探偵 神宮寺三郎シリーズもついに7作めを迎え、さらに円熟味を加えてプレイステーション専用ゲームとしてリリースされた。
前作、前々作のザッピングシステムを止め、久しぶりに神宮寺の一人称でゲームは進行する。
本作では、場所の移動を行うと、時間が経過するようになっていて、これは同じくハードボイルドアドベンチャーの老舗であるJ.B.ハロルドシリーズの「BLUE CHICAGO BLUES」でも採用されている。
ただし、「BLUE CHICAGO BLUES」から5年が過ぎているだけあって、システムはかなり洗練されている。
失敗した選択をした場合でも、バッドエンドではあるもののマルチエンディングが採用されているので、失敗のがっかり感が少ない。
逆に主要ルートクリア後は、失敗分岐を全部見てみるという遊び方ができ、楽しみが増えているともいえる。エンディング後にクリアしたルートが表示されるのも親切。
一日の始めにサブキャラクターに捜査の指示を出し、日の終わりに結果を聞くというシステムが採用されている。
おかげで、ある程度は、自分で捜査せずに、アームチェアデテクティブを気取ることもできる。これがゲームの難易度をかなり押さえることになっていて、ゲームの間口を広げている。
新たに聞き込みモードも追加されている。簡単にいえば、聞き込み専用にコマンドを整理したもので、コマンド選択の複雑化を防いでいる。
他にも、注意すべき単語はメッセージの色が変えてあるとか、とにかく相当迂闊な人でもゲームを進めることができるような工夫が多くなされている。
今回は、無理にプリレンダのCGを使わず、全て手描きのキャラクターを実写か手描きの背景に重ねる形式になっているので、違和感のあるシーンは少ない。
ただ、ムービーの圧縮率が高いのか、モアレ(滲んだような画像の荒れ)がでている。2枚組にして高品質のムービーを使うか、頑張ってリアルタイムにキャラクターと背景を合成して動画を作ってほしかった。
他のシステムは、ほぼ前作を踏襲している。
問題のあった捜索モードは、大きく変更されている。まず、一枚絵の上のカーソルを動かすと、捜索できる場所ではカーソルが指しているものの説明が出る。そこでボタンを押すと捜索を行う。
以前のアドベンチャーゲームでは比較的良く見たシステムだが、探索シーンでだけ使うことで、探索の雰囲気を作ることに成功している。
また、手帳は調査の概要だけで無く、人物のメモも追加され、人物関係の把握がしやすくなった。これもJ.B.ハロルドシリーズで採用していたシステムではあるが、なかなか使い勝手がいい。
今回もパスワードと「謎の事件簿」が用意されている。これらの評価は、前作と同じ。
ちなみに、煙草をほとんど吸わなくてもエンディングに到達できるようになっている。神宮寺が禁煙する日も近いかもしれない。
そこで結論。
「丁寧なつくりが心地よい、推理ゲームの最高峰」
2002-04-16