新年あけましておめでとうございます。
えー、去年の予想とか見てみますと、PS3は夏に出て、Wiiは2006年中には出ず、Xbox360にヘイロー3が出る、とか書いてますが、一個もあたってやしねぇ。
携帯電話で爆発はない、というのは当たってますし、PS3の売れ行きがいまいち、というのも当たってます。現在PS3の売れ行きがいまいちなのは、弾が用意できてないのが一番の要因なのかもしれませんが、熱狂を持って受け入れられているとはいいがたい状況です。
Wiiは割と想定通りに売れているみたいですが、何しろDS需要がすごくて、霞んでますね。まだ品薄の状況が続いているって…ものすごすぎるよ。本体だけに関してはファミコンブームを超えたよ。ただ、ソフトまで任天堂の一人勝ち。いびつな状況と言える。
さて、今年はどういう流れができるかというと、もう予想というのもアホみたいですが、大作ゲームの縮小化傾向に歯止めはなく、重厚長大から軽薄短小への転換が、ほぼ終わるというところまでいくんじゃないでしょうか。
そういう意味じゃ、「ヘイロー」や「メタルギア」「ファイナルファンタジー」なんかは、本当は出したくないけど出さざるを得ない、盛大にこけないことには、踏ん切りをつけられないほどの、過去の成功体験がある。
「ドラゴンクエスト」はそうなる前に、DSへいちぬけた、を決め込んだ。スクウェアエニックスとしては、FFがひどいことになっても、ドラクエもひどいことになるのは避けたい、またはその逆ということで、大失敗が二つこない戦術です。無難ですな。
今年は、ストーリー性の高さと、長く遊ばなくていい、ということからアドベンチャーゲームの復権がありそう。
一度やったら終わり、というアドベンチャーゲームの欠点と言われていたものは今や、止める区切りを付けられる、いつまでもやらなくていい、という利点。
かつ、器用さを必要としない、というのもいいですな。
そこで「ウィッシュルーム 天使の記憶(Amazon)」に注目ですよ。ってこれも任天堂か!CING使うとかずるいよ、いいゲームになるに決まってるじゃん。とか思う私はリバーヒルソフトファン。
多分任天堂、「アナザーコード(Amazon)」「プロジェクトハッカー(Amazon)」とやってきたDSアドベンチャー路線、ずっと続けていくつもりの筈。そりゃそのうち当たるよ、というのが私の予想。
バンダイナムコも、「怪盗ルソー(Amazon)」でめげずに、続けていけばイイことあるよ、とか偉そうに。
レベルファイブの「レイトン教授と不思議な町(Amazon)」が、地味に面白そうでもある。
痛いニュース:痛いニュース(ノ∀`):仙台のヨドバシカメラ、初売りでPS3を3000台も入荷…値下げするも在庫の山
アキバblog:「売れないハード」プレステ3、初売りのアキバ各店で販売
そして、
CNN.co.jp : プレステ3強奪容疑の大学生、突入警官に射殺される - USA
せつない!!
