|
|
リアルタイムシミュレーションと格闘アクションの融合「真・三國無双」の第四弾(猛将伝、Empires含まず)
2年ぶりの新作となった本作は、それだけの時間をかけただけのものがあっただろうか。
てゆーかいい加減、このシリーズ同じ事ばっかりやってるのに、売れるのってどういう事?
その謎に迫るレビュー。
前作では、良くなったところもあれば悪くなったところもある、という感じだったが、本作はほぼ全面的に良くなった。
また、エディット武将や対戦などのメインのストーリーモード以外がかなりバッサリなくなっている。
で、そのバッサリ消えた部分は別売の猛将伝で補完される形になっている。
「またパワーアップキット商法かよ」とも思うが、一番大事な本編に力を注ぐのは間違っていないと思う。
それも武将数(48人)で十分にカバーできているかと思う。
かなりグラフィックエンジンが高性能化したようで、ほとんど周囲の兵士が消えてしまうという事がないし、消えたとしてもプレイに影響ないところから消えているので、ほとんど気にならない。
また、背景も遠くまで見通せるアングルとなり、プレイしやすい。
もー素晴らしい。
「真・三國無双」プレイ時に一番のストレスのもとだった現象がなくなり、これだけでもうシリーズ最高傑作と言っちゃいたい。
3では、わざとらしいぐらい強調されていた矢や壷などの表現がおとなしくなった。
ゲーム的には3の方が良かったと思うが、4では格好良さを優先したということかと思う。
前作で微妙になっていたバランスは調整され、一般兵のガード率や群れ具合、味方武将の行軍行動など、かなり納得いく状態に仕上がっている。
拠点に幾つかバリエーションが作られ、侵入拠点は制圧するごとに敵味方が切り替わる「戦国無双」方式になり、その他の攻撃・防御・補給拠点は制圧すると復活しない方式となっている。
このことで一方的すぎる展開になりにくくなっているし、戦術的な選択肢にも幅が出て面白くなった。
拠点の守備が有名武将だったら、「げぇぇ! ここの守備、陸遜かよ!!」みたいに盛り上がったと思うのだが、拠点は拠点兵長という作りでいささか淡白。
侵入拠点制圧や武将撃破時は、周囲の兵隊がさーっと逃げていくので、ちまちま残党狩りをする必要がなく、かなり展開がスピーディー。これもシナリオ全体が短くなる事に寄与しているかと思う。
多くのステージは10〜30分ぐらいでクリアできる。1時間平気でかかる上に途中保存もできなかった頃に比べると、隔世の感がある。
護衛を1人にするという思い切った変更がなされており、護衛とのコンビネーションをとりやすくなり、数が少ない分愛着も持ちやすくなった。
ただ、それほど個々の個性はないのは残念。
シナリオは各武将の有名エピソードを中心に構成され、それ以外の戦場は武将のモノローグで飛ばす形式になり、全体が短くなった。
多くは史実で死亡したところまでのシナリオなので、あまりIFの面白さはないが、武将ごとに時代(戦場)を振り分ける事ができており、同じ戦場を何度もプレイする必要がないのは良い。
特定の武将のみを目的でプレイすると非常に淡白な印象となってしまうが、なにしろ48武将である、自分の好きな武将とその周辺武将をプレイする事で、全体としては深みのあるシナリオとなっている。
また、前作の一騎打ちのシステムはなくなり、特定の武将と遭遇すると台詞(音声つき)によるやりとりをはじめ、特に有名なところではムービーが挿し込まれるという形式になり、ゲーム進行がもたつかずかつドラマティックな演出となった。
細かいところでは、折角、関羽の息子や張飛の娘を出したのに親との絡みが少ないのは残念。やはり呉ファミリーの結束には勝てないか。代わりと言ってはなんだが夫婦系は割と充実。
また、ステージの前後に武将による状況説明があるが、これは非常に良い。ナレーションで説明されるよりずっと臨場感があって盛り上がる。
猛将伝では外伝という形で追加ストーリーが提供されているが、上記の通りこの武将ならこのエピソードは外せない、という部分は十分本編で表現できており、外伝はかなり薄味。
