RPGツクールMV ロングレビュー キャラ編

今回はキャラ画像周りのことについてレビューします

MV規格になるには、まだ小さいね

MV登場以前のキャラクタ

 今回はゲーム中のRPGの登場人物(キャラクタ)の仕様とその画像をレビューしていく。
 レビューにあたり、前提としてのキャラクタ画像が持っている役割や歴史をざっとさらってみる。

 公式の表記に準じマップ中を移動するキャラクタ画像を「歩行キャラ」、(サイドビューの)戦闘中に表示されるキャラクタ画像を「戦闘キャラ」と呼ぶ。
 またメッセージウィンドウに表示される顔画像を「顔グラ」と呼び、戦闘中の敵画像を「敵グラ」と呼ぶ。
 なお、立ち絵はMV標準の機能ではないが、多くのツクラーが利用しているし、比較的簡単に表示する方法は用意されているので、準標準機能として扱う。

 引用として著作権的問題なく十分成立する範囲だとおもうのだが、正確なドットを入手できなかった。
 代わりに以下の自作ゲームのキャラクタを元に、名作のそれっぽいドットを打ったので参考にしてほしい。

RPGにおけるキャラクタの変遷


 ローグでプレイヤーキャラクタを示すのは @ ということはご存知かもしれない。
 @ = at 、つまりキャラクタであるというより場所を示す記号(マーカー)である(実際の採用理由は「なんか頭っぽいから」とか「記号が余ってた」みたいなことだった気がするが)
 夢幻の心臓の場合は四角い枠で、これは細かい重ね合わせも必要なく、現在地の地形がよくわかる利点があり当時スタンダードだった。


 ウルティマはプレイヤーの位置を示すのに白い人型のマークを使用した。
 この時点ではビジュアル的な特性を獲得しておらず、単に人間の記号であり将棋やチェスのコマに近い役割の絵だったと言える。
 夢幻の心臓Ⅱ軽井沢誘拐案内もまたマップ上はウルティマ式の白い人型であった。


 そんな中ドラゴンクエストの歩行キャラにカラーで個性のある絵と足踏みアニメーションがついていたのは革命的出来事だった。画面の中に確かにキャラクタの息吹を感じた。
 その後のシリーズではしばらくなりを潜めるが、装備(ローラ姫含む)によって歩行キャラの絵が変わるという仕様すらあった。
 一方ウルティマⅤになって色はついたものの主人公はずっと正面を向いたままな上に静止画だ。
 これは海外が遅れているとかではなく、方向性がドラゴンクエストを境に分かれ日本で独自進化をしているということだ。
 RPGツクールシリーズはドラゴンクエストの系譜なので、その後の海外の流れは興味深いが無視する。


 ドラゴンクエストⅡは進行方向に応じた4方向の歩行キャラが追加されたのが目立つ変更で、これにより[はなす]-[きた・にし・ひがし・みなみ]を簡素化できた。
 マーカーとして現在地を表す機能に加え、向きも示せるようになったわけだ。
 コマンドが持っていた指示棒(ポインタ)の役割を歩行キャラが持ったとも言える。

 アクション要素があるものならドルアーガの塔でもハイドライドでも、当たり前に4方向の歩行キャラがあったのだが、当時はリアルタイムでないターン制RPGに向きが必要だという発想がなかったのだ。
 今から見ると変な話だが、こういうものこそ「コロンブスの卵」というものだろう。

 そして、注目すべき変更がもうひとつある。
 ただプレイしているだけだと意外と気づかないのだが、タイルの下辺と歩行キャラの下辺の高さが合っていないのだ。
 歩行キャラを少し上にずらすことで上のタイルと重ね、立体感のある感じを演出している。
 歩行キャラがちょっと上にずれただけだが、これはマップ感覚の大転換であったと言える。

マップは真上から歩行キャラは横からで絵が判別できることを優先していたのが、立体的整合性を求め出した!!
  • 操作感覚としてはボード上のコマからラジコンを操作への変化
  • 視点としては真上からの見下ろしから斜め見下ろしへの変化
  • 舞台として平面的な絵から立体的なジオラマへの変化