せつなさ炸裂。
2007-01-04
Wii Sports Packだって、コントローラにもうひと味で臨場感を高めようという、単純ながら楽しそうなグッズ。
こういうのバンダイナムコやタカラトミーが、そのうち喜んで出すと思ってます。
「Wiiコントローラはどう使う」で語ったような展開になってきました。てなわけで、今後は「てれびくん」とかの付録にも注目だ。
「マリア様がみてる」(Amazon | bk1)読了。
マリみてですよ旦那。
コバルト文庫はあまり読んだ記憶は無いが、王道的な少女ものの話なんではないかと思う。実際のところ、発売された当初はごく普通の売れ方しかしてなかったようだ。
これが、どういう経緯か「オタク」のお兄さんがたに、「妄想のネタとしてすげぇ」と思われたんだかなんだか、ひじょーに話題になり、あれよあれよとアニメ化までされる人気作となった。
その辺りは、Wikipediaでも見てもらうとして。
本書はカトリック系の女子高校の話で、上級生と下級生とが姉妹の契りを行い、一対一で下級生の指導を行う伝統がある、という背景。
エロアニメの走りであった、くりいむレモンの「エスカレーション」を彷彿とするシチュエーションだ。この辺がオタク層の食指に触れるものがある。てゆーか、例えが古い。
女子校なんてのは、むくつけき男どもには(実態がどうであれ)妄想を膨らませる場所としては、有り余る魅力を持った場所である。なんせ知らんのだから、どうとでも妄想できるというものだ。
マリみての清浄な世界の後ろで、そういう関係もあったりして、とか考えたりするのがいいんだな。
つまり、マリみてがエロ小説ではないのが、いい、というわけだ。
平凡な主人公が巻き込まれていくタイプというのは、王道少女漫画だと実はすごい才能を持っていて、となるわけだけど、そんなことも無く、ある種淡々とした日常の、実にしょうもないことで一喜一憂する主人公の起伏で読ませる。結構すげーな、と思う。
例えがなんだが「テリーマンが主役」みたいなもんだ。集団の中で最も能力が劣るが、その能力故に場を相対化し、「すごいことの基準」を打ち立てる役割。「ヤムチャ」でもいいよ。
結局、憧れの先輩だとか、そういうオブラートで包んであるけど、要するに(疑似)恋愛小説ではある。
同性であるが故に、ふとした瞬間その立場が変わったりするなんてのは、男x男であるJUNE小説と基本的に一緒。
登場人物たちも姉妹を「振った」とか「ものにした」とか恋愛関係になぞらえてみたり、いろいろと妄想のきっかけをちりばめてあり、作者が読者に向けたサービス精神に、にやにやして読む。
まー読者と言っても、男女の恋なんちゅーのは生々しすぎると思ってる少女が、想定読者なんでしょうな。
そういう読者を想定しているものを読むという行為自体が、またお兄さんがたを興奮させる部分もあるかもしんない。(本来は)女の子の持ち物を所有しているという、フェチ的な喜びといいますか。清浄な部分を汚しているような快感といいますか。どっちにしろ、あんまり爽やかではないな、ははは。
でも、作者は想定読者外の読者も意識した遊びも入れていて、その辺りもにやり。やるな御主。だいたい生徒会が「山百合会」だもんなぁ。堂々としたもんだ。
結局面白いのかといえば、それなりに面白い。
これがライトノベルのギャル小説の類いだったら8人もキャラを出せば、ひとりぐらいは「忍者」とか「超能力者」とか「アンドロイド」とか入れたくなるだろうけど。
でも、一人ぐらいは眼鏡ちゃん程度は入れてよかったんじゃないか、とか思わんでも無い。
本作は、カトリック系女子校という時点で、十分にエキセントリック。「ごきげんよう」の挨拶とか、上級生には様付けとか、お嬢様が過剰で気持ち悪い感じもあるが、そこまで行けばもはや異世界観という領域だし、魔物をズバズバ切っていく話より、ずっとファンタジーだ。
ちなみに作者の名前、思いっきり「みゆき」だと思ってた。「おゆき」さんだったのね。
2007-01-10
「マリア様がみてる 黄薔薇革命」(Amazon | bk1)読了。
本作は、前作の終了から日付も続けて始まる。
どーも、作者も編集者も、かなり手応えを感じたらしく、学園ものの宿命である卒業を迎えるまでの密度を高くして、シリーズを続けようという意気込みを感じる。