無双覚醒とかエボリューション攻撃とか、攻撃のバリエーションを増やしてあるが、通常攻撃とチャージ攻撃をしっかり調整すれば、どちらも不要に思える。
また、無双ゲージが溜まるのがちょっと早すぎで「無双乱舞→数撃斬る→無双乱舞」という感じでプレイできてしまう。
爽快感を生み出すのに無双乱舞に頼り過ぎな調整で、チャージ攻撃の使い分けによる面白さを削いでしまった印象。
しかし、コンボ時の極端な敵の追尾もなくなり、通常・チャージともに武将ごとの色がそれなりに付けられ、シナリオが短めなこともあり飽きる事なく遊ばせてくれる。
まー流石に48人は多すぎじゃないかとも思うが。
これまでの猛将伝とは異なり、遂に追加武将なしになっている。パッケージが関平とかネタ切れ感十分。
とは言え、猛将伝はプレイヤーが自由にカスタマイズできるエディットモードなどが追加されており、十分なプレイバリューが確保されている。
矢で受けるダメージやよろけが、ちょっと貧弱すぎるように思う。2の気を抜いたらあっという間に弁慶の立ち往生状態になってしまうのもどうかと思うが、本作は弓兵のいる意味がないんじゃないかというほど。
自分が使う弓にしても、敵武将になかなか当たらない上に威力もたいした事ない。
また、櫓がかなり簡単に破壊できるので、弓で弓兵を倒す必然性に薄い。
マップがアイドス「トゥームレイダー」なみに複雑なわけでもないので、弓視点で見回す必要もさほどない。
弓が本作で一番改善されるべき点であるのは間違いない。
猛将伝では、本編ほど避けないように変更されているようだ。
アイテムや成長システムは2に近いものに戻った。
馬や玉のような貴重品が、特殊な状況でないと出現しないのはよろしくない。
これらのアイテムの有る無しで、ゲームの気持ちよさがかなり変わるので、1ストーリーをこなした時点でほぼ間違いなく1つ入手できるぐらいのバランスが良いかと思う。
また、入手したアイテムを破棄しなきゃいけない事が多く、どうも納得いかない。
余ったアイテムは配下に褒美として与えて士気を上げることができるとか、経験値に変換できるとか、なにかの役にたって欲しい。
猛将伝ではこれを補完する形で、1ステージのみの外伝で貴重品が得られるようになっている。
かなり取りやすくなっているとはいえ、攻略本などの情報なしにコンプリートするのは難しいだろう。
4は本編におまけ要素が少なかった分、猛将伝に追加モードが詰め込んである。
前述のエディットの他、本編に取り上げられなかったエピソードで構成された外伝モード、好きな有名武将の部下となり連戦しながら出世していく立志モード、自動生成されたミッションをひたすら戦い抜く修羅モード、などが追加されている。
外伝や修羅モードは真・三国無双3 猛将伝にもあったが、新規に追加された立志モードが出色の出来。
お気に入りの武将から誉められたり、引き抜きの手紙をもらったりするのが、予想以上に嬉しい。気分は恋愛シミュレーションである。
また、成長方式がここだけスキル方式だし、火計や伏兵などの計略が使えたり、拠点兵が複数いたり、いろいろと次回作へ向けての実験を行っているように見える。
猛将伝でこういう実験ができるから、無双シリーズは人気を保てているところが大きいように思う。
修羅や立志モードは、初期能力から開始する上、ステージ毎に難易度の上昇が起きるため、じっくり育てて難易度を下げるという方法も取れず、難易度設定もない。
これは外伝モードでほとんど死なないレベルまで難易度下げたバランスを許容しているのと同じゲームとは思えない突き放しっぷりだ。
一応、修羅は繰り返しプレイすると武器の強化が楽になるという救済策はあるが、折角育てたのにやり直しという面に変わりはない。
このシリーズ、かなり確実に悪い点を修正してリリースしている上に、割と思い切った変更も入ったりして、シリーズが長く続くわけがよく分かる。
難易度選択をはじめとして、ちゃらっと気軽に遊びたい人から、とことんやりこみたい人まで、幅広く対応しようというサービス精神も強く感じる。
ここまで難易度を下げるのは勇気がいる。
そこで結論。
これまでの集大成として、シリーズ当初に目指した部分は超えた感がある傑作
2013-01-24 2013-05-22