 その後のRPGカンブリア大爆発により、茂みや浅瀬で下半身が隠れる、下に影をつける、手前の物体に隠れる、立体交差の上下の移動などの機能が追加されていく。
 画面の中のジオラマ世界に存在することを感じられる機能をRPGの歩行キャラは獲得していったのだ。

 ウルティマには歩行キャラが戦闘キャラとしても登場する。
 ただし、ほぼ戦闘級シミュレーションのコマとしての役割でありキャラクタ性は乏しい。


 逆にファイナルファンタジーの戦闘キャラはコマとしての役割をほぼ持っていない。表示はなくてもゲームは成立するレベルだ。
 だが、戦った時・呪文を唱えた時・ダメージを受けた時、それらに応じた動きを戦闘キャラが行うことにより、状況がわかりやすくなる。
 戦闘キャラが現在の状況の計器(インジケータ)としての役割も持つようになったのだ。

 さらにイベント時に歩行キャラに様々な動きが加わることで、演劇の観客的な立ち位置をもプレイヤーは獲得していく。
 RPGのキャラクタはここにおいて役者(アクター)であり、漫画やアニメのキャラクタ、あるいはぬいぐるみやペットのような愛玩対象(アイドル)としての属性をも獲得した。


 スーファミへの変化で大量の色が使えるようになったため、格段に表現力が高まった。
 スーファミ時代になった当初は16×16のままだった歩行キャラも、ほどなく縦に8ドット追加した16×24が主流となった。
 ドラゴンクエストⅤが代表的なタイトルだ。
 また、ROM容量の増加によってパターンも格段に増加し、さらに細やかな演技が可能になった。
 割り箸に絵を貼り付けた紙人形から、各種人形劇への変化が起きたと言える。

 この後RPGのキャラクタは顔グラや立ち絵、ムービーなども獲得していく。
 ここで押さえておきたいのは、RPGにおける歩行キャラ・戦闘キャラは以下の要素を持っているということ。

  • 現在地を示すマーカー
  • 画面の中の物体を特定するポインタ
  • 操作されるラジコン
  • 状況を示すインジケータ
  • 物語を演ずるアクター
  • 愛玩対象としてのアイドル

 そして家庭用ゲーム機はこの後3Dポリゴンへと進んでいくので、(基本的に)2DであるRPGツクールが目指しているのは、スーファミ時代までのRPGということになる。
 日本ファルコムを中心としたパソコン2DRPGの影響や、ケムコなどのスマホJRPG、ハンゲームなどのオンラインRPG、世界的な2DRPGスタイルの再評価なんかもあったりするが、この時点で大枠では2DRPG = ツクールRPG という状況が発生したと言える。

RPGツクールにおけるプレイヤーキャラの変遷

 さてそんな流れの中出現した我らがRPGツクールの歩行キャラはどうだろう。
 まずはロングレビュー マップ仕様編でも示した、歴代ツクールの画像仕様を見てみよう。
 ここでは、歩行キャラのデータとして重要な比率を追加した。

タイトルタイルサイズキャラサイズ比率歩行パターン画面サイズ画面タイル数
Dante16×1616×161:12176×14411×9
DANTE98・Ⅱ32×3232×321:12640×40020x12
9532×3232×321:12640×48020×15
2000・200316×1624×323:43320×24020×15
XP32×3232×482:34640×48020×15
VX・VX Ace32×3232×321:13544×41617×13
MV48×4848×481:13816×62417×13
ウディタ32×3232×321:13640×48020×15
ファミコン16×1616×161:12256×22416×14
スーファミ16×1616×242:33256×22416×14

RPGツクール95
 たぶん初期の英雄伝説あたりを意識したサイズ。影がついているのもそれっぽい。
 処理の負担軽減が理由だと思うが、歩行キャラ位置を上にずらす処理が入ってない(よね)

RPGツクール2000
 規格としては縦だけでなく横もマップタイルからはみ出てるが、実際描画される範囲はほとんどの歩行キャラで16×24で二頭身強のスーファミサイズだ。
 スーファミ的ドット絵の再現ができる表現力もあり、サイズが小さいので作りやすい。
 画面全体でも解像度をガクッと落としていて、スーファミの再現を狙ったことがうかがえる。
 個人的にはこの規格がほぼベスト。
 歩行キャラ位置をずらす処理は入ってないが、画像データ中で少し下からずらして描いてある。
 また縦に長く、タイルをはみ出しているので立体感もなかなかある。

