ドラゴンクエストヒーローズⅡ 双子の王と予言の終わり

対応機種・周辺機器
PS3・PS4・PS Vita・Switch(1人)、オンライン(1〜4人)対応
ジャンル
アクションRPG
著作・制作
(c)スクウェア・エニックス/コーエーテクモゲームス(オメガフォース)

基本情報

 本作は前作ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城を基本的に踏襲した作り。
 ざっくり言うと、コマンド選択式ドラゴンクエストをうまくアレンジして4キャラ切り替え式の3DアクションRPGにした傑作。
 歴代のキャラやモンスターが集合する、お祭り的なソフトでもあり、初代ドラゴンクエストの発売から30年の記念作品ともなっている。

 PS3・4およびVitaのマルチプラットフォームで発売され、翌年のにⅠ・ⅡをカップリングしたバージョンがSwitchで発売されている。
 本レビューはPS3版をプレイしてのもの。なお、PS4版のみ60FPSで他は30FPSらしい。もちろん解像度もPS4が一番良い。
 基本は前作通りなので、前作との違いを中心にレビューする。

登場キャラクタ

 歴代ドラクエの人気キャラは、Ⅳからトルネコ・ミネア、Ⅵからハッサン、Ⅶからマリベル・ガボ、Ⅷからはククールが追加された。
 まさかこのキャラが!? という意外性のない無難なラインナップだ…Ⅰから竜王、Ⅸからサンディがプレイヤーキャラとして参戦 ! ぐらいのサプライズ欲しいんですけど。
 なお、Ⅳのピサロ、Ⅴのビアンカ・フローラ、Ⅷのヤンガスおよび前作のオリジナルキャラはメインストーリーでは登場せず、「時空の迷宮」専用キャラとして無料DLCで追加される。
 Switch版は最初から全キャラが入っているが、キャラゲー的にはPS版も入れてて欲しかった。…スケジュールと中古対策などの兼ね合いで無理か。
 さらにSwitch版にはⅣのライアンも登場する。こうなるとⅣでブライだけ登場しないの切ない。じじい不足!

 個人的にはマリベル(CV:悠木 碧)がアラレちゃん走りする時点で、もう「勝ってるソフト」と言える。
 キャラゲーはイメージ通りの絵と声で好きなキャラが操作できる時点で満点あげていい。
 他のキャラもキャスティングに不満はない。

 ただ、本作オリジナルの主役の声は男女ともに性格と声質や演技にずれが感じられ、どちらか一人は戦闘から外せないシステムなので、少々辛い。
 男主人公の森山 未來に関しては聖☆おにいさんではゆるふわイエスお兄さんを好演していたので、上手い下手よりミスキャスト感が強い。
 ちなみに、山田 孝之の王子に関しては自然すぎて、逆に普通に声優使って良かったんじゃないか、とか思った。

 主役の男女の他に、オリジナルキャラの王子と女戦士もいるのだが、こちらに主役二人の役割も兼ねてもらった方が良かったように思う。
 転職システムにより特定の職業が割り振られないこともあり、主役たちのキャラが弱い。
 RPGの主役として無色な存在にしようとして、結果的にスカスカなキャラができあがってしまった感じだ。
 職業のバリエーションは連れていくパーティキャラで出して、主人公の転職システムはない方が、キャラゲー的にも正しいだろう。

本格的なオンライン機能

 本作ではオンラインでの共闘・対戦が可能となっていて、オンラインプレイ前提のバランス調整のようで、オフラインでのクエストの量が少なく感じる。
 オンラインのプレイヤーにゲーム本編の戦闘に参加してもらう救済システムもあり、これはすごく良い。
 助けた方もいいことして気分は良いし、経験値も多めにもらえる。
 前作から約1年半という制作期間を考えれば、前作の時点でサーバ側のシステムもかなりできあがっていたと見ていいように思う。

 ちなみに、オンラインゲームであるドラゴンクエストⅩで取り入れられた、一時的に経験値の量を増やす元気玉のシステムもある。

戦闘システム

 ほぼ前作通りだが、[わざ・じゅもん]がボタンに対応した4種類を超えて用意され、これを付け替えることで同じキャラでも違ったプレイ感で遊べる。
 効率優先だと自ずから設定するものは決まってくるが、効率を気にしなければ、お気に入りキャラをずっと使っていても飽きにくい工夫だ。

 新キャラのミネア・マリベル・ククールと主人公(職業による)は飛び道具を装備しており、遠距離からチマチマ攻撃を当てるプレイがやりやすい。
 こうなると指揮官として[さくせん]を指定するプレイがしたいところだが、本作でも仲間に指示は出せない。
 一応、仲間はそこそこ戦ってくれるし、補助魔法なども出し惜しみせずに使ってくれはする。
 あまり積極的に戦われてホイホイ死なれるのは最悪なので、現状は[めいれいさせろ]のノリでキャラを切り替える本作のシステムが最適解に近いだろう。

