ふしぎの海のナディア

対応機種・周辺機器
メガドライブ
ジャンル
アドベンチャーゲーム
著作・制作
©NHK・NEP ©Bandai Namco Entertainment Inc.

基本情報

 オタクの総本山ガイナックスが、おそらくほとんどNHKを騙して制作した、美少女とスチームパンク、メカと古代の神秘で構成される、オタクの夢がフィルム化したと言っても過言ではないTVアニメシリーズ。
 それがまたどう転んだのかナムコ開発のメガドライブ用のゲームとなった!
 なんでだ!?経緯がブルーウォーターよりも謎な本作。
 その内容はどんなものなのか!?

 アニメは楽しく見ていたが、本作がメガドライブに出た時は、確かメガドライブまだ持ってなかったのでスルーした。
 この度メガドライブミニ2に収録される運びとなったので、懐かしさとともにプレイ。
 というわけで、本記事はメガドライブミニ2でのプレイを元に書いている。

RPG - バトル

 当時ナムコはさんまの名探偵えりかとさとるの夢冒険といったアドベンチャーゲームを発売しているが、RPG的な移動シーンをメインにしたのは初だったかと思う。
 ちなみにデビルマンがアクションゲームだがサイドビューアドベンチャー的ではあった。

 海外ではSierra EntertainmentKing's Questやルーカスアーツマニアックマンションを代表とするスカムアドベンチャーシリーズなどサイドビューに近い形ではあるが、割と多い形式だ。
 日本ではRPG的な移動シーンのあるアドベンチャーゲームとしてはエニックス軽井沢誘拐案内があるが、エニックスドラゴンクエストによってRPGにアドベンチャーゲームが吸収された形になったので、その後に発売された本作はかなり希少な形式と言える。
 この手のものとしてはその後ヘクトイーハトーヴォ物語や任天堂マーヴェラス -もうひとつの宝島-、NEC Home ElectronicsPrivate eye dol、ギブロ(エニックス)七ツ風の島物語、ラブデリックmoonといったものが発売されているがジャンルとして定着するに至っていない。
 ただRPGツクールなどで製作するゲームとしては比較的見られるので、そちらが主体として定着していると見てもいいだろう。

ストーリー

 原作であるTVアニメ放送中に発売されており、TVアニメの終盤は初期プロットから大きく変更されている。
 そんなわけで図らずも本作は、前半はTVアニメを追体験し、後半は初期プロットを体験できるファンにとっても見所のあるゲームになっている。
 加えてふしぎの海のナディアはNHKで企画された幻の宮崎駿による未来少年コナン2(タイガアドベンチャーではない)の転用であり、天空の城ラピュタの兄弟企画でもある。
 その辺も加味すると、ブルーウォーターと飛行石の類似やエンディングの展開も味わい深い。

 最終的にできあがったストーリーは本作を単体で見てもかなり完成度は高く、アドベンチャーゲームとして出色と言っていい。
 TV版と比べてもゲーム版の結末の方が好きな人も多いのではないだろうか。

プレイ

 ゲームのプレイ感は前述の通りJRPGから戦闘を抜いた感じのもので、概ね快適だ。
 ただ、[つかう]と[みる]の結果が一緒だったり[はなす]や[わたす]の対象が目の前のキャラではない上にほぼコマンドとして意味のないものだったりして、企画書通りの出来となっているか疑問だ。
 また入り口の判定が異常に厳しく部屋の中に入るのに微妙な操作を要求される、移動スピードが遅くダッシュ操作もないなど、マップ移動部分に関しても洗練されているとは言い難い。

 音楽に関しては曲自体は悪くないものの妙に音量が大きく、邪魔に感じる場面が多かった。

 カートリッジのゲームであるためROM容量が(当時としては大きいとしても)かなり厳しく、単調なマップが続くことが多く、紙にマッピングするなどしないとかなり迷う。
 アニメのOP再現(もちろん、まったく完全ではないが頑張ってる)や中間デモなどビジュアル面に凝っていて絵の出来も良いのだが、すっぱり諦めてマップデータに回して欲しかった。
 とはいえ、アニメで見たノーチラス号の艦内を主人公ジャンを操作して動き回れるというだけでも嬉しくなってしまうのは原作付きの強さだ。

 本作はパスワードコンティニュー方式だが、全6章の章ごとにしか再開できないのも痛い。当時としてももう少し細かく区切っても良さそうに思う。
 メガドライブミニ2のどこでもセーブ(ステートセーブ)機能がなければ、挫折していたかもしれない。
 加えてパスワードで盛大に次の展開のネタバレしているのも、いただけない。

謎解き

 戦闘がない本作においては謎解きが主なプレイとなる。
 ヒントが弱い感じはあるが極端に理不尽なものもなく、及第点以上のできだ。
 プレイ時間を確保するためか、やたら移動させるところが不満ではあるが、当時としてはプレイヤーもそれはそれで楽しめたと思うし、メガドライブミニ2なら前述のステートセーブ機能があるので、快適さの感覚としては当時のプレイヤーとどっこいではないかと思う。

 わりと簡単にジャンが死んでゲームオーバーになるのは、ICOM Simulations(ファミコン移植ケムコ)シャドウゲイトを思い出させてくれて、悲惨というより面白くなってる気がする。

まとめ

 まずは版権が複雑に絡む本作をメガドライブミニ2に収録してくれたセガ他関係者各位にお礼を言いたい。

「原作付きゲーム = クソゲー」の法則がほぼ破られることがなかった当時としては、プレイして落胆することのないレベルを持った本作は、ほとんど奇跡の完成度と言える。
 ただ、原作ファンでない人にとってはやや厳しい作品であることも否めない。

参考

 そこで結論。

TVアニメのファンには是非ともプレイしてもらいたい逸品