ストーリーに「最後の竜に捧げる歌」他ゲーム小説やゲームシナリオを手掛ける手塚一郎、キャラクターデザインに「ランドストーカー」の玉木美孝、そして音楽に「サクラ大戦」の田中公平を迎え、ゲーマー的にはかなり豪華キャストで製作された、プレイステーション初の本格アクションRPG。
見た目もゲーム性も「まるっきりスーファミ」で、SFCのゲームの完全移植と言われると納得してしまいそうだが、PS新作である。
スーファミのようなゲームが良くないと言ってしまえば、スーパーファミコン自体を否定する事になるので、そんな事は言わないが、このゲームは逆に「プレイステーションを否定してないか?」という疑問もわいてくる。
アランドラには1400を超えるパターンが用意してあるらしいが、全然そんな感じはしない。
とにかくパターン用意しただけで、ムダにパターンを消費してしまっている感がある。
同種のゲームである「トア精霊王紀伝」は、パターン数に見合った動きを感じるのは、トアがアランドラに比べサイズが大きいことも関係あるだろう。
操作性はおおむね良好ではあるのだが、会社ロゴムービーが飛ばせない、メッセージ送りが決定やキャンセルボタンでできない、メッセージウィンドウがしばらくすると勝手に消える、ロード画面とセーブ画面の構成が違う等、ちょっとした部分でのインタフェースの作りが粗い。
マニュアルには「行けそうな所には必ず行ける」と明記してある。
しかし、私が行く方法を発見していないだけの可能性もあるが、どうあがいても行けない場所もいくつか存在するようだ。
そもそも「透明の壁」が多く、飛び下りれそうな所でも飛び下りる事ができないと言う事が多い。飛び下りる事ができない部分には必ず柵を描いておいてほしいものだ。
ストーリーはシリアス、というか暗くユーモアが無い。出来は悪くないが、優等生が書いた風のお行儀の良さがある。
夢の中に入って悪夢を退治するというアイディアは、ゲームのルールの幅を広げているが、さほど現実世界のダンジョンと仕掛けやグラフィックが変わらないのは残念。
マニュアルとデモムービーがかなり良い出来で、親切にゲームのヒントが出ている。
逆にエンディングでアイテム収集率や、ゲームオーバー回数なんかが出ないのはがっかり。
アイテムと言えば、取り損なってゲームを進めると二度と取るチャンスの無いアイテムがかなり多いのも難点。
ところどころ、完成間近にゲームバランスを取ったと思われる部分があるのが気になる、例えば空の宝箱とか、分かりやすすぎる立て札とか。
逆に言えば、ゲームバランスにはかなり気を使っているようで、かなりハイレベルのパズルやアクションを楽しめる。アクションRPGの最高峰とも言える「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」と比肩すると言えば言い過ぎか。
ただ、ボスは「AI搭載」とか書いてあるものの、全然そんな風には感じない、頭の良さで難しくしていると言うより、単に体力があるだけのボスがほとんど。
細かい問題はあるものの、ハッキリ言って面白い。
しかしながら、あまりにゼルダじみているため、「ゼルダ」が遊べる状況で、あえて「アランドラ」を選ぶ理由は皆無、とも言える。ちなみに私が選んだ理由は「玉木美孝」がキャラデザインだからという理由が一番大きい(FEDAと一緒か)
PSにおいて、この手のゲームはほとんど存在しないので、PSでSFC的なARPGを遊びたいと言う向きは、即飛びついても問題無く楽しめるだろう。
そこで結論。
「よくできている、が、それ以上のものではない」
2003-03-25