CUIコマンドその他分類

動詞と名詞以外のコマンドは?

それより妹の部屋に、いつの間にか入るのはいかがなものか
忍者キャラで「コニチワー」と言いながら合掌するアクション

その他のコマンドを考えよう

 CUI(コマンド)入力における動詞と名詞をCUIコマンド動詞分類CUIコマンド名詞分類で分類したが、それ以外でも言語は構成されている。
 今回は、落ち穂拾い的に残りのコマンドを取り上げよう。

形容詞

 CUIコマンドにおける形容詞はCUIコマンドの組み合わせで述べたように、名詞を補って物品を特定するための識別子(ID)として使われる。
 よって単体としての役割はまず無い。

「ツヨク タタク」なんて感じに動詞の強弱などを表すのに使いたいこともあるかもしれないが、ほとんど使われた例はないと思う。
 例えば「トルとウバウ」「イウとサケブ」「タタクとケル」のように動詞そのものを変える事で違いをだすか、使用する道具で違いを出すのが一般的なようだ。

 このように形容詞はほとんど積極的な活用はない、逆に言えば、これからまだまだ掘り下げが可能な部分だとも言える。

数詞

 数の類いは形容詞と同様、ドア0のように「名詞+数詞」として物品を特定するための識別子として使われる事が多い。

 識別子としてではなく、ヒトツ、フタツ、…ゼンブ(EVERYTHING)のような使い方をする場合も無くはないが、使いどころはさほど多くはない。

 一番重要な使い方はパスワードとして入力するものだろう。数値を利用した様々な問題の答えとして導きだされる。
 ゲーム好きならば、印象に残った解は数字をそのまま覚えていたりしないだろうか。

抽象名詞

 前回は抽象名詞は考慮しなかったが、推理物では、ハナス、オシエル、キクなどの動詞と一緒に使うことがある。

ジケン(TROUBLE)、ケンキュウ(RESEARCH,STUDY)、アリバイ(ALIBI)

 抽象名詞は、まだそれほど多く使われるわけでもない。
 これもまた掘り下げることができる分野だ。

会話

直接会話

 ワカッタ、ソウスル、イイ、ダメ、リョウカイ、コトワル、モチロン等、直前の問いかけに対して答えを打ち込むというパターンもある。
 結局これは、ハイ(YES)、イイエ(NO)に集約されるので、雰囲気作りと思った方がいいだろう。ちなみにハイ、イイエはYとNに省略できる事が多い。

 アリガトウやコンニチハなどの挨拶は、比較的唐突感がなく使える会話だ。
 文字入力によるエンターテイメントには、アドベンチャーに対するもう一方の流れとして、人工知能(無脳)に対するチャットの類いがある。
 インタフェースがかなり似通っているので、そちらの文法がアドベンチャーゲームにも自然に採用されたとも見れる。
 また、そもそも文字を入力する行為は「前に人がいる」と意識すると「会話」というフォーマットと理解されるのかもしれない。

 自分のプレイを振り返っても、人が出るととりあえず「コンニチハ」と入力していた気がする。
 人に会うととりあえず挨拶とか、お前はカラテカか! とか思わんでもない。

 ハドソンサラダの国のトマト姫は、カワイイ(PRETTY)、キレイ(BEAUTIFUL)と、前後の脈絡なく話しかける必要があるシーンが存在する。
 制作者側も、よくそんなんでクリアできると判断したなと今更呆れるが、それをクリアしてた自分たちもなんなんだか。時代の雰囲気といった所だろうか。

呪文・合い言葉・パスワード

 呪文や合い言葉、パスワードなどは、特定の状況で直接コマンドとして入力するパターンが多い。
 例えば、ヒラケ ゴマ(OPEN SESAME)など。

 当サイトのゲーム、死にすぎ王子 と 虹の王女では、このタイプの呪文が登場する。

 RPGであるサーテックウィザードリィは、呪文とトラップの種類はキーボードからの入力で、道中や戦闘で頻繁に使う。
 限定的にCUI入力を取り入れる事で、キーボード操作と、呪文あるいはトラップの解除の操作を身体的に結びつけて没入感を高める良い仕組みといえる。

会話エンターテイメント

 会話しか行なわないと割り切るなら、チャットを行なうボット(プログラム)は、特に英語では気づかずに会話を続けてしまったりする位に進化してきている。
 2019年現在は、ほとんどの人間の方が言語を操るのが下手なのではないか? というぐらいだ。と言っても思考していると感じるレベルではなく、文法的に整っているという程度の意味だが。
 コマンド選択よりもCUI入力の方が、ずっと先に進んでいる分野でもある。
 とはいえボットが会話を理解してるいる訳はなく、内部的には入力された単語に適当に反応しているだけ、だったりするが。

 会話(チャット)を中心としたエンタテインメントソフトは、古くはアスキー(光画堂スタジオ)Emmyなどがある。
 その後も話題とするボールを選んでいくというビジュアル指向のパイオニアLDCNOëLや、猫のキャラに言葉を教えるSCEどこでもいっしょ、音声で人面魚と会話するビバリウムシーマンなどが作られた。
 また、iOSに搭載されたエージェントのSiriも実用だけではなく、面白回答をするといったエンタテインメント性を持たせてある。

 そろそろ爆発的な広がりをみせる、会話エンタテインメントソフトが開発されてもいい時期かもしれない。
 ただし、ネットワークが発達して対人チャットが充実している現在、コンピュータ相手の会話に、それほどの需要があるのかは疑問でもある。
 年現在、スマートスピーカーの登場により、むしろ会話エンタテインメントは日常に侵食したと言っていいかもしれない。

 当サイトのゲーム、虚空の揺籃では、そこそこ会話について掘り下げた場面があるので参考にしてほしい。

システム

 以下のようなゲームのシステム関連のコマンドもある。他にも、説明の冗長さの設定や、描画のあるなし、音の有る無し等、CUI(コマンド)入力で対処する。
 これらはGUIのメニューがあるなら、そこから選択してもまったく構わない。

モドル(UNDO)
ひとつ前の行動に戻る。
オワル(QUIT)
ゲームを終わる。Qに省略できる事もある。
ヤリナオス(RESTART)
ゲームを最初から始める。
キロク(SAVE)
現在の状態をファイルに記録する。
リストア(RESTORE)
ファイルを読み込む。
ヘルプ(HELP)
ゲームの入力説明。
アバウト(ABOUT)
ゲームの目的等の紹介。
ヒント(HINT)
ゲームのヒントを聞く。

 今の所、システム関連コマンドは、さほど重要なものはない。
 とはいえ、主人公の操作以外の新たな操作が開発されないとも限らない、まだまだ開拓の余地がある部分である。
 ゲームならではの特殊な効果を発揮するコマンド(システム)が、もっと作られてしかるべきだ。

関連:「IF : インタラクティブフィクション」鳶嶋工房製CUI入力ゲーム。
CUIコマンド短縮入力

 そこで結論。

CUI入力の前には、まだまだ未踏の沃野が広がっている