RPGツクールXP
 マップに高さ情報があったらしく、縦に長い(と言っても3頭身弱)歩行キャラとなっている。
 ちょっと32×48はデカくしすぎではないかと思う。表現力はもちろん上がるが、ドット絵というより単に絵に近くなった。
 上手い下手がモロに出るし描くのに手間がかかる。カジュアルなコンストラクションツールを目指すなら規定の規格にしてはいけない方向性だったと思う。
 英雄伝説Ⅲ以降の高解像度化路線に乗った西風の狂詩曲テイルズウィーバーあたりは商売でやってるからできるんであって…
 実際、XPでユーザ製作の素材がめっきり減ったと聞く。

RPGツクールVX
 情報が多すぎることを反省してか、95以前に採用していた32×32に戻る。
 上に少しずらす処理も入っている。
 情報量が減って嘘がつきやすくなった。非常に使いやすいツクールと相性のいいサイズと言える。
 ただし、頭身が低すぎて新たなパターンを追加して演技させようとすると逆に実力が必要になるサイズだ。

RPGツクールMV
 そして今回のレビュー対象であるMVではなんと1.5頭身になっている。さらに体が縮んでいるのだ。この調子では次回作は生首になる!!
 しかも解像度は48×48に上がっている。そんなに高解像度な顔描きたかったら顔グラや立ち絵でよくない?
 分からない…ツクール開発部が目指している方向が全く分からない。

 48×48をでかいでかい言ってるのがピンとこない人もいるかもしれない。
 次の絵はファイアーエムブレムの顔グラの仕様で描いた絵だが、これが48×48なのだ。
 もうなんでも描けるし絵の上手い下手がモロに出るだけの情報量がある。しかもMVはフルカラーでもはや写真画質である。

─ 拡大 →
ファミコンは厳しい色数制限がある

 これよりさらに解像度上がると労力がかかりすぎてドット打つの諦めざるを得ない。
 逆に言うと最大限コストがかかるドットの解像度を絶妙に選択してることになる。
 ツクールでの開発は何億もお金かけられるプロジェクトじゃないんだから、この選択は完全にミスだと思う。
 何億もかけられるんなら開発ツールにツクールは使わない。

歩行キャラのサイズと頭身について

 歩行キャラの仕様とその問題について語っていく。

 ところで、頭身を数式で書くと、頭身 = 身長 / 頭の高さ、で求められる。
 1頭身とは頭だけの状態で、これを単位に縦にならべて身長全体にいくつ収まるか数えていく。頭と体が同じ大きさなら2頭身だ。
 また、頭身は高い低いで表現して、高頭身、低頭身、といった感じ。頭身を変える場合は上げる下げる。

MV歩行キャラのサイズと頭身

 収録素材の本棚などの家具は基本的に正面48×72、上面48×24で作られており、比率は現実の家具と似ている。
 なのに歩行キャラは48×48でめちゃめちゃずんぐりむっくり感に溢れてる上に家具に比べて小さい。
 家具と比べた感じとしては身長が1mないので、まともに家具が使える雰囲気が一切ない。
 なぜか扉だけ他の家具と違って正方形で歩行キャラの体格に合っている、つまり背景の中では違和感大爆発である。

 また、ちょっとした演技をさせようとすると、頭が大きすぎてバランスが取れずポーズが描きづらい。
 例えば単純に横に寝せると、頭が先に接地して体が浮いちゃうし、食事で口に手を持っていくこともままならない。
 なぜこんな低頭身の限界に挑戦するようなスタイルを採用したのか、謎だ。

 MVのように1タイルにきっちり収まるサイズにするメリットは、、シミュレーションRPGローグライクパズルのように歩行キャラをコマとして扱う必要があるゲームと相性がいいことだ。
 しかしRPGツクールは、そういうものを作るツールではないので特に標準で採用する意味はない。

