戦国無双2・戦国無双2猛将伝

対応機種・周辺機器
PlayStation2
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエー 2006
対応機種・周辺機器
PlayStation2
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエー 2007

基本情報

 リアルタイムシミュレーションと格闘アクションの融合「真・三國無双」の日本戦国版の第二弾(猛将伝は除く)。
 前作での不満点を丁寧に解消した良作だが、そういうゲームは往々にして前作にあった勢いが無くなってしまうもの。
 本作は、結局どうなったのか。

 ほぼ同じシステムなので、ここでは「戦国無双2 猛将伝」もまとめてレビューする。

廃止または変更による改良点

 シリーズ物の陥りやすい悪癖は、以前導入したシステムを廃止せずに、新しいシステムを付け加えて行く事だ。
 本作では、かなり思い切ったシステムの削除が行われている。

 なんと、これまでの無双シリーズに必ず装備されていた「弓」の操作を廃止、代わりに武将ごとの特殊技を追加。
 このことで、キャラを変えても結局同じようなプレイ感になりがちだった前作までと異なり、キャラ毎の個性が出るようになった。
 また成長タイプが「通常」「チャージ」「特殊」の3タイプに分かれ、最低でも3タイプのプレイ感を楽しめるようになり、キャラクタ数が大いにも関わらず、繰り返しの作業感は少なめになっている。
 更に、技のモーションのかぶりが少ないのも、プレイ感が似通ってしまうことなくプレイできる理由のひとつだ。

 ストーリー途中で分岐するという方式だった前作から、メインストーリーをクリア(など)すると外伝が1ステージ現れるという方式に切り替えた。
 外伝は、もしここでこんな展開になっていたら、という分岐的なものだったり、この武将ならこのエピソードは外せないという正に外伝的なものだったり、オールスター戦のようなものだったり、とキャラ毎にバリエーションがあり、様々な不満を解消するナイスアイディア。

 前作でプレイの連続性を著しく削いでいた城内戦も、城外と区切りなく続くようになり、味方兵士・武将とともに一斉に城になだれ込むのは、実に戦国っぽい感じで雰囲気が高まる。
 また、場内の広さも適切で、前作の場内に入ったら別ゲームとなっちゃうような異世界感はなくなった。

 護衛兵が1人になり、そこにちょっとマイナーだが入ってて欲しい系の武将や忍者が用意され、各地のオラが国の英雄も使えるようになり、愛着アップ。
 護衛兵が数名であったそれまでの無双シリーズは、護衛以外の雑兵にまぎれてしまって、もうひとつ連携が取れなかったが、気をつければ良い自軍の兵が1人になったので、連携を取りやすい。
 更に、1人プレイの際に護衛兵と協力して無双奥義が発動できるようになり、ぼっちプレイでも寂しくない! のだ。

 弓の廃止とともに思い切った施策だが、前作であったミッションクリア率が廃止された。
 これは素晴らしい判断と言える。
 というのもミッションクリア率があると、まずそれを埋めようとしてミッションをこなすプレイに行き、つまりは指示に従って走り回るお使いプレイになり、結局はゲームのプレイの主導権がプレイヤーから奪われ、挙げ句にやる気がなくなってプレイそのものを放棄しちゃう。
 そういう燃え尽き症候群の発生を回避できるからだ。
 むろん、前作に比べ発生するミッションを無視しても各面のクリアがそれほど難しくならない、というバランスが取られているというのも大きい。

 更に、面クリア時の全体マップでのリプレイも廃止された。リプレイはミッションクリア率とともに、その面をやり直したくなる要素のひとつであり、ひとつの面で足踏みして納得いくプレイができるまで頑張っているうちに燃え尽きて、次の面をプレイする意欲がわかなくなり、結果放置という事になりがちだった。
 単純にリプレイを見る時間がなくなる事で、プレイ時間が短縮されているが、それ以上に「ルート制覇初回から、同じ面を繰り返しプレイする」ということが少なくなるという調整で、停滞感のないプレイを作り出している。
 個人的にはリプレイ大好きだったので残念ではあるが、全体としては良い変更だろう。

追加による改良点

 また、視点変更が右スティックに割り振られ、操作感が劇的に向上している。
 これは、なんで今までそうしなかったんだよって感じだが、弓操作が視点変更の役割をしていたため、必要と判断されなかったのが原因と思われる。
 弓廃止の副作用とも言えるが、効果は抜群だ。

 前作では馬の意味がイマイチ低いとの指摘をしたが、本作は軍馬を購入しておけば、最初から騎乗で戦場に現れるため、断然意味がある。
 しかもマップ上にしっかり馬の位置が表示される上に馬上攻撃が強力なので、馬移動が基本となっており、移動が多いイベント配置でもメリハリよくプレイできる。

