探偵 神宮寺三郎シリーズ誕生10周年。
データイーストが自信を持って送る「生まれ変わった神宮寺」
プレミアムディスクには、歴代BGMのメドレーと、ショートドラマが入っていて、ファン必携もの。
システムは前作をほぼ踏襲したザッピングシステムを採用している。
前作の問題点であった保存データの表示も改善され、既にプレイしたルートも表示されるようになり、格段に遊びやすくなった。
また、頭から最後まで、ほぼ同じキャラクターでゲームを進行させることもできるようになり、よりプレイヤーの選択の自由度が上がっている。ただ、そのせいで他のキャラクターとほとんど同じストーリーを追うことになるルートも少なくない。その場合も、各キャラクターによってモノローグ(独白)や手帳の文体を変えてあるので、それなりの新鮮味を感じてプレイでき、なかなかの工夫が見られる。
グラフィックは大幅に向上し、ほぼ全編に寺田克也自身が描いたと思われる絵か、同じ雰囲気を持った絵が使われている。
まさに、神宮寺ファンが切望していたグラフィックと言っていい。JazzyなBGMと相まって、望んだ以上と言ってもいいかもしれない。
捜索モード全部と一部のムービーが3DCGで作られている。そこだけを取り出すとなかなか良くできているが、他の部分との整合性を考えると、これはちょっと失敗ぎみ。
今回導入された推理モードは、第4作「時の過ぎ行くままに」の熊野の質問を昇華したシステムで、現在の材料からの推理をクイズ形式で行うもの。ストーリーの整理や探偵ものの雰囲気を高める役割として大いに成功している。
もう少し、通常のコマンド選択と近いインターフェースを採用しても良かったと思うが。
同じく、新しく導入された捜索モードは、部屋の中を細かく調べることができるシステムで、推理ものとしてはいい目のつけどころといえる。
システムを紹介すると、静止画と静止画の間をムービーでつなぐことで視点の移動を行い、捜索できるポイントを選択するもの。結局、通常のコマンド選択とやることはほぼ一緒な割に、移動がタルイというあまり褒められない出来になっているのは残念。
ゲストキャラクターが、前作のジャーナリストと比べて、予備校生ではちと弱い。画面的には若くて可愛い女の子がでてくるので華やかなのはいいとして。
ストーリーはただ追っていくとあまりたいしたもんでは無いかもしれないが、ゲームならではの仕掛けに不覚にもかなりドキドキした。特にシリーズのファンには強烈な印象を与えたと思う。それだけでも成功といいたい。
今回、オマケでゲーム中に出てくる4文字のパスワードを入力すると、キャラクターのプロフィールなんかが見れたりする。しかし、ゲーム中によけいなことを気にしなきゃいけないのはマイナス要素。別の出現方式にしてほしかった。
おまけのショートストーリー「謎の事件簿」も健在で、前作同様デフォルメキャラだが、そこそこ時間をかけて描いてある。結構楽しい。
そこで結論。
「まさに生まれ変わった神宮寺。傑作です」
2002-04-07