高頭身にすると

 逆に6〜8頭身(以後リアル頭身と書く)ぐらいにすると、3パターン歩行ではガクガクに見える。
 イベントでポーズが少ないとお人形遊び感が出てしまう。というように大量の画像を用意しないと間が持たなくなる問題がある。
 パターンを減らそうと歩行キャラの座標を動かして表現しようとすると、異次元的な動きに見えてしまう。
 必要に応じてパターンを増やすと、ツクールのゲームの開発費がツクール自体の開発費より高くつくことになりかねない。

 さらに、マップ上に落ちているアイテムを直接描くとサイズ的になんだかわからなくなってしまう、といって大きく描くとリアルな歩行キャラとの収まりが悪い。
 例えば薬瓶を分かりやすく描くと、頭より大きな瓶になってしまう。リアリティの整合性と遊びやすさが衝突してしまう!
 とはいえウルティマⅥ〜Ⅷあたりはリアル頭身なのに堂々とでかいアイテム置いてたし、そういうもんで押し通せないこともない。
 また、アクションRPGはともかく、RPGはマップにアイテムがそのままある状況が少ないので気にならないかもしれない。

 縦に長いのでポイントしているのが足元なのか手元や頭なのか分かりづらく、歩行キャラのマーカーやポインタとしての機能が落ちてしまう。
 この問題を回避するには真上に近い視点で描く必要があり、実際ウルティマⅥ〜Ⅶではそういう方法をとった。
 しかしこの視点は人が生活している上で馴染みがないため動作も分かりづらく、歩行キャラを描きづらいという、デメリットも大きい手法だ。
 ちなみに3頭身ぐらいまではマーカーやポインタ機能はあまり落ちない。

 顔が小さいので歩行キャラに愛着を持ちづらく、有り体に言って可愛くないので、愛玩対象としての特徴が弱くなってしまうのも結構痛い。
 顔が小さくてよく見えないので、顔グラに頼りがちというのも問題だ。

タイルとの比率

 頭身の上げ方は全体を小さくするか大きくするかだが、小さくしてタイル1枚の中に収めると別の問題が出てくる。
 家具の横幅はタイル幅きっちりにして並べられるようにしないと、マップ作りが困難になる。
 しかしタイルに収まるサイズに歩行キャラを設定すると、幅タイル1枚の家具は大きすぎて巨人の家に迷い込んだような絵面になる。

 ファミコン時代は解像度が低いので、家具がでかくても、逆に木が人と同じ大きさでもそんなに問題ではなかった。
 しかし48×48では絵的なリアリティがありすぎて、嘘の露骨さが際立つ。

ベストはどこか

 3頭身はリアル頭身ほどではないにせよ、パターンが少ないことによる嘘っぽさが少し見えてくる頭身でもある。
 例えば椅子に座っていることを表現する場合、2頭身だと立ったまま椅子と重ねても特に変な感じはしないが、3頭身だと「なんで座らないの?」という雰囲気が出てくる。

左端から、公式収録、ダークファンタジー3頭身、鳶嶋3頭身、1タイルに詰めた3頭身、4頭身、リアル頭身。

 いろいろ試行錯誤した挙句、僕の場合は2.5頭身ぐらいのサイズを選択した。上図を見てわかるように、家具はそのくらいのデフォルメ感で作ってある。
 このくらいがシステム規定の歩行アニメ3パターンで違和感なくアニメーションする限界かと思う。
 これ以上高頭身になると歩行4パターンと停止時のパターンも必要になる。当然ダッシュ時も別に必要で爆発的なパターン増加になるので大変危険だ。

 数ヶ月かけて大きさを決めて、いくつかキャラも作って公開しはじめたたところで、公式がほぼ同じサイズのキャラ素材(ダークファンタジー/3頭身素材セット)を公開してきたのにはひっくり返った。
 ツクール開発部もそのサイズがいいと思ってんじゃん!! 最初からそのサイズにしておいてくれよ!! マージーでー!!!!

