的であるが。
 建物の横や裏に入り口があることを示すために、道を描いておくというのも、良くある対処法である。

 斜め上から見ているのならば、1チップは正方形ではなく、縦(奥)が少し圧縮された長方形になる。
 ファミコンなどは若干の横長ドットなので自動的に1チップも横長の長方形になり、斜め見下ろしとビジュアル的な相性がいい。
 ただ、横長の長方形だと左右ならスイスイ進めるのに上下だと遅くなるので、結果としてプレイヤーは左右にばかり動いてしまう。
 その上、人間の目は左右方向の動きに敏感であることや、ディスプレイが横長である(先がよく見える)こともあって、上下に動くことが億劫になってしまう欠点もある。

 他のハードウェアでもドットの縦横比は様々に異なる。
 パソコンや(携帯ゲーム機も含む)モバイル端末の多くは1:1の正方形に近く、マップチップも多くは正方形となり奥行き感は薄まりがちだが、縦横の移動量が等しくなるので操作感としてはしっくりくる。
 このように表示領域全体の縦横比や、表示されるドットの縦横比により、表示・操作の印象にばらつきが出るため、移植版を遊んだ時に違和感が出やすい。

斜投影図で描く

 斜投影図として描く方法もある。トップビューとクオータービューの中間的手法である。
 非常に立体的な表現であることが特徴で、背景に存在感がある。
 任天堂MOTHERやナムコパックマニアなどが採用しているが、それほど多くのゲームで使われている手法ではない。

右が斜投影図

 入力方向と移動方向が感覚的に違ってしまう、マップチップの量が多くなりがち、南北の方向が曖昧になる等が主な問題。

 立体を表現するためだけに必要で、ゲーム的には何の意味も無い絵の量が増えるので、結果として画面のゲーム密度が落ちてしまう。

 南北方向が斜めになるので長さが分かりにくくなり、ジャンプアクションで採用すると、無駄に難易度が上がる。無駄に上がるというのは、単にイライラするだけで難しいものをクリアしたという達成感はさほど上がらない、という意味だ。

 ただ、この立体感は捨てがたいし、マップチップを長方形で作ることができるし、データも平面的なものがあればだいたい事足りるので、ほとんどは通常のトップビューと同じ方法論が適用可能ということは利点である。

まとめ

 複合的な要素を表現できるトップビューは、複合的な要素が絡むアクションRPGとの相性が非常に高い。
 アクション要素とストーリー要素が絡むゲームでは、ポリゴンを使ったゲームでも基本となる視点である。

 そこで結論。

見やすい、操作しやすい、分かりやすい、ゲーム視点の王道