真・三國無双7

対応機種・周辺機器
PS3(1〜2人)オンライン対応
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
対応機種・周辺機器
PS3(1〜2人)オンライン対応
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
対応機種・周辺機器
PS3・PlayStation Vita・PS4・Windows(1〜2人) オンライン対応
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエーテクモゲームス(オメガフォース)

基本情報

 リアルタイムシミュレーションと格闘アクションの融合真・三國無双のシリーズ7作目(猛将伝、Empires含まず)が本作真・三國無双7(以下、無印)で、前作から2年ぶりの新作。
 イメージソングは布袋寅泰と、真・三國無双2をプレイした人には懐かしい一青窈。豪華!

 基本的なシステムは好評だった前作真・三國無双6を踏襲している。
 操作キャラクタは今まで登場した武将全部のせ+αの77人に猛将伝でさらに5人追加の総勢82名となっており、もはやヤケクソ気味のシリーズ最高の参戦数で、脇目もふらぬ物量作戦を展開している。
 個人的には猛将伝でついに陳宮が無双武将に加わったのが嬉しすぎて「すきすきすきすき、すきっすきっ♩ 陳宮さん!」と心で歌いながらプレイ(笑)

 HDDへのインストールは素直にメニューから[インストール]を選ぶ方式に戻り、バックグラウンドインストールでゲーム本編の動きが悪くなるということもない。
 新描画エンジンは、3D対応してないこともあってか、全体にコマ落ち(ガタつき)やキャラ落ち(所謂ステルス)も(割とやってるが)目立たない作りだ。

 後に、おなじみの猛将伝も発売され、さらに両者をまとめた真・三國無双7 with 猛将伝がPS3、PlayStation Vita、PS4、Windowsに発売されていて、海外版のみXbox360版がある。
 本記事は、PS3版の無印と猛将伝のプレイを元にしている。

各モードの解説

ストーリーモード

 前作から引き続き「魏・呉・蜀・晋」のシナリオとその他の勢力の「他」が用意されており、猛将伝で呂布伝と各勢力のシナリオが追加されている。
 前作はステージ毎に決められたキャラを使うことが強制されていたが、本作では1〜4人(だいたい3人)から選択できるので、苦手なキャラをプレイせざるを得ないとか、戦場にいるのにキャラが選べないという状況が少なくなっている。
 また、武将はステージの進行度に合わせて適当に育った状態で出てくるし、キャラによっては良い馬に乗ってたりする。
 ただし全体的には、馬はもうちょっと性能のいいやつに乗りたかった。

 だいたい「〇〇を撃破せよ」というミッションが提示されクリアすると門が開いて先に進める、というパターンが繰り返される一本道。
 この主要なミッションで、撃破後に門が開くまでのタイムラグが大きく、テンポを削いでいるのが気になる。
 門の開閉に限ったことではないが、多くの状況報告が溜まっている場合に、報告が全部終わるまで先に進まないのが辛い。
 以前からの問題だが、本作は特に「その報告、後にしろ!!」と思った。報告に優先順位つけるだけで解消しそうなのだが…。

 さらに、それ以外のパターンの作りが相変わらずダメで、指示の意味がわからない、指示をこなしたつもりなのに条件が満たされない、指示の行動が難しすぎて間違いじゃないかと疑い始めるなどの問題が頻繁に起きる。
 これは城などの拠点名が表示されないとか、高低差が分かりづらいとか、一方通行が多いとか、敵の軍勢の色が赤なのに行き止まりも赤なので区別つかないとかとかとか、そういうマップの見づらさとも相まってストレス。
 単に指示されて動くというだけでもストレスになるのに、その指示が分かりづらいとか「ダメ上司につくことになった不運」みたいなのを、何でゲーム中で味わわなければいけないのか!
 この辺がスムースなら、一本道な作りでもさほど嫌な感じはしなかっただろうに…。