 頭身以外にも不満点がいくつかあったので、結局そのまま改変素材を作りました。【画像素材】公式キャラ改変 三頭身キャラです。
 身長がタイルを超える量が多くなると、重ね合わせを高層[☆]だけで誤魔化すのが難しくなります。特にジャンプが危険です。
 そこでプラグインTF_LayeredMap.jsとの併用がお勧めです。
 また前述のように縮尺の合ってない扉も周囲の家具と合わせたものを作りました。【画像素材】公式ドア改変 (三頭身キャラ対応)です。

 あと、terunonさんの ホコグラの頭身を自在に変えるプラグイン というのもあって、これを使えばキャラクター生成で作った歩行キャラの頭身も上げられます。
 ついでに、ツクール公式フォーラムではキャラ三頭身化計画というスレッドを作って3頭身キャラ情報を収集しています。

キャラの移動単位について

 タイルや歩行キャラの描き込みが高解像度なのに対し、移動の解像度が雑すぎて違和感がひどい。
 今までのマップのレビューでもその弊害と共に語ったが、なんとタイル単位でしか移動できないのだ。
 例えて言うと、画像の解像度がswitchなのに移動の解像度がファミコン。

 どーもツクール開発部の基本的な発想が「その世界に入って冒険する」のではなく「ボードの上のコマを動かして遊ぶ」なのだ。
 だからコマであるキャラは識別できればよくて背景もそう。移動単位はマス目に合わせて動く。
 リアルな背景のボードの上に三角コーンのようにまったくテイストの合ってないコマが乗っても、頓着しないという感じだ。
 わりと欧米というかTRPGの感覚に近くそれ自体は特に悪いことではないかもしれないが、ことRPGツクールの開発がその感覚なのは極めて問題が大きい。

 トリアコンタンさんの HalfMove.js というプラグインを導入すれば、その名の通り移動単位が0.5タイルになる。
 あまり移動単位が細かくなると、ものを調べたりパズルを作ったりする際にデジタルに配置できなくて、ポインタとしての性能が落ちてゲームとしては面倒臭くなる。
 おそらく2DのRPGフォーマットでは、0.5単位がベストと思う。

キャラクター生成機能について

 パーツと色を選んで組み合わせることで、顔グラ・歩行キャラ・戦闘キャラを生成できる機能がついている。
 以前MVのマップ画像に物申すの中で語ったのは以下のようなところ。

  • 着せ替え大好きなので、とにかく楽しい、時間が溶ける
  • パーツ位置を調整できないのは残念
  • ケモミミをつけたときに人耳を消せないとは何事!

 プレイヤーキャラや住人に使うのはもちろん、オリジナルキャラを作る場合もこれで雛形を作れるのはありがたい。
 なんならキャラクターデザインをこの機能で行うことだって、そう無茶なことではないぐらいの機能を持っている。
 ただし顔の特徴が、歩行キャラ・戦闘キャラに反映されないのはちょっと痛い。

 物量に関して欲を言えば果てしないが、最低限の水準は軽くクリアしていると思う。
 少なくともアップデートによって、ある程度の解消を見た。
 それぞれのツクラーのこだわりどころによって、髪型だったり服だったり顔だったり、絶対どこか不足はある。

 問題は収録素材の量より、新規のパーツを導入するハードルが、素材製作者的にも利用者的にも全面的に高いこと。
 まず戦闘キャラのパーツを用意する必要があるのがかなり辛い。使わない人もいるのに量が歩行キャラの4倍ぐらいある…もう気力が湧かない。
 戦闘キャラを諦めても色変え用のマスクを用意するのがまた大変。
 そして、キャラクター生成に追加する場合に特殊な場所(Macではアプリケーションのパッケージの中)に追加する必要がある。
 配布する際の説明も面倒だし、使う側としても当然面倒だしミスも発生する。
 特にファイル名の衝突に関する対策はなにもされておらず、勘でぶつからない名前をつける必要があるし、追加前にバックアップ必須。
 そうやって追加した素材も、バージョンアップの際に消える可能性もあってとにかく面倒臭い。
 種類が多い割にフォルダが、Female, Kid, Male の3つしか分けられておらず、男性用なら男性用の素材が全部ベタに入っている。
 数が多すぎて、一度入れたら目視で探すのは不可能なレベルだ。極めて管理しづらい。
 素材作るの大好きかつ着せ替え大好きな僕ですら、キャラクター生成用の素材作ろうとして挫折したからよほどだ。

