「殺人倶楽部」から数えて5つ目の「J.B.ハロルド」シリーズの最新作。コマンド選択タイプのアドベンチャーゲームの最高峰と言って良いシリーズで、10年近く続いている(「光栄三部作」や「大戦略」「ドラゴンクエスト」等と並ぶ長寿シリーズ)
今回のウリは大量の実写ムービーを使った、「映画のようなゲーム」と言うところ。
実写を使うのはX68K版の「マーダークラブDX」以来のリバーヒルの手で、ハードボイルドディテクティブもの(J.B.は刑事だが)には非常に良くマッチしている。
グラスでも傾けながらマウスをカチカチやるのが、一番正しい遊び方であろう。
本作品では大量の動画を使用するため、当初レーザーアクティブ用のソフトとしてリリースさされたが、それを Video for WIndows や Quick Time等のムービーに換えて再リリースしている。
残念ながらレーザーアクティブ版は遊んだことはないのだが、記憶によれば、フルスクリーンの動画が動いていたように思う。それに比べるとパソコン版はいささか画面が小さく迫力に欠ける。
いろいろと工夫が見られるのだが、まだまだムービーを大量に使った作品は少なく、この作品もどちらかというと「試作品」的なところがあり、ムービーがテンポを悪くしていたり、そもそも映画的な見せかたがまだまだだったりもする(「良い映画」に比べるとの話)
ストーリーは相変わらず、凝りすぎず簡単すぎずの良い感じで、終盤の畳み掛ける展開も相変わらずで、シリーズのファンはほぼ納得出来るかと思う。
ただし、J.B.が画面によく出てくるし、喋るので「僕の(私の)ハロルド刑事はこんな人じゃない!」ということはあるかもしれない(笑)
ゲームのシステム的には、時間軸の概念が入ったので、今までのシリーズのような「コマンド総あたり」では行けなくなり、ゲーム性は向上している。しかし、一日の操作が終わった時に起こる「サドンデス」には、ちょっと気がそがれる。ただ、このシステムでは、「サドンデス」がないと「最後まで行ったら、途中のルートが間違ってて最初からやり直しになった」となってもっとガックリだが、もう少し納得のいくシステムをひねり出してほしかったものだ。
あちこちのゲーム機にも移植されているので、推理小説が好きな人は一度やってみることをオススメしたい。
そこで結論。
「もっと売れても良いソフトとは思う。次回作に期待したい」
1998-02-08 1998-02-16