 前作に引き続き陣地の味方にRPGのように話しかけられる。
 一度話すと頭の上のマーカーの色が変わるのは親切で、内容もその場の武将ウンチクや、前作から引き続きのダジャレ兵や劉備軍にずっといるオレオレ兵など興味を持続させる工夫があり、そこそこ量がある会話も楽しく聞き終わる。
 せっかくなので「俺も貂蝉様のEX攻撃で体力吸われてみたいっす!」みたいなチュートリアル的なセリフをもっと混ぜても良かったかと思う。
 あと、やっぱり前述の作戦の理解しづらさがあるので、マップを前にした作戦会議シーンは挟むべきだと思う。

 このRPG的なシーンやムービーから戦場へ突入する展開は自然で、前作に引き続きで嬉しい。
 ただ、(HDDにインストールしていても)切り替わりの際にそこそこ長い読み込み時間が発生する場面もあり、前作より劣化している面もある。

 追加武将でまた身内が増え、以前は呉のお家芸であったのに全勢力ホームドラマ状態に突入、いささか平坦な印象だ。
 三国志とは言え他の勢力も多いのだから、その辺の無双武将を増やして欲しい。馬騰さんとか! (馬超のパパじゃん(笑))
 また、ストーリーモードは追加武将の紹介の側面があるため、三国志のメインストーリーが端折られている面も否めない。
 ただ落ち穂拾い的にマイナーなエピソードが遊べるのは、それはそれで嬉しい。
 それに、ストーリーは各勢力毎に史実のストーリーと、条件を満たすと途中から分岐するifのストーリーがある。
 三国志の歴史をなぞって行きたいという欲求と、ゲームなんだからもしもの話を体験したいという欲求を満たす作りになっている。偉い。
 そもそも「軍師がビーム撃つ真・三國無双における史実って…」という疑問もあるが。

フリーモード

 祝、復活!!
 単にストーリーモードを好きなキャラでプレイできるだけでなく、敵側のシナリオをプレイできる。
 連続プレイカスタマイズ機能があると、極力史実に沿った「馬超伝」とか、袁紹さんが三国統一するまでのIFとか作れて楽しそうだ…そんな機能ないけど。

 また、猛将伝では戦功目標が設定されたり、評価画面が追加されるなど、繰り返しプレイに耐える作りになっていて、ストーリーモードの出涸らしではない楽しみ方ができる。
 フリーモードとストーリーモードの区別つかないみたいなシリーズ作品もあったが、本作は出色だ。
 ただ、いつもの無双クオリティというか、勲功目標の設定やUIなどは雑で頑張る気を削ぐ面もある。

将星モード

 比較的短い時間でクリアできるステージを繰り返しプレイして、拠点を育てていくのが将星モード。
 拠点が育っていくのがビジュアルで表現されたり、無双および一般武将をガンガン仲間にして行ったりするのは楽しい。
 拠点に配置した仲間に話しかけられるのも楽しいし、絆が深まるとコナミときめきメモリアルの告白シーンのごときイベントが発生したりして、バカバカしさを感じつつも結構喜んでしまう。
 気分は真・三國アンジェリークだ。

 基本的には楽しいのだが、拠点がある程度育ったり、特に武将を全員仲間にすると、もう全然面白くなくなってしまう。
 猛将伝で制圧戦が追加されるなどの工夫がなされ、多少面白くプレイできる期間が延命されたが、根本的には作業っぽさが強い、おまけの域を出ないモードだ。

チャレンジモード

 時間内にひたすら戦うなど、無双システムを転用したミニゲームをいくつか用意したもので、猛将伝にのみ存在。
 以前から特に面白くないモードだと思ってたが、本作では頑張ると良い武器が手に入るぐらいで、これといった工夫なし。
 …ちょっと、このモードに対するやる気が感じられない。なくすと文句言われそうなんでつけました、って感じ。

戦闘システム

 基本的に6と同じだが、各無双武将毎に得意武器と専用モーションがある。全員分! ある!! これはもう奇跡!!!
 さらに得意武器にはEX攻撃(猛将伝では2種類)が用意されていいる。
 また、専用の無双乱舞が地上2種、空中1種が全てのキャラに用意され、ゲージがあれば空中で対処不能になることはなくなった。
 ちなみに、味方を巻き込むこともなくなった。
 割と嬉しいのは(なぜか6で消えていた)ジャンプチャージ攻撃が復活していること。