そもそも、前作で雑誌で発表された作品から、半年巻き戻して文庫が始まっているわけだから、文庫開始時点でかなりシリーズ化に自信を持っていたみたいだが。
まさか、お兄さま、がたに受けるとは思ってなかったろう、読んでもらえると嬉しいな、ぐらいで。
学園には生徒会長的な立場として、紅白黄色の薔薇と呼ばれる生徒がいて、その妹(2年)、さらにその妹(1年)、と9マスのグリッドが作られていて、今度は黄色の縦の列に焦点を当てた話。
ちなみに、白の2年が抜けているので、作中の薔薇の姉妹は8人。
物語の登場人物のマジックナンバーは7だといわれている。一人外してその数に近づけつつ、縦横3のグリッドを作ったのが、なかなかの発明だ。
紅白黄色の薔薇というのが三すくみの関係を作り、バランスを取って、緩い対立と協調関係を作っている。これが2種類だったら、ほぼ対立関係となって殺伐としちゃうけど、3だとそれを避けられる。完全にグリッドを埋めると、安定しちゃうけど白が2なので、上手いとこ抑揚がついている。…すげーゲームレビュー的になってるけど、うめーなと。
前作もそうだったが、上下の2人の関係を中心に展開されるので、縦の色でいくと一人余ってしまう。
余った一人は、単純な話に奥行きを持たせるトリックスター的、あるいは話が進まない場合の強権発動者に使えるわけだが、本作では「黄色の話だから、一応つけておきました」という感じで、ちょっと哀れ。彼女に今後活躍の機会はあるのか。
本作のペアは、従姉妹で隣の家の幼なじみで、昔から本当の姉妹のよう、というパターンなので、そう言う仲いい女の子は現実感があって、学園の姉妹の設定があまり生きていない。
でも、本作だけで見ずに長期で見て他の薔薇の姉妹との差別化の意味では、なかなかの設定かも。
それはそうと、作中のヒロインの好きな作家が池波正太郎だったので、大いに好感を持った。わはははは。
「マリア様がみてる いばらの森」(Amazon | bk1)読了。
紅黄と来たら、白というわけで、今回は白薔薇の話。10、11ときて、12月の話だから、毎月1冊で主人公が卒業するまで、30冊出せる計算だ。まぁ…そんな出し方はしないと思うけど。
二本立てにはなっているけど、実質一本となる本作は、本格的に女同士の恋愛の話だったりする。
でまー、白と言っても、本編の姉妹である二人の話というわけではなくて、白薔薇の秘められた過去に迫る、と言った内容。
特に二本目は本格的に過去に迫り、というか過去の話で、文体も変わってシリアスに展開。
白薔薇のお姉さまの過去を語ることで、現在の白薔薇の姉妹、そして今後をいろいろと想像させるとゆー感じでしょーか。
今野先生は…エロいなぁ、もう。
一本目は、推理小説的な展開。といっても殺人事件が起きるわけではなくて、白薔薇をモデルにしたと噂される小説の作者を捜すという、犯人探しの変形。
前巻まで病弱なお嬢様だったキャラが、探偵となって主人公を引っ張り回すという展開。こんなに元気になっていいんかい。主人公が巻き込まれ型だと、必然的に引っ張り回す役が必要で、前巻までに張った、本当はお嬢様じゃないのよ、な伏線がよく生きてますが…元気になり過ぎやろ。
やっぱし、ミステリ仕立てにすると、読者の興味を引くね。物語り手法の基本ではあるけど、やっぱり乗せられて読んでしまう。基本だから、か。
二本目の切ないお話には、不覚にも感動。…いや、感動していいんですよ、別に。
特にこれといった話でもないような気もするんだけど、丁寧な心理描写に引き込まれます。
うちの「死にすぎ王子 と 虹の王女」の王女と妖精で、なんか一本作ろうと思っているものと、ちょいとプロット的に似てる部分があって、この際参考にさせてもらうかもしんない。
一応、学園ものの予定。とかまた、実現できない予告をぶつ。
「マリア様がみてる ロサ・カニーナ」(Amazon | bk1)読了。
今回も二本立てだけど、内容には全然関連性はない。
前巻から引き続き、いろんな表現が、疑似恋愛から同性愛に近いものへ移行しつつある気がする。
二本目は、コメディタッチで、仲良しの女友達といった雰囲気のお正月お泊まり会の話。一本目も1月の話だ。このままひと月一冊でいく気なんかねぇ。