 あとはざっと箇条書きで。

  • ツールバーのアイコンのできが悪い、しばらく「あれ? このスイカなんだっけ(ポチっ) キャラクター生成かー」を繰り返してた
  • 歩行キャラや戦闘キャラの画像は規定のサイズより大きいのも使えるが、キャラクター生成機能では素材を用意しても枠が広がらず作れない
  • 歩行キャラと同じ規格で倒れ画像が用意されているが、何故か同じものが3体生成されて意味不明
  • 作った組み合わせデータはJSON形式ファイルとして保存できて便利
  • 生成した画像は既に存在する画像ファイルに組み込みたいのだが、単体のファイルで出力され別途画像ツールで組み込む必要がある
  • 設定した組み合わせが[キャラクター生成]ウィンドウを閉じると初期値に戻ってしまうが、状態を保持して欲しい
  • 色の指定は用意されたパレットから選ぶだけでなく、細かな色の調整機能も欲しい
  • 顔グラはセリフが顔の右に表示されるのだから右を向いているべきで、なぜ前作から変えて左にしたのか謎

 全体としては非常に良い機能だが、素材の追加のしやすさがほぼ考慮されてないのが欠点という感じだ。
 VX Aceでの「標準で用意したのはパッケージ準拠の斜め顔で、生成は怖い顔になりがちな正面顔」という状況だった。
 MVは両方のレベルを「そこそこいける」ぐらいに調整して全体の完成度を上げたという感じで、それは非常に良いことと思う。

絵的な部分について

 システム的な部分についてはだいたい語ったので、今度は絵としてのキャラを中心に見ていこう。

キャラデザインについて

 パッケージの絵と中の絵が全然違うのは、やはりズッコケる。
 トリダモノさんが手がけるパッケージの絵(アルド)は最近の流行に乗ってる感じだが、ゲーム内のキャラ(ハロルド)たちは非常に野暮ったい。
 絵は上手いけど最近流行のイラストに詳しくない人が、頑張って寄せて描いた感じ、というか。

左がパッケージのアルドくん(追加素材)、右が収録素材のハロルドくん(ラノゲツクール素材)。

 とはいえアルドくんたちはディティールが細かくドット絵向きではない。これはのちに追加された2Pマーシャことマーシャ・エリンもそうだ。
 3頭身ならまだ再現できたかもしれないが、いくら48×48の高解像度といえ、頭が大きすぎて体に高さ16ドット程度しか使えないのだ、無理がある。
 この大きさではハロルドくんでもディティール過剰なぐらいだ。2000の絵(アレックス)ぐらいのシンプルさが欲しい。

 MVの場合にはキャラクター生成機能があるので、絵を描く人が制作にもがっつり関われないと、合わせづらい面もある。
 ハロルドくんたちも、おそらくキャラクター生成機能をベースに作られている。
 そもそもハロルドくんたちも野暮ったいだけで絵は上手いので、そんなに不満はないどころか高品質と言っていい。
 野暮ったいぐらいが落ち着くし使いやすいという面もあるので、パッケージ絵より良かった面も大きい。
 ツクール開発部も「どうやらバリューがあるらしい」と最近気づいてRPGツクール ツクラースタンプ - LINE スタンプを売り出したりしているが、完全にタイミングを逸していて悲しい。
 新規素材はもちろんファンアートなども描きやすいように、ハロルドくんたちはキャラ設定を公開してもバチは当たらないだろう。

 ハロルドくんたちの画像は、顔グラの表情や、敵グラ、そして立ち絵用の歯抜けが多く非常に使いづらい。
 立ち絵がラノゲツクールMVの素材として公開されるRPGツクールMV用としてはアナウンスされないなど、発売後のサポートでも行き当たりばったり感がある。
 コラボや「ポシャったソシャゲ用に作った美少女」みたいな素材が大量に追加されたりしているが、これらも歩行キャラ・戦闘キャラ・顔グラ・敵グラ・立ち絵のセットが揃っているものが(多分)ひつともないという、ツクラー不在の供給がされているのもなんともはや。