 という感じで武将が増えたにも関わらず、アクションはより個性的になっている。
 武将変えたのに同じプレイ感ということは、得意武器を装備している限りはありえなくなった。
 ただ、武器は基本的に買うより敵将からのドロップが性能が良いし、得意武器は本人が落とす。
 結果として、キャラを最初に使用する時は大抵、得意武器以外を装備した方が威力が高いというのは、ちょっとヤな感じだ。
 余った武器をごそっと合成して性能を上げるようなシステムつけときゃいいのに…。

相性とヴァリアブル攻撃

 前作から引き続き、2種類の武器を特殊攻撃を出しつつ切り替えるヴァリアブル攻撃というシステムがある。
 本作では、天・地・人の武器相性による3すくみが導入されていて、不利な相性を持つ敵には武器を切り替えて対応する必要がある。
 これにより、前作ではイマイチ活用しづらかった(というか利点が渋すぎた)武器切り替えに意味を持たせている。
 ただ逆に、前作のヴァリアブル攻撃によるコンボの繋ぎやすさが無くなってるのは、両立できなかったものか。
 多分「攻撃を入れやすい劣勢の敵から開始して優勢に切り替えつつコンボをつなげる技」ができると便利すぎる、からなのかなぁ…。

 こちらが優勢の場合、敵将の上にが表示される気迫ゲージが攻撃により減っていき、全て無くすと連続で切りつけるストームラッシュが発動する。
 無双ゲージやアイテムなどを必要としないし敵も巻き込めるので便利で爽快。
 しかし、気迫を0にした瞬間に自動的に発動するので、遠距離攻撃を当てた場合など「誰一人ダメージを与えない状態でただ武器をぶん回す」間抜けなことになる。
 これは猛将伝のオプションでボタン同時押しによる任意発動ができるようになって、問題は解消している。

 逆に劣勢マーカーが出ている場合。敵が怯まない(スーパーアーマー状態)上に被ダメージ量が増えるので一気に体力を奪われる危険がある。
 この時に敵の出す「ため攻撃」の予兆の光に合わせて武器を持ち変えると、大ダメージを与えしばらく自分の能力が上がるヴァリアブルカウンターが出る。
 ただ、劣勢マーカーの敵は防御がおろそかになるのに加え、多段攻撃が強力な武器とか武器属性によってはなんか有利になっちゃうのは、ご愛嬌…で済ませていいのか?

 非常にややこしい感じだが、プレイしていると意外にすんなり理解できるし、割と雑に武器を入れ替えても楽しめる。
 敵将が複数現れて優勢・劣勢が入り混じった場合の対処など、ちょっと頭を使う必要があり、単調さを大幅に軽減している。
 副作用的にマーカーで敵将の位置がわかりやすい。群に埋もれないように同相性でも何らかのマーカーが欲しかったぐらいだ。

超派手な覚醒

 覚醒ゲージがフルでR3ボタン(Rスティック押し込み)で覚醒状態になって能力が向上し無双ゲージがフルになる。
 さらに○ボタン押しっぱなしで発動する覚醒乱舞が、継続時間・範囲・威力の全てに渡って笑っちゃうぐらい強力。
 周囲の兵士はもちろん無双武将までほとんど確実に仕留められる。
 移動しながら周囲の敵を何十人も突き上げていくビジュアルはもう「わっしょい!」と言いたくなるお祭り的派手な演出だ。
 かなり思い切ったバランスだが、とにかく爽快なゲームを目指すとするなら、こういう極端さも正解だろう。
 おまけに、しばらく発動しているとさらに真・覚醒乱舞に変化し、竹簡(経験値アイテム)が大量に入手できるという特典付きだから使わない理由はない。
 ただこの竹簡、そこらにばら撒かれるので、後で拾って歩くのが面倒臭く著しく爽快感を削ぐ(アップデートや猛将伝では竹簡は直接入手されるので、問題は解消している)

