アナザーコード:R 記憶の扉

対応機種・周辺機器
Wii(SDカード対応)
ジャンル
アドベンチャー
著作・制作
(c)CING / Nintendo 2009

基本情報

 DSの二画面やタッチペン、マイクなどの新機能を使い倒すアドベンチャーアナザーコード 2つの記憶の直接の続編。
 本作はWiiリモコンの機能を使い倒す。

 開発はアドベンチャーゲームのリバーヒルソフトの血を濃く受け継いだCINGが担当。
 プロデュース宮川卓也、シナリオ・ゲームデザインは鈴木理香、キャラクタデザイン金崎泰輔という、名作・傑作を作り出した万全の体勢だ。

ストーリー

 一応、前作をプレイしていなくても問題なく話にはついていける。
 なぜなら丁寧に前作のおさらい情報が入っているから…つまりネタバレ全開ということ。
 DS持ってるなら、絶対前作からやったほうがいい。前作はプレイ時間が短いので気軽にいける。

 前作から3年、16歳となったアシュレイは、研究が忙しく普段あまり会わない父親からジュリエット・レイクでのキャンプに招待される。
 本作はSF的なガジェットと同時に幽霊なんかもいる、ちょっと変な世界観を持っている。
 こういう常識が現実と異なる世界ではトリックが成立しないので、本作は湖周辺を巡って記憶の断片を取り戻していくというところが主眼となっている。

 シナリオは孤島であった前作と異なり、本作は湖畔のリゾート地が舞台で登場人物が20人ぐらいいるので、安定の鈴木節が堪能できる。
 たくさんの登場人物も、シナリオ進行にしたがって細かくアップデートされて使いやすい人物相関図が用意されており、迷うことはない。

グラフィック

 アドベンチャーゲームとしては珍しく、全編に3Dグラフィックを採用しているのが特徴だ。
 2000年代後半のゲームは3DCGは実写のようなリアルさを目指すもの、という常識が落ち着いて、色々な方向性が出てきた時期と言える。
 本作は水彩イラストっぽいテイストで、3Dの絵でありながらもジュブナイル小説の挿絵のような雰囲気がある。
 これはシリーズの「触れる小説」のコンセプトによく合っている。

 ほぼ全ての画面で主人公アシュレイが表示されており、細かく表情が変わったり身振りをとったりする。有り体に言って可愛い。
 アメリカを舞台としており、会話シーンの身振りが大げさでも違和感がないのが良い。

システム

移動

 屋外や廊下の移動は基本横スクロールで、舞台のような雰囲気の画面で進行する。
 サイドビューのアドベンチャーはルーカスアーツマニアックマンションなどあまり多くないが、好きなシステムなので嬉しい。

 横スクロールで複雑なマップ構成のゲームは難しい面が色々あって、その辺はサイドビュー考察でまとめているので、興味があればそちらも読んでほしい。
 本作では、北と東向きの2面かつ直角の方向からしか表示しない、曲がる際はアニメーションして連続性を失わないようにしている、奥や手前に移動できる箇所はガイド表示だけでなく振動でも教える、常に簡易マップ表示があるなどなど極めて丁寧に作られている。
 また、背景がリアルさをある程度持ちつつ舞台の書き割り的に作られているので、奥に進みたい欲求が生まれにくくなっていて、野外でも移動時に違和感が少ない。

 アシュレイは足が速くて移動がスムーズなのと、ひとつの謎を解くのにマップの端から端まで移動の必要があるということがないので、ワープ的な移動方法がないにもかかわらず、プレイは快適だ。
 また、長い距離を移動する際の早送り演出で、先の風景が飛び出す絵本のようにポコポコと立ち上がっていくのが面白い。
 ただ流石に移動するだけでは間が持たないので、例えば昆虫図鑑を埋めるみたいな収集要素があってもよかったかもしれない。画面には虫が出てくるので、すごく捕まえたいのだ(写真でもいい)

謎解き

 屋内に入ると室内をいくつかの角度で区切って見回すモードとなる。
 この辺は、脱出ゲームで一番メジャーなクリックアドベンチャーシステムだ。

 脱出ゲームでありがちな、ポイントしづらい箇所にアイテムを隠すと言った意地悪配置がなく、単に調べてないことによる手詰まりが存在しづらい。
 ただ、探索可能な箇所の量がそれなりにあるわりに、テキストは淡々としたもので少々退屈。
 一応、ジュースの空き缶が収集アイテムとして存在するが、もう少し細かい単位の探索の褒美が欲しかったところ。
 またCINGの他の作品との共通世界なので、ちょっとした繋がりを感じさせる仕掛けもあって楽しいし、監視カメラで展開される話もニヤリとするが、これらはオマケの域を出ない。

