メガパネル


対応機種・周辺機器
メガドライブ
ジャンル
パズルゲーム
著作・制作
©namcot

基本情報

 本作は最近ではマッチ3パズルと呼ばれたりする消しものパズルの一種。
 セガコラムス()より遅れるものの、コンパイルぷよぷよ()よりも登場が早く、初期パズルアクションのひとつと言える。

 本作はナムコ(ナムコット)のメガドライブ参入第一弾である。
 当時のナムコはアーケードゲームの雄であり、そのナムコと肩を並べる人気のセガのアーケードゲームが遊べるからメガドライブを買った、というユーザ層が待ち望んでいたのは「人気アーケードゲームの移植」であったため盛大な肩透かしを食らった格好であった。
 その後ナムコはアーケードの移植をするものの「なぜか人気の三番手」ぐらいのタイトルばかり移植するわ、突然に当時クソゲーの代名詞ともなっていたアニメ原作のゲーム化であるふしぎの海のナディアを投入するわで「お前何しに来たんだ」感をメガドライブユーザに与えた。
 ちなみにナムコのメガドライブゲームは本作も含め、別にクソゲーではなく良作ぞろいであるが…とこのあたりは全くの余談。

 なお、このレビューはメガドライブミニ2に収録されたバージョンをプレイしてのレビュー。

システム

 基本的なルールはシンプルで、説明書にも書いてあるとおり15パズルのアイディアを転用したもの。
 空白部分にパネルをスライドさせて盤面を動かし3つ以上縦か横に並べると消え、消えた部分に上のパネルが落ちる。
 そして時間またはせり上げボタンによって下からパネルが一列追加され、せり上がった時に画面上部を超えるとミスとなる。
 これは任天堂パネルでポン()に非常によく似ているが、発売はずっと先行している。

 システム上、中央でブロック消しが発生しやすいにもかかわらず供給されるのは1列単位なので、どうしても左右端のパネルが積み上がってしまいがちだが特に対策はなく、下手なうちは中央が凹んでパネル数が少なくなった状態で戦うことになり、やたら難易度が上がる。
 一応最下部に次に投入される1列が表示されているなど快適にプレイできる工夫はあるが、まだまだ工夫不足は否めない。

ピンナップモード

 本編(ピンナップモード)は、パネルを消すごとに画面右側に爆弾が落ちてブロックが破壊されていき、全部ブロックが消えて後ろに隠れていた(ちょっとエッチな感じの女の子)の絵が露わになるとクリアとなり、少し難しい条件となって次のラウンドに挑戦していき全30ラウンドをクリアするとエンディングとなる。
 途中の条件で現れる絵が変わったりして長く楽しめる工夫もされている。
 しかし明らかに対戦を意識したレイアウトなのにコンピュータと対戦しないのが、企画書には書かれたものの様々な制約により断念された感じがして切ない。

 15パズルがアイディア元でありパネルを動かす先が空白であるため「1操作で動くのが空白周辺の1パネル」で、かなり忙しく操作しても状況がその忙しさほどに動かず、消しても連鎖が起きづらいことも相まって、プレイがちまちました印象だ。
 連鎖に得点など特別な意味が付与されていないことから、そもそも「連鎖って面白い」ということが理解できてなかった空気がある。
 これが前述のパネルでポンならばパネル同士を入れ替える操作であるため2パネルの動きが生じ、空白ではなく入れ替えカーソルを操作するので離れた場所のパネルを入れ替えることが素早くでき、さらに大きなブロックもあるため消えた時に状況が大きく動く上、連鎖中にパネルの操作が可能で連鎖を伸ばせる。
 基本ルールが似たパズルでいけばガンホーパズル&ドラゴンズなどは1ドラッグ操作でパネル(ドロップ)を引っ張りまわすことができて大量のパネルが動く上に、上から全面を埋めるように補充されるためパネルが近接する状況が発生しやすく偶然の連鎖が起きやすい。
 本作のプレイ感は、この辺りまで到達できておらず「面白いけど…もう一歩」な感じだ。

 そしてパネルを空白の方向に動かすという操作方法が、空白部分をカーソルと認識してしまうと感覚と逆になり、なかなか修正が難しい。
 パッケージの絵でバニーガールがパネルを動かしているのに倣って、例えばカーソル部分にナムコミスタードリラーのようにキャラを置いて、操作を納得させるアクションが必要だったのではないかと思う。
 ついでに紺色パネルと空白の黒が似すぎて、位置がわからなくなりがちなのも操作性を落とす要因のひとつとなっている。

 練習モードでは途中のラウンドから始められるのにピンナップモードでは常に1ラウンドから開始せねばならず、クリアまで1時間とか平気でかかってしまう。
 最初にラウンドを上げさせてくれ!こんなん腱鞘炎になる!!

