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コーエーの大ヒットシリーズから「真・三國無双4」と「戦国無双2」をベースに両キャラクターとシステムを融合。
時空を超えたクロスオーバーが実現した。
ぶっちゃけネタ切れ感もあるが、プレイヤー的にやってみたかったのも事実。
2013年現在もそれぞれがシリーズの最高傑作との呼び声高い2作を融合した本作が、それなりに面白い事は保証されているが、それ以上、はあったのか?
さて、本作はプレイ可能なキャラクタが77人…え、って感じだ。
カプコンの格闘VSシリーズも相当多いと思っていたが、「CAPCOM VS. SNK 2」でも50人強ぐらいだったかと思う。
これはもう、全キャラを登場させた時点でお腹いっぱいレベル。
ただ、発売時期の関係もあって「戦国無双2 猛将伝」のキャラは入っていない。
ストーリーは、戦国および魏・呉・蜀の4本で構成されていて、各ストーリー8ステージの本編と7ステージの外伝で構成されている。
そこをある程度用意されたチームで進んでいき、本編をクリアすると自由な組み合わせでプレイできるようになるという仕組み。
多くのキャラクタは特定の条件によって出現するようになっているが、コンプリートするとなると「それは分からんだろー」という条件もちらほらあり、特定のキャラ目当てで購入した人には困った仕様となっている。今がインターネット時代で良かったという感じ。
キャラクタデザインは元ゲームとたぶんまったく一緒(一部調整はあると思うが)
更に、マップもほぼ使い回しでできている。
使い回しを嫌うむきも多いが、一からこのボリュームのゲームを作れるわけがない。
ただ、マップはもう少し新鮮味のある作りが欲しいとは思う。
敵を出し過ぎて、処理落ちやキャラ消えが発生するようになっちゃってるのは今ひとつ。
折角、元になった2作ではほとんどなくなってたのに。
一番大きな変更は3人でチームを組んで、プレイ中に入れ替えつつ戦っていける事。
キャラクタ数が多いとチームバトルにしないとキャラを使い切れないので、当然の選択といえる。
本作では回復システムとの兼ね合いやテンポの問題もあってか、画面に出ているのは1人だけで、キャラ切り換えで(異次元空間から)控えが出てくるシステムとなっている。
2人はできれば護衛のように後ろをついてきて欲しかった。
また、各キャラは技・速・力の3タイプに分けられており、キャラ特性を大づかみに把握できるようにしてある。
ただ、キャラの印象や今までのシリーズの扱いと違うキャラも多く、ずっとタイプを勘違いしてプレイしている事もしばしば。
キャラを切り替えながら発動させる無双バーストは、入力がゆるい傾向のある無双シリーズの割にシビアで、上手く発動できない事が多い。
発動させた結果も二人掛かりで攻撃するわけでもなく、2本の無双ゲージを消費してまでやる必要があったか微妙。
また、キャラの組み合わせで性質の異なる無双バーストが発生するのだが、うまく使い分けきれない。
基本は「戦国無双2」をベースにしているため「真・三國無双4」キャラから弓はなくなり、視点変更が右アナログスティックで可能になっている。
十字キーを移動に設定する必要ないだろうと前々から思っていたが、本作ではキャラ変更に割当てることができる。
ただ、3人を切り替えるのに4キーあるんだから、左右で切り換えでなく、1キー1キャラに割当てた方が良かったんじゃないかと思う。
しつこいけど、ガードはL1よりL2の方が良いと思うんだけどなぁ…。
2作を融合するにあたり、技の追加や再調整が行われているわけだが、結構荒っぽい調整になっているのは否めない。
77人それぞれ別の技を用意して、破綻してないだけでも良しとせねばなるまい。
そんなわけで使いやすいキャラが出ずっぱりになりがちで、折角の3人チームシステムが生きてなかったりする。
出ずっぱりを避けるためと思うが、各キャラ毎に「開始8分で100人撃破」とかの目標(習得条件)が用意してあって、それをクリアすると
この特技はチームの(つまりはゲーム全体としての)能力として追加されるので、色々なキャラクタをプレイする誘い水となっている。
攻撃力高めに設定されているので、ちょっとあっけないぐらいに敵が倒せるし、自分も気を抜くとスカッと倒される。
4武将ぐらいに囲まれると、かなりの窮地。
難易度高では雑魚に囲まれた時点でアウトという厳しすぎる状態になるが、普通難易度ではこのくらいの調整が適切かと思う。
攻撃力が低い(あるいは体力がありすぎる)と撃破に時間がかかってプレイに作業感がでてきてしまうからだ。
仲間武将の行動がかなり的確になった。さらに近くに仲間がいると体力が回復するシステムも加わっている。
そのため、ついつい仲間武将のあとを付いていくプレイになりがち。
これは護衛兵代わりとして一緒に戦っている感を強く持たせる面もあり、なんか下っ端になったような気分を持たせるものでもある。
入手したアイテムを破棄しなきゃいけない事が多かった問題を解決するために、武器融合システムが導入されている。
2007年としても既に食傷気味のアイテム錬成システムではあるのだが、かなり確実に面白くなる仕組みでもある。
とにかく「夢の共演」というところが眼目である、他は突出した何かを求められない。
ならば確実に平均点以上を出してくれるシステムを使うのは当然の選択だ。
コーエーはグラフィックの使い回しなども含めて、こういった割り切りが上手い。
お祭り的なソフトなので、あんまり傑作を期待するものではないが、本作はわりと成功している部類かと思う。
ストーリーはあってなきがごとしだけど、キャラクタの掛け合い台詞(ちゃんと音声付き)がかなり大量に用意されていて、これ管理するだけでも大変だなと思わせる。
対戦格闘ゲームのADK「ワールドヒーローズ」や漫画の平野 耕太「ドリフターズ」みたいに、古今東西の英雄が一堂に会する、というシチュエーション自体がワクワクさせるのものだ。
コーエーとしても「いつかはやらないといけない企画」であったし、「無双シリーズに勢いがあるうちにやらなければいけない企画」でもあった。
2007年はタイミングとしては非常に良かったのではないかと思う。
とはいえ、三国志と戦国時代限定ではなく、人数1/3でいいんで、アーサーとかハンニバルとかジャンヌ・ダルクとか土方歳三とか、世界の有名武人大集合的なものを今後の方向性として期待したい。
単体では「そこそこ面白いゲーム」でしかないが、ここまでやったから「ガンダム無双」や「北斗無双」「ワンピース海賊無双」なんかのコラボレーションに繋がったと言える。
シリーズ展開的には極めて重要な作品といえる。
そこで結論。
「無双世界の広がりを感じさせる快作」
2013-01-29