 前作ではとにかくすぐにテンションゲージが上昇する上にボタンで貯める事までできた。
 なので、魔物が大量に出るとテンショゲージ消費の[ハイテンション]からの[ひっさつわざ]を使っている時間がほとんどみたいな大味にすぎる戦闘になっていた。
 本作では[ためる]代わりに[たぎる]が用意されていて、しばらくボタンを押し続けてゲージを最大にすると能力が若干上昇する。
 大抵はゲージ増やす時間で敵を攻撃した方が全体としては早く倒せるので、使いどころがなさすぎて驚く。
 テンションゲージのたまり具合は好みもあるが、本作はちょっと遅いように思う。
 なお、演出が飛ばせない上に長すぎた前作の[ひっさつわざ]だが、本作はオプションで短いものを選択できる。

 全体的に体力が高すぎる敵が多いように感じる。
 そこそこレベル上げて被ダメージ1とかになっているのに、雑魚敵を倒すのに時間がかかってしまう。
 特にボスに体力が多い傾向が強く、加えて一撃で即死みたいな攻撃力なの、バランスがおかしい。
 といって、危ないと思ってから間に合うほど防御の使い勝手は良くないし、防御できても結構なダメージがある。
 油断さえしなければ食らわない攻撃が多いのだが、戦闘時間が長くなるとやっぱり油断する。
 結局は作業的にダメージを与えられる安全策を取ってしまい、倒しても達成感よりただ疲労感が残りがち。
 オンライン共闘でのバランスで調整しすぎなのかもしれない。

改善された回復手段

 回復手段のホイミストーンは前作と違い、拠点に帰ると無料で復活するようになり使いやすくなった。
 ただ、他の回復手段も増えたので、このシステム自体なくしても成立するように思う。
 できれば、この操作を[さくせん]に割り当てて欲しかった。

 クリフトが僧侶の本分である回復呪文を思い出してくれた。
 さらに、ミネア、トルネコ、主人公たち(職業による)が加わり、前作の回復役ゼシカ一択の歪なバランスから脱却。
 また、テリー以外にも自分自身を回復させる技を持つものも多く、回復手段が充実した。

 サポート回復キャラのホミロンは、ストーリー進行により成長してじゅもんが強化され、その際にレベルアップ演出も入る。
 もうちょっと頑張って、ホイミストーンや薬草のシステムをホミロンに持たせて利便性とキャラ起ちを高めれば、回復システムは文句なしだ。

強化されたモンスターコイン

 敵が落とすモンスターコインには消費型と設置型の他に、モンスターに変身するタイプが追加された。
 変身中のダメージはモンスターの体力と制限時間をまとめたゲージに加わるので、緊急回避的にも使える。
 設置型のモンスターは積極的に敵を探しに行くので、より使い勝手が上がった。

 ただ前作ではほとんど遭遇しなかった、進行不能バグにちょこちょこ遭遇した。
 オンラインで、特に大型モンスターに変身した際に発生することが多いようだ。

ドラクエらしさの増したマップ構成

 前作のマップ上の大型兵器はドラクエっぽくなくて良くなかったが、今回は逆にマップの仕掛けや立体感に乏しい。
 もちろん、毒沼や落石など仕掛けは色々あるが、印象的に弱い。
 マップではないが、コナミがんばれゴエモンシリーズのゴエモンインパクトを彷彿とさせる、巨大モンスターでの戦いがある。
 これに関しては、ゲーム的なできは若干怪しいものの印象深いナイスな仕掛け。

 開けない扉や宝箱が多くあるが、鍵の入手方法は多くの人が気づかなそうで、とてもよくない。
 強制ミッションで入手させるべき。
 そうすれば前に行ったマップに行き直す理由になるし、ついでにその場所特有の素材が手に入り錬金が進むという良いフィードバックがある。
 鍵をずっと手に入れられないと、そういうフィードバックがないだけでなく、頭の隅に気になる情報がずっとあるのに役に立たないという状態になってしまって不快。
 仲間の加入によって通れるようになる場所がいくつかあり、この点は良いフィードバックとなっている。

 前作ではミニマップと言えないぐらい大きくマップが表示できたが、本作では普通の大きさになっている、これはちょっと残念。

 前作では移動拠点によるマップ選択方式だったが、本作では新たな場所にたどり着くにはフィールドを進んでいき、登録した場所は世界のどこでもルーラで飛んでいける。
 この辺は非常にドラクエらしい方向への変更で好ましい。
 また戦闘終了後にいちいち拠点に戻っていた前作に比べ、本作では最低限の準備で次へ進む事もでき、テンポが非常に良くなった。