 さらにピンナップモードの名前の由来と思われる右に表示される絵だが、当時ワルキューレをはじめとするナムコギャルズなどと呼ばれる綺羅星の如き美少女キャラを抱えていたのに一切出てこない…正気か?
 曲も猫踏んじゃったとか…ジャレコシティコネクションかよ!任天堂ドクターマリオのゲームオーバーとかぶってるし!!
 ナムコいい曲いっぱい持っとるやろがい!マッピーとか使えよ!!
 なぜか知らないがナムコは過去のキャラクタ資産の使い方が下手くそで、NAMCO x CAPCOM()PROJECT X ZONE()とかを経て404 GAME RE:SET ‐エラーゲームリセット()になっても、まだ下手くそな気がする。
 ファン心理が全くわかってないというか…。

その他モード

 なんと対戦モードがある。これはこの時期としては画期的であるが、おまけの域を出ていない。
 一応中央にプレイヤーの化身となる中華風のキャラが出るものの1種類で、事実上同キャラ対戦しかできなかったカプコンストリートファイターの対戦モードを彷彿とさせる。
 さらによくないのは対戦モードのみのルールがある…つまり他のモードが練習にならないことと、対コンピュータ戦がなく対人戦のみなこと。

 対戦モードのほかに一人用練習モードがあり、お題となっている条件をクリアしていくことで、基本的なルールや操作方法を身につける。
 とはいえ異様に難しく、個人的には練習モードをクリアしたのは本編をクリアできるようになる直前だった。
 ……バランス!

 ピンナップモードでの爆弾は、ランダムな位置に落ちるのではなく、消したパネルの位置を基準に落ちてくる。
 この説明が練習モードにも説明書にもなく、極めて重要なルールなのに自分で気づく必要があり…練習モードに必要な要件が満たせてない感じだ。
 ちなみにこの練習モードはエジプト風から始まる古代遺跡の背景画像が出る……対戦モードの中華風と合わせて意味不明。
 セガテトリスの背景も大概意味不明だが……タイトークレオパトラフォーチュンのようにエジプト風と決めたらエジプト風にするか、データイーストマジカルドロップのようにタロットモチーフにするとかして欲しい、なんとも中途半端なつくりだ。

まとめ

 この時期はテトリス()の後追いで雨後の筍のごとく消しものパズルが現れており「このアイディアはこのゲームが初出!」と言い切るのは危険だが、少なくとも本作はのちにも通用するアイディアをいくつも持っていたというのは間違いない。
 面白いか面白くないかと言われると「すごく面白い」のだが、2を作っていたら「絶対もっと面白くなっていた」と断言できるぐらい改良の余地があるのに、ほったらかしにしてしまった。
 落ちものパズルの始祖テトリスはそのシンプルなルールでいきなり完成していたような雰囲気があるが、実際はその後の細かく地道な改良によって、さらにずっと高い遊びやすさ(プレイアビリティ)や楽しさを獲得している。
 加えてナムコは多くの魅力的な知的財産(IP)を持っていたにも関わらず、完全新規作品として作ってしまい「隠れた傑作」になってしまった。

 これらは本作に限った話ではなく様々なタイトルで見られ、過去の資産軽視はナムコ凋落の遠因のひとつではないかと思われる。
 パズルゲームに限ってもコズモギャング・ザ・パズルアクアラッシュという傑作を出しているのに(ほぼ)それっきりだ。
 後付けの知恵ではあるが「またマリオか」と言われながらも延々マリオのゲームを出し続けた任天堂は正しかったのだ。

参考

 そこで結論。

今からでも2作っていいですよ!