馬に乗りやすいが、他は…

 本作では馬がL2ボタンでいつでも呼べることに加え、L2押しっぱなしでそのまま騎乗する。カッコイイ!
 何で今までこうしなかったのか問い詰めたくなるぐらい便利。

 ただ、L2で乗れるのに×ボタンで乗り降りするシステムも残っており、馬に乗っている時のジャンプボタンが△になっていて分かりづらい。
 馬を呼ぶ・乗る・降りるは全部L2に任せれば、ジャンプボタンを人馬共通の×にできたのに。

 近くに馬がいる場合走ってくるのに時間がかかり、こちらが走っていると最悪の場合は障害物に引っかかるなどして、次の目的地まで馬が追いついてこない…これは酷い。
 ひとつ快適になったぶん他の不快な部分が目立ったところもあるが、無双シリーズは「一気に改良はしない」という決まりごとでもあるのか?

その他の技

 緊急回避の軽功・転身と、ガードを無効化できるつかみ技はシステムを整理して、全キャラ同じ操作で出るようにして欲しかった。
 やはり全キャラに装備されていない技は、使おうと操作した時に発動しないとイラっとするし、キャラ性能で打つ手がなくなる場面が出てしまうのも嫌な感じだ。
 一応、対応する武器と天稟スキルで誰でも軽功や転身が使えるようになるが、貴重なスキルスロットをそのために消費するのは納得いかない。

 地図ボタンはSELECTに任せて、素直に以前のような緊急回避ボタンを復活させるべきかと思う。
 個人的には緊急回避とチャージの同時押しで掴みになる、というあたりを希望したい。

マップ

活躍する兵器

 弩砲、投石機、雲梯(車つき梯子)、衝車(破城槌で門を破壊する車)、壕橋(架橋する兵器)などの攻城兵器に存在感が出たのは嬉しい。
 また、おなじみ月英さんが大好きな虎戦車も出るし、運搬用の木牛も(操作はできないが)久しぶりに登場する!
 井闌車(移動する櫓)も出てくるのだが操作はできないし、登って敵に矢を射かけたりもできない、単なる障害物になっているのは残念。
 加えて投石機の操作は呆れるほどに悪く、全然目標を狙えない。ゲーム全体の印象を悪くするぐらいの酷さで、専門学校の学生に作らせたのか、というレベル。

 あと敵兵器に攻撃で壊せるもの、指揮武将を倒すと停止するのもと乗っ取れるもの、絶対壊せないものが存在しているけど、見た目で区別できないし理由もよくわからないのが気持ち悪い。
 壊して対処しようとしたら壊せないとか、無駄な時間を使わせられるのイラつく。

嬉し悲しの計略

 火計や水計、伏兵などの計略が使われるマップが多く、合戦感があるのは嬉しい。
 ただ、前述の通り指示が分かりづらいので、指示通りに動いたつもりなのに計略に失敗とか、知らないうちに計略が開始されてた、みたいな感じになって、プレイしていて戦場を支配している感覚が全然ないのは残念な限り。
 黄忠が成功させる逆落としルートをプレイヤーが進めないのはなぜ? みたいな非対称感があるのも嫌な感じだ。

面白さとメンドくささの入り混じるマップ

 新規のマップは複雑な高低差があり、梯子や雲梯もちゃんと登れて楽しい。

 しかし、水路を泳げるのに飛び込めないように制限されている箇所が多い。
 水路に落ちた後戻ってくるのがメンドくさいのは確かだが、無駄に「飛べっ的盧!」って水に飛び込みたいでしょ! やらせてくれよ!!
 従って、水路を通ってショートカットできる箇所も少なく、泳ぎはほとんど活用されていない。
 水路だと変なポーズで死ぬし、テストプレイしたか怪しい。