さて一本目は、紅白黄色と321年で構成されるグリッドにあいた穴、白の2を巡るお話。
ふむ、やっぱり物語を動かしていくには、安定させたらいけませんな。壊れそうでそれでいて安心感もある構図をつくらねばいかん、と。
今回も、イントロはミステリ仕立てで、タイトルでもあるロサ・カニーナとは何者だ、という所から始まる。手慣れた感じでやだねぇ、とか思いつつ「がっ」と読む。
コバルト文庫は、ふりがなもついてて、会話中心だし(地の文も主人公の一人称だし)、読みやすくていいわー。
主人公が、ちょっと抜けてるワトソン型、ってのがまたいいですな、丁寧に説明されても読者が馬鹿にされているわけじゃなくて、主人公が抜けているんだ、って思えるし。異世界に突然投げ込まれた主人公や、記憶喪失なんかと並ぶ、説明のための常套手段といえばそれまでだけど、大切だよね基本って。
前巻まで、一冊ごとに赤・黄・白、と来たんで、今度は外部に中心となる人物を配置した格好。
グリッドの隙間に入ってこよう、あるいは壊してしまおうという人物、ということになる。
あるいは中心人物の紹介も一通り済んで、いよいよ本番と捉えてもいいかもしれない。
紹介が済んだとは言っても、白薔薇さまが完全にキャラ立ちしてしまったので、どーにも他の薔薇のおねえさまの影が薄い。
まだ彼女たちが中心となるエピソードが書かれてないからだけど。このペースだとすぐ卒業しちゃうから、どーも紅3と黄3はこのまま、あまり印象を残すこと無く消えてしまいそうだ。
白1も実のところ物語の中心人物となったことが無く、もう一つ印象不足だけど、何か秘密を抱えてそうだし、白3との「一学年抜け」の関係もあるし、何しろ一年生、これからなんとでも挽回できる。
「マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物 前編」(Amazon | bk1)
「マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物 後編」(Amazon | bk1)読了。
一応は前後編の体裁をとっているが、基本一冊で完結している。
どーも、ひと月でタイトル一つにこだわったものらしい。
ひと月分の話で一冊のペースは、ここで途切れたわけだけど、ひと月を区切りに刊行していくパターンは続くわけだ。
さて、前編はバレンタインにちなんで薔薇のつぼみたちが隠したカードを探す「宝探し」イベント。
いやー、もうあとは「敵討ち」でもやるしかないぐらいに物語の王道です。
ドタバタのコメディタッチのカード争奪戦、さてその結果は…。
「黄薔薇交錯」は、つぼみの令から、予想とちょっと違うチョコを送られた、姉と妹のそれぞれの反応を描く、ほのぼの短編。ちょっとミステリ風味。
後編は、カードの特典「つぼみとデート」のデート編。
令のデートが気になる妹の由乃は町へふらり、ついでに新聞部の三奈子とカメラ部の蔦子も、デート現場に乗り込んで来て、さらに主人公の祐巳とその姉の祥子も加わって。
とまー、ややこしい話だけど、うまいとこそれぞれをまとめてエピソードがついてます。
完璧なお嬢様という祥子の世間知らずぶりが大爆発するのに、苦笑した方がいいのやら、憤慨した方がいいのやら。
ロサ・カニーナこと静も、レギュラー化。結構人気のキャラみたいですな。白薔薇様も人気キャラで、そこに関わりの深いキャラという事だし、学年的にも3x3のグリッドの穴に入り込む形ではあるけど、「つぼみ」ではないという、微妙な位置というのが、またなかなか使いでのあるキャラになってる。
「紅薔薇さま、人生最良の日」は、人生最良ってのはドラマチックであるようでいて、それは結局は日常だったりするのかもね、という示唆に富む話、とか言うと大げさだけど。幸せってのは大げさな事じゃないってことだぜ。
「紅いカード」は、前編で残った謎の回答編と言うと味気ないが、狭い人間関係の理想郷パターンに陥りがちな学園ものの外側を描いた、なかなか深みのある一編。祥子の妹となった祐巳の、こうなっていたかもしれない像でもある。名前がアナグラムなのが深いぜ。
デート編では、いくつもの視点を混ぜて描いていて、さらに短編で前編の別視点を描くという、やけに凝った作りなんだけど、すんなり読めます。上手いぜ、感心するぜ。
2007-01-21