エターナルアルカディア

ジャケット
Amazon.co.jpで購入

(ジャケットは
GAME CUBE 版)
対応機種・周辺機器
ドリームキャスト モデム ぷるぷるぱっく ビジュアルメモリ VGA対応
ジャンル
ファンタジーロールプレイング
著作・制作
(c)SEGA OVERWORKS 2000

 「サクラ大戦」の開発で一躍名を挙げたオーバーワークスが、完全オリジナルRPGを引っさげてドリームキャストに参戦。
 空飛ぶ船に乗り、冒険の大空を飛び回れ!

 このゲームは、何がいいかと言うと舞台設定がいい。
 主人公は海賊の空版である空賊という設定で、空に浮かんだ島を、空飛ぶ船で渡り歩く。
 少年の憧れの冒険の舞台である空と海の要素をいっぺんに入れちゃおうという欲張りな設定だ。

 多くのRPGは3Dマップと言っても、結局は平面の上に多少でこぼこがついているだけで、所詮は上下はないようなものだが、本作は完璧に三次元的に移動できる。
 街から街への移動には全て船を使うため移動中が退屈になりがちだが、空を飛んでいる魚を捕まえたり、発見物を探したりして、退屈しない工夫がされている。

 移動が三次元に可能である事を除くと、システムは実にオーソドックスで、目新しい要素はほとんどない。
 しかし、その取捨選択が見事で心地よい。特にセガのRPGで評判の良かったシステムをどんどん取りこんでいるようだ。システムを作る前に、丹念にアンケートを調べたか、社内でアンケートを取ったのではなかろうか?

 例えば、「シャイニングフォース」シリーズの、陣地のキャラクターに話しかける事ができるシステムや、キャラクターを集めて行くシステム。例えば、「魔法騎士レイアース」の日記。
 それらのシステムをただ単純に取り込むだけでなく、新しく工夫も加えている。例えば日記は、最後までに幾つの日記があるのかが示されるので、現在どの程度ゲームを進めているかが分るようになっている。コレは、最近のクリアまでに時間のかかるゲームでは、全て採用して欲しい位の良い選択と言える。後どのくらいで終わるか分っているという事は、ゲームを進める大きな推進力となる。逆に、いつまでやれば終わるか分らないのの不安な事と言ったらない。

 他にも、他社のものでは、アートディンク「アトラス」の少しずつ広がって行く地図や発見物なんかのアイディアを持ってきている。航海をテーマとしたゲームとしては必然とも言えるシステムではあるが、そういう部分を外さないところが本作の偉いところである。このテーマでこのシステムついてなきゃダメだろー!アホかー!!、ってゲームは案外多いのである。

 基本的なシステムなども、任天堂「ゼルダの伝説 時のオカリナ」などでも採用されている、短い声を文字の台詞の表示と同時に出すという手法がとられている。
 これは、台詞が終わるのを待つという行為でゲームをプレイヤーから取り上げる事なく、音声による表現力を取り入れた、非常に優れた手法であり、制作者がゲームに必要なものが何かを分っている事の一つの証と言える。

 他にも、以前コレは良いなー、と思ったシステムがバンバン入っている。私なんかはゲームにスレちゃって「面白い」と思うと同時に「前に見たよ」って気もするが、ゲーム経験の少ない人にとっては、宝の山みたいに面白いゲームになっているんではなかろうか。

 同時期のドリームキャストには、ゲームアーツの「グランディアII」という期待のファンタジーRPGがあり、大いにプレッシャーもあったと思うが、いい方向に働いたと思う。
 私の評価としては、特にインタフェースデザインの出来の違いが大きく、本作に軍配を上げたい。
 不要にイライラさせる部分を、とにかく一つ一つ丁寧にヤスリがけしている。

 戦闘の難易度は、技(特にアイカ)が強力過ぎるきらいがあり、非常に簡単。それに演出が長めで今ひとつテンポが悪い。
 発見物をまともに探していると金もたまりすぎる。
 パズル的に難しいところも無く、良きに付け悪しきにつけ、先に進めなくてウンウンうなる事は無いだろう。
 最近のRPGに多い難易度設定だが、個人的にはこの難易度は締まりがないので否定したい。
 ただ「ドラゴンクエストVII」のような、強い武器が欲しくて金を稼ぐ状態が常に続くような難易度設定が嫌われる傾向にあるのも確か。

 それから、通常の戦闘の他に砲撃戦がある。
 これはあまり大したシステムではないが、カメラワークなどの演出や途中に選択肢を挟むなどの工夫で、なんだか結構楽しく仕上げてある。
 基本的には、ここぞという時にイベントの一環として発生する戦闘である事もあり、なかなかの盛り上がりを見せる。

 キャラクターデザインやモデルも含めグラフィックは、最高ではないが、まずまずという感じのできで、ちょっと微妙。
 ただし、戦闘シーンやイベントシーンでも同じモデル(少なくとも同じに見える)を使っているので、ゲーム全体の一体感が非常に高く、ゲームの世界から放り出される感覚を持たせる事がない。
 トータルで見ると、非常に高いレベルのグラィックであると言える。
 ただ、戦闘中なども含め、回り込みのカメラワークを多用しすぎなのが気になる。

 ストーリー的には、もっと人物や世界を掘り下げる事も出来たとも思うが、まずまず。
 空賊という世界設定で、もう勝ったも同然と言えるだろう。

 そこで結論。

「システムの選択や味付けが抜群にウマい佳作」

もっと売れて欲しい


2004-10-25