 逆に地表に対して飛び降り可能な崖が割と多く、ショートカットが効く…ところまではいいのだが、一方通行が多いので意図せず飛び降りると大きなタイムロスとなる。
 最悪の場合、飛び降りた先が行き止まりで、進退極まることになる。こんなマップハマりのあるゲームは久しぶりだ。絶滅したと思ってたのに!!
 多少登りづらくてもいいので、基本的には近くに戻る方法を用意して欲しかった。
 飛び降の可・不可が、見た目で区別できない箇所があるのも困ったもの。
 思えば真・三國無双5 Empiresの崖登り能力は、任天堂ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドに通じる自由を感じたなぁ…

 2Dマップが見づらいのも、混乱に拍車をかけている。

グラフィック

 3Dエンジンを新規に作成したらしく、キャラはギラギラしてない落ち着いた絵になっていて、背景も見やすくなっている。
 地味な改良だが、ここに関してPS3版は全面的に褒めていいんじゃないかと思う。

 夜戦はもっと見やすくしてもいいと思うが、明るさオプションが用意されているので調整は可能だ。
 何やってんだかわからないのはシナリオのトラップとして暗闇が用意されているところぐらいになった。

兵士・武将

雑兵

 雑兵がとにかくたくさん出てくる。
 これまでのシリーズで「一騎当千とは名ばかり、まず敵が千人出てこない」なんて場合もあったが、本作は「絶対千人斬りさせる!」という強い意志を感じるぐらい雑兵が出てくる。
 そのために無限敵出現ポイントが多いのはいやな感じだが、方向性としては正しいと思う。
 もちろん1画面中の表示数も多くワラワラ感てんこ盛りだ。

 せっかく士気システムがあるんだから、将旗兵を倒すと一般兵より大きく士気が落ちてほしい(落ちてるかもしれないが、マニュアルなどに記述はない)
 …なんか、敵武将の士気を上げてる気がする。猛将伝だけ? マニュアルに記述なし。

 倒すといなくなる旅団長と、拠点からずっと出撃してくる遊撃隊長は、ちょっとしたアクセントとしてよく機能している。
 ただ両者とも3すくみシステムが適用されないので、下手するとそこらの武将よりも面倒な敵になる。特に比較的ガードの固い旅団長は侮れない。
 爽快感を追求するなら、武将以外はガードしないシステムでいいんじゃないかと思う。

 弓兵に近寄ると刀に持ち替えて攻撃してくるのはリアル。
 だけど、弓兵全部倒したと思ったら、残ってた弓兵にチクチク弓を射られてストレス。
 加えて一見無防備な持ち替えモーション時が無敵なのは、弓兵優遇しすぎなのでは?

 弓といえば、黄忠率いる弓兵部隊とか実に嫌な感じに矢を射かけてきて、みるみる体力を減らされる。
 こういう武将の特性が生きた部隊は理不尽に感じないので、ぜひ他の武将も部隊込みで性格づけしてほしい。

味方武将

 味方武将はそこそこ頑張ってくれるが、ステージや士気によっては次々敗走する。せめて序盤5分ぐらいは踏ん張ってほしい。
 苦戦中の武将を救援すると少し体力が回復する(多分一回限り)ので、うまく立ち回れば全武将を脱落させる事なくクリア可能な調整にしてほしいものだ。
 またシナリオ上の作戦で「こちらは任せてくれ」と言って出撃した武将が「やっぱダメでした」みたいに敗走するのは勘弁してほしい。
 結局全部プレイヤーが対処する羽目になって共闘感も何もない。

 フリーモードや将星モードで護衛に無双武将ひとり(猛将伝は通常武将を含め3人まで)を連れて行けるのは良い。
 できればストーリーモードでも、選べなくてもいいのでステージ毎に適切な護衛武将が付いていてほしい。
 ストーリーモードで曹操を使っている時に許褚が「そそさまー!」って付いてくるなんて「もうたまらん」でしょうに! 典韋でもいいよ!