 フィールドではダッシュで素早く移動でき、敵と戦闘状態になるとダッシュ不能になる。
 これはウォーシミュレーションゾックのようで面白くもあるが快適さを損ねる面も大きい。
 攻撃ボタンを押して抜剣するまでダッシュ可能なシステムの方が良かった気がする。

 拠点が町になり、沢山の住民に話しかけられるし、壺や樽は一回調べると中身がなくなる(多分一度だけ復活する)と、前作のダメポイントが改善されている。
 しかし、そのような町はゲーム中ひとつだけで、結局はずっと同じ店で買い物することになる。
 そういう旅先の町で異国情緒を楽しむといったRPGの醍醐味がないのは寂しい。
 頑張ってさらに3つぐらい、住人に話しかけられる町を用意して欲しかったし、せめて福引屋程度のお遊び要素は欲しかった。

ストーリーは及第点

 シナリオは前作に比べこなれていて、台詞回しも素人臭さは少ない。
 そういう意味では及第点は超えている。

 メッセージ欄に顔グラフィックが表示されるのだが、目の前にちゃんとしたクオリティの3Dキャラがいる場合の意味不明感がすごい。
 この辺は前作よりはチグハグ感が減ったものの、まだドラクエらしくかつ3Dアクションでも違和感のないシステムを構築できてない。

 また、マップ上で話が展開することが少なく、プレイヤー操作による(インタラクティブな)ストーリー性の弱さを感じた。
 大抵はステージ開始前後にムービーが挟まって話が進む。
 敵対→和解の成り行きがムービーだけで片付けられる事が多く、「お前そんなに物分かりいいなら、もっと早く和解してくれよ」みたいに感じてしまう。
 それに仲間が加入する際の流れが、前作以上にムービーだけで解決されていて淡白。

 ゲームに於けるストーリーはプレイヤーがゲームを続ける理由になればそれでいい。
 のではあるが、やはり納得しやすい話とそうでない話はあるわけで、本作はギリギリダメな感じ。

 例えば、男主人公の口癖の「じわじわたぎってきたー!」というのは[たぎる]システムを思い出させるので、きちんとゲームと絡んだいいキャラづけだ。
 しかし前述のように[たぎる]が役に立たないので、なんか「失敗した製品の在庫さばくために広報やらされてる若手アイドル」みたいな悲哀を感じてしまう。

 この辺、想像に過ぎないが、シナリオを外部に発注した悪いところが出ている感じだ。
 職域をはっきりさせるためにゲーム内の区切りも綺麗に別れ、結果プレイヤーに違和感を与えている。

その他

 敵を倒して手に入る素材は常に自動回収されるようになり、非常に快適になった。
 拾いに行く必要があるのは、薬草などのその場で使用されるアイテム、そして枠に限りのあるモンスターコインということで、この辺は順当かと思う。
 敵から入手する以外に、フィールドの光ってる場所で素材を入手できるのも退屈感が減って良い。

 錬金釜に関しては、交換システムによって素材の偏りが緩和されるとか、付加能力が運頼みではないとか、最初の錬金以外はアニメーションがカットされるとか、的確に改善されている。
 とはいえ、ある程度以上やり込もうとすると不毛な素材集めに突入してしまう面は強い。

 ○ボタンが、[たぎる][ハイテンション][ひっさつわざ][しらべる]と機能が多すぎて暴発してよくない。
 これに関しては、×が[ジャンプ]と[しらべる]を担当していた前作のバトルステージの方が良かった。
 その他、ボタン説明が出る位置がコントローラのボタン位置に対応してなかったり、微妙なところでUIを詰め切れてないところはある。

 巨大キャラとの戦闘時は大きくカメラが引くようになって、敵の足しか見てない状況は減った。
 ただ、ロックオンの使い勝手はいまひとつ快適でない。

まとめ

 前作のレビューで指摘した難点がことごとく改善されていて「このレビュー見て作ったのか?」と勘違いするほどだが、レビュー書いた時点でⅡは出ていたので関係ない。
 むしろ、すでにⅡの情報を知ってて書いた八百長レビュー、みたいな空気出してしまってて若干ビビる。

 キャラやモンスターも音楽も既存のドラクエのアレンジで出がらし感もあるものの、キャラゲー的には非常に正しい選択と言える。
 音楽のイントロどころか、ピッと効果音が聞こえた時点でもうドラクエなのでずるい。好き!

 ともあれシステムはかなり整ってきたので、そろそろミスタードラクエ堀井雄二自身がこのシステムを使って、既存キャラに頼らないドラクエを作って欲しい。
 これだけよくできていても、売り上げ的には開発費が回収できているか心配になるほどなの残念だし(中古商品買ってる人間が言うのもなんだが)

参考

 そこで結論。

傑作を磨いた傑作だが、マリベルが出るから大傑作