 基本はポイント対象を調べたり、取った道具を使ったりというスタンダードなもの。
 それに加え、ちょこちょことWiiリモコンを使った仕掛けが組み込まれており、本作の特色となっている。
 リモコンを色々な道具に見立てて謎を解く…というか、説明書なしで操作方法を当てるクイズみたいな感じだ。
 ゆっくり試せるメイドインワリオというか。

 全体に謎解きは難しすぎず、と言って見た瞬間にわかるというわけでもなく、なかなかいい難易度でストーリーを阻害することなくうまく組み込まれている。
 ただ、アシュレイはギタリストを夢見ているのにギターを使う仕掛けがないなど、ストーリーと融合しているレベルには達していない。

会話について

 記憶が蘇った時にちょっとぼーっとして誰かに話しかけられて我に返るパターンが繰り返されすぎるのが気になる。
 また、章の最後におさらいクイズが出されてストーリーの振り返りがなされる。
 おさらいはアシュレイの脳内で展開されるので、ちょっとアシュレイぼーっとしすぎ。
 振り返りは、ジェシカおばさん(事件簿じゃないよ)に事件の後で説明している体で、会話にしたほうが良かったんじゃないかと思う。

 ハードボイルド系だとモノローグはかっこよかったりするのだが、ジュブナイルでは収まりが悪い。
 大抵はマシュー少年と一緒なので、その時はいいのだが、ひとりの時はせっかくぬいぐるみを持っているので、ぬいぐるみに語りかけるなどして、会話化した方が良かったような気がする。
 この辺、相棒というシステムで語ったので、興味があれば参照のこと。

 文章を多く読ませるシステムに音声がついているのはまどろっこしいので、台詞に音声がついていないこと自体は正解だと思う。
 しかし、表情や身振りを見ながら台詞を読むというわけには行かず、ちょっと収まりが悪いのも確か。
 それらのアニメは雰囲気作りの存在なので、必ずしも見なくてもいいのだが、見なくていいんなら、そもそもアニメしなくていいんじゃね? という感もあり。
 ハードが高機能になって音声やアニメなどのできることが増えると、何を入れるべきかの選択が難しい。

 会話シーンは、中央で左右に画面が分割されて、それぞれに人物が表示される。
 ウィッシュルーム 天使の記憶でDSを本のように持って左右に人物を配置したシステムの転用と言えるかもしれない。
 いわゆる立ち絵システムと同じようなものとも言えるが、キャラを向かい合わせに大きく表示しやすく、会話をしている感が強いシステムだ。
 3Dになったことで、もっと掘り下げられそうな気もするが、本作ではカメラアングルなどの工夫は少ない。

 選択肢がたまにアシュレイのジェスチャで示されて、それが何を表しているのか想像しつつ選ぶのが面白い(しばらくポイントすると文字の説明も出るが)
 ここはアニメーションをうまく活用している部分と言える。

 会話中のキーワードが新たな選択肢(しつもん)となって出てくる。
 文字を読み続ける退屈さが多少紛れるが、話を聞く順番をちょっと選べる以上のシステムではないので、何か会話にゲーム的なシステムが欲しかった。 

 後、台詞回しが「これは○○だ」「○○って?」「○○とは…だ」みたいな回りくどいものが多く、新出のアイテムや人物などを印象付けようとしたのだろうが、いかにもテンポが悪い。
 最初から「これは○○というもので、…だ」と一気に説明してほしい。そのためにも、メッセージ行数は2行じゃなく3行にした方がよかったかも。

まとめ

 Wiiリモコンを活用した謎解きは、新しいおもちゃで遊ぶことの楽しさを素直に作っている。
 理想を言えば任天堂Wii SportsはじめてのWiiのように本体と同時発売を目指すべきソフトだ。
 ボリュームは少ないものの、本体発売から半年以内に出せた前作と比べても、2年遅れはいかにも遅い。
 DSでウィッシュルームを作っていたから会社的にはしょうがない面もあるが、売り上げ的には全く振るわない結果となってしまった。

 過去ログを読み返せるとか、ロード時のあらすじを表示や、ポイント対象の色付け、適切なボタンへの機能割り振りなど、システムは全体的に洗練されていて快適にプレイできる。
 ただ、ストーリーは畳み掛ける展開を見せることもできず、本筋に絡まないイベントも多く、平坦かつ散漫になってしまった。

 どちらかというとリゾート地の雰囲気を楽しむゲームになっているが、そちらの方向性としても中途半端。
 過去の記憶を求めていくというシナリオなので、章立てにして一本道にするよりどれからクリアしてもいいクエスト式にして自由に散策させた方が、リゾート感が上がってよかったろう。
 雰囲気という意味では、16歳女子が13歳男子を連れ回すというシチュエーションが、なんともムズムズしてよろしい。

参考

 そこで結論。

良作どまりだが、Wiiでは是非プレイしてほしい一本ではある