一騎打ち

 このシリーズは一騎打ちのシチュエーションにこだわりがあり、毎作異なった一騎打ちシステムに工夫を凝らしていた。
 しかし、本作でついに鍔迫り合い以外の一騎打ちシステムを完全になくしている。
 名乗りムービーすらない。

 ユーザに求められてないと判断したというより、雑魚敵をバッサバッサ斬っていく楽しさを追求する方向に固めた、ということだろう。
 個人的にはシリーズ初期や5の戦場にいる雰囲気を体感できるのが好きで「俺ツエー」的なのはあまり求めてないが、方向性がブレているよりずっと良い。

その他

 成長は結局またシンプルなレベル制に戻った。やはり経験値とレベルアップ方式は強い。まず間違いないシステムだ。
 また、ストーリーモードでは初めて使うキャラでも、その戦場に相応しいだけのレベル(経験値)が付与された状態で登場するので、終盤の総力戦に1レベルで放り出されることがないのは行き届いた配慮だ。

 武将に能力を付加できるスキルは任意に4つ選べ、対応する行動(例えば無双乱舞で撃破)でレベルが上がって行く。
 このレベルは全武将で共有なので、面倒が少ない。
 この辺も分かりやすいし、システムを満遍なく使ってみようと思わせる誘引材料になっているのも上手い。

 武器には6つまで属性がつく、これが拾うのも運なら、錬成するのも運で、延々武器のくじ引きする辛いシステムに先祖返りしている。
 散々不評をもらってきたと思うのに、なぜここで戻してしまったのか。
 武将を倒すとほぼ確実に武器を落とすという、大盤振る舞いだから大丈夫だと思ったんだろうか。
 流石にプレイヤーからのクレームが多かったのか、猛将伝である程度自由に属性が選べるように修正されている。

 制限時間がまた付くようになったのは退化。しかも、割とギリギリになって残り時間が表示されるのは不意打ちだ。
 この仕様考えた人誰ですか! 先生は怒っているので出てきなさい! ぶん殴ります!
 むしろ「30分過ぎましたので、途中保存しませんか」とか聞いてくる親切さが欲しい。

まとめ

 そもそも無難な作りだった前作を同じ方向性で作り直したという感じで、ほぼ全面的に改良され、確実にシステムの完成度は上がっている。
 細かい部分では、スタートボタンを押すとムービーのスキップを確認するダイアログが出るのは「やっと気づいたか」と思うが、導入されて嬉しい。

 ただし、もはや無双シリーズの定番となっているような、致命的なフリーズや武将消失などのバグ、荒っぽい当たり判定、コマンド選択などの通常戦闘以外の部分のUIの貧弱さ、ストーリーを一通りクリアした後の育成部分の作業感の強さ、使いどころのわからなかったり逆に使い勝手が良すぎるスキルや武器属性、進入禁止の向こう側に行ったり、クリアでムービーに突入して拾えなくなるアイテム、チープな物語や演出、見辛いカメラワーク、中途半端なキー設定という、引き継がなくてもいい伝統が引き継がれちゃっているのも確か。
 これらの問題はパッチや猛将伝で改善しているものもあるが、それでも万全と言い難いものだ。

 2人プレイやオンラインモードに対応しているが、ちょっと作りが荒く、オマケの部類。
 本編のボリュームがしっかりしている上で、DLCに無料・有料のコンテンツが用意されている。
 DLCに「これがないとプレイに支障をきたす」ようなものはなく、多くは遊び感覚の衣装や武器なので不快感はなく、もう好きな人が好きなだけ買える、という感じになっている。

 無双シリーズに求めるものが「戦場の空気感」であるか「バッサバッサの爽快感」であるかを考えて、後者を選択してそれを突き詰めたのは完全に吉と出ている。
 真・三國無双シリーズだけではなく、無双シリーズ全体、ゲーム全体で見ても傑作と言えるだろう。
 実際「戦場の空気感」が素晴らしいTROY無双は、評価も売れ行きもイマイチだ。

参考

 そこで結論。

究極かと思われた6を超え、順当に進化した無双

おそらく「オールタイムベスト無双」として残るだろう