 成長は通常のレベルアップに加え、戦場で得た金を使って武装の強化や技能を追加して行くという、非常に分かりやすい方式になった。
 また敵将のもつ技能を奪う、スティールというシステムが加わり、敵将を倒す積極的な意味づけもなされ、だらだらとせず常に目的意識をもってプレイできるようになっている。

 前作のデータがあるからというのも当然あるが、無印の「戦国無双2」で総勢22名(+2名)と、猛将伝の追加6名なしでも十分な武将数が揃っている。
 なんで徳川家康使えないのよ! と前作では総ツッコミを受けたと思うが、本作では有名戦国武将は網羅した感じだ。

 詰所頭を撃破するなどして集団を切り崩したら雑兵は逃走するようになっており、1人2人残った兵をウロウロと探して撃破する必要がなくなった。
 これにより、一気に詰所頭を撃破して駆け抜けるという戦法も取れ、スピード感が格段に上がった。

 これらの追加や変更により、雑兵の存在感はかなり薄くなっている。
 それを補う形で、集団戦法を取る雑兵が登場するようになり、雑兵も一塊になると侮れないという調整になっている。

不満点

 どーも、苦戦中の呼びかけのタイミングが早すぎる。救援に行ったらほとんど体力満タンだったりする。
 それで「どーせ忠勝は放っといても大丈夫だろ」とか放っといたら、忘れた頃に敗走したりする。

 猛将伝を含めても、阿国、森蘭丸はプレイ可能なもののストーリーモードが存在せず、前作にいた、石川五右衛門、くのいちといったキャラは全てのモードでプレイできない。
 前作にいなかったら別にいなくてもいいキャラなのだが、猛将伝の方には入れて欲しかったところ。

 連続攻撃やチャージ攻撃が豊富すぎて、もう十分という感じのところに、特殊技が入っているので、全体の技のバランスが熟れていない所がある。加えて無双奥義もあるし。
 個人的には、全技の確認どころか、特殊技出すの忘れてクリア、という武将もいた。

 かなり取れる位置に残るようになったとはいえ、詰所の向こう側に落ちたアイテムが取れない事がまだまだあるのは、どーにかして欲しい。
 取れると思って取りに戻ったら、詰所の向こうで取れなくて、詰所の門の側を右往左往してしまうのは、格好わるい上に進行をモタモタさせる。
 いっそ取れないアイテムは即消滅して欲しい。

 敵武将に普通に斬り掛かったら、超反応でガードか回避をするので、味方が攻撃してガードしているところを背後からとか、一撃受けつつ無双奥義で反撃、あるいは敵の起き上がりにガード崩し(または投げ)技を重ねるとか、ちょっと姑息な感じのプレイになりがちだ。
 もう少し、丁々発止な感じのプレイができる調整ができないものか…難しいと思うけど。

 ストーリーモード以外の部分は、双六(無印)・無限城(無印)・傭兵演舞(猛将伝)、ともにそこそこ遊べるがそこそこどまりで、オマケにしては力入り過ぎているという、なんだか微妙な立ち位置だ。

その他

 意外と言っては何だが、ストーリーが良かった。史実に沿いつつも新たな解釈を入れて、なるほどね、それもアリかもね、と思わせる。
 沢山のキャラでプレイするので小田原城攻略や関ヶ原など、同じムービーを見る事も多いのだが、別の視点で新鮮に見れる。
 特に光秀と孫市(と秀吉)が良かったね。三成、幸村、兼続(+慶次)の友情も、良い軸になっている。

 普通の難易度でも、異常にコンピュータの連打が早かった鍔迫り合いが、普通に連打でも勝てるようになったのは良かった。
 というか、今までがコーエーのテストプレイヤーどんだけ連打スピードあるんだよ! って感じだっただけだが。

 これまでは、無双能力が育ってゲージが伸びると、ゲージを溜めるのに時間がかかって無双奥義を出しづらくなり、結果として弱体化する。
 とゆー訳の分からん作りだったのが、ゲージが分割され、短い状態では弱めの、沢山溜めると強力な無双奥義がだせるようになり、ゲージを育てる意味が出た。

 近くのキャラが消えちゃうことは、ほぼなくなって、大量のキャラがストレスなく表示される。凄い。
 …アレ、この作品のあとに出た「ガンダム無双 スペシャル」は消えまくってたんだが…退化?

 一応言っておくと、やっぱりガードはデフォルトL2が良いと思うんだけど…、どー。

 そこで結論。

「地道に磨き上げた珠玉。傑作です」

 あとこのレビュー、完全に重箱の隅つつきだけで構成されてます。


2012-12-11