歩行キャラデザインについて

 頭デカすぎんだろ! というのが大抵の人の感想かと思う、なんでこれでいけると思ったのか謎。
 他にも、横に広がりすぎてインスマス面の頭蓋骨。
 ハイライトの弱い死んだ目。
 これだけ高解像度なのに口がないのは逆に不気味。
 みたいなところがツッコミどころだが、とにかく頭でかいのが耐えられない。
 ドットパターン自体はすごく上手いし、色数も使いすぎずパキッとしたドットなので、なおさら勿体ない。

 あと、正面・背面の横が奇数ドットで、中心列が発生しているというのも困る所。
 これは割と実務的な問題で、奇数だと範囲選択して左右反転したあと中心軸をずらさないといけないとか、左右鏡面機能で一気に描くことができないとか、何かと面倒くさいのだ。
 なんで奇数を採用したのか全く意味不明だが、鼻描きたかったのかなー、にしても下の影じゃなくて横の影にすればよかっただけなのに。

 その辺を色々修正したのが【画像素材】公式キャラ改変 三頭身キャラです。
 なおこれに中心列は存在しているけど、これを取り除くには手間がかかりすぎるからで、奇数の方がいいとは思ってません。

 RPGツクール95は影が歩行キャラの画像に描きこまれていたが、MVは別パーツを組み合わせて歩行キャラに影をつけるべきだった。
 systemフォルダに飛行船用のShadow1.pngがあるのだが、これを歩行キャラにも使ってよかったろうに。
 ちなみに、GalvさんのGALV_Basic_ElementsShadow を使えば影を適用できます。

戦闘キャラについて

 これまで、ほぼ歩行キャラだけ語ってきたが、サイドビュー戦闘用の戦闘キャラについて見てみよう。
 MVの戦闘キャラは歩行キャラとは全く別のファイルが用意されている。
 しかも頭でっかちのデフォルメキャラで、印象がさほど歩行キャラと違わないのだ。
 何十時間もかかるゲームをクリアした人に聞いても「あ、大きさ違ってたっけ?」と言われかねない。

 このような中途半端な仕様になっているのは、ファミコン・スーファミ時代のファイナルファンタジーシリーズがそうだったから以上の理由はないと思う。
 僕はそのころのファイナルファンタジー全部クリアしてるのに、本当に大きさ違ったか確認しちゃったぐらいの差だ。
 ハードウェア的な制約などから当時は意味はあったろうが、MVでその程度の微妙な差を踏襲する意味がない。

 歩行キャラとも敵グラとも揃ってないということは、使える素材が減った上に、作らなきゃいけない素材が増える、結果としてゲーム全体の容量も増えるということだ。
 パターン多い割に、大して差がないのも戦闘キャラを作る気を萎えさせる所。
 ツクラーとしては悪いところしかない。

左端から、改変素材、収録素材歩行キャラ、収録素材戦闘キャラ。歩行も戦闘も左端のタイプで良かったのでは?

 敵グラと規格が揃っていたら戦闘キャラを敵グラとして転用できる。
 しかしテイルズオブヴァルキリープロファイルシリーズのようなプレイヤー画像を用意するのは、とてもではないが労力的に無理だ。
 そうなると、歩行キャラを戦闘キャラに転用し、いくつかパターンを追加する、というのがベストな解だろう。
 規格が揃っているので、追加されたパターンをイベントシーンにも転用できる。

 細かいところだが、サイドビュー戦闘を使わない設定でsystemフォルダから武器画像を削除したらエラー吐いた。
 これに限らず、前回に書いたタイルがボケてることなど、MVはファイルサイズを抑えようという気が感じられない部分が多い。

 systemフォルダのShadow2.pngが戦闘キャラの影に使われているので、なおさら歩行キャラに影がつかないのが気になる。

まとめ

 とにかく歩行キャラの頭がでかすぎるのは失敗と断じて構わないだろう。…新作のMZでもこのフォーマット継続みたいだが。
 それに戦闘キャラを別規格にしたのも失敗だ。…新作のMZでもこのフォーマット継続みたいだが。
 キャラクター生成機能は非常に優れているが、素材があまりに作りづらいのは良くない。
 全体の方針を決めずに、担当ごとに個々に頑張っちゃった雰囲気がある。

ロングレビュー マップイベント編に、つづく!!