アイテム入手方法

アイテムを手に入れる方法ってどんなのがあるんだろう

冷蔵庫を漁るのは採集本能
チュチュエキスは採集-内包-破壊型のアイテムですね

アイテムの出現

 前回のアイテムライフサイクルの記事の中で、今回は出現を語りたいと思う。
 アイテムの出現には「設置型」「内包型」「交易型」「条件型」があると書いた。

  アルファシステム / MARSリンダキューブは、バリエーション豊富なアイテム入手方法が用意されていて、ここで提示したほとんど(か、それ以上)が存在する。
 意外に、そこまでアイテム入手方法のバリエーションが徹底したゲームは多くない。

付加的条件

 入手方法の解説に入る前に、大抵の入手方法に組み合わせられる条件を並べておく。

時限式

 一定時間が経つと出現する。
 時間が経たないと樹液が溜まらないとか、季節が違うとなる実が違うとか、獲物の活動時間が決まっている、とかそういう条件。
 ためショットは時間経過で手に入るアイテム、と捉えることもできる。
 カードゲームで、山からカードを引くのもこれ。

ランダム

 ギャンブル性と言い換えた方が、よりしっくり来るかと思う。
 アイテムが得られる・得られないの他、得られるアイテムの種類・数などに幅がある事で、比較的簡単にゲームに奥行きが出せる。

大分類

 では、主要な入手方法について語ろう。
 大きく「採集型」と「交易型」に分けられる。
 最初に書いた「設置型」「内包型」は、どちらも「採集型」に分類している。
 あと、それらに含まれないその他のものとして「条件型」を付加している。

 その中でまた細かい分類をして以下に並べた。

採集型

 品物を手に入れる最初の方法は、置いてある(落ちている)ものを拾うこと。
 狩猟採集型は特定の場所に行く必要があるため、その場所に到達することの困難さで(感覚上の)価値を定義できる。

採集型-設置型

「設置型」とは、いきなりアイテムが置いてあるタイプのアイテム出現方法だ。

 カプコン ファイナルファイトでは、フィールド上に複数の武器が設置されており、任意のタイミングで拾って使えるようになっていた。
 これが全て敵を倒したり箱を壊して出現する内包型として設定されていると、使う順番の自由度はかなり制限され、また別のゲーム性が生まれる。
 設置型だと、どの武器を使って行くかという計画を立てられるだけでなく、「これだけ武器が用意されているんだから、この後の敵が沢山出てきそうだな」という予想もできる。
 ファイナルファイトの場合、タルを壊したりして出現する内包型のアイテム(武器のほかに食料などの回復アイテム)も、その場に放置されて任意のタイミングで取れるようになっているので、そもそも設置型を基本とした作りと言える。

 また設置型は、置いてあるのが見えるが取れないというパターンで使いやすい。
 宝箱だと具体的に何が入っているか見えないが、設置型だと何が手に入るか一目瞭然なので、プレイヤーのやる気をかき立てる。
 また取らなくて良いという判断も取りに行く前にできる。
 RPGでは珍しくSCEI / アルファシステム 俺の屍を越えてゆけが、戦闘状態が開始された時点で入手アイテムが分かるという設置型に近いシステムを取っていた。

 設置型はゲーム内の資源(トークン)がプレイヤーに開示されている「完全情報ゲーム」に近い性質を持つ。
 情報が開示されていると計画が立てやすく、結果として頭脳戦要素が濃くなる。逆に、既にアイテムが何か分かっているので、探索的、ギャンブル的要素が薄くなる。

 設置型で(印象上の)価値を決めるのは、主に設置場所だ。
 土の上落ちているのではなく、台座など何か特別なものの上に乗っていると価値も上がる。
 また、画面(部屋)の端にあるより中心にある方が価値が高い。
 外にあるより、壁などで守られている場所が価値が高い。
 要するに「伝説の剣が道端に落ちてちゃダメ」ってことだ。

採集型-内包型

 設置型では発見した瞬間に何か分かって意外性がないので、一旦隠すというのが「内包型」だ。
 大事なものは宝箱(コンテナ)に入れましょう、という事。
 ひと手間ある事で、手に入れたアイテムに価値があるような錯覚をプレイヤーに与えるのがミソだ。

 動物やその卵、あるいは植物の実のように、それ自体もアイテムだが、解体すると中から別のアイテムが出る場合、これも内包型の一種といえなくもないが、本稿では、これらは単なるアイテムの一種として扱う。

 全てのタイプで、時間やスクロールアウトでアイテムやアイテムを含んだコンテナが復活する場合がある。
 草や敵のようにそこら中にあるコンテナは、何回かにいちどあるいはランダムで出る事で、時間と得られるアイテムとのトレードオフが必要になる。

 氷・カプセル・シリンダーなどの中味が見える入れ物は、内包型ではあるが設置型の要素も持つ中間型だ。
 何せ中味は見えているのだから、手に入れるのに手間がかかるとはいえ、情報は開示されている。

 内包型の印象としての価値は、コンテナの豪華さと開放までの手間で決まる。
 例えば、特殊な呪文でだけ破壊できる構造物などは、含まれるアイテムの価値が高く感じられる。
 その点、鍵がないと絶対開かない上に、それそのものが高価そうな宝箱というコンテナは、高価なアイテムを入れるのに最適だ。
 つまり「雑魚敵が伝説の剣を落としちゃダメ」ってこと。

 では、以下内包型をさらに幾つかに分けて語る。

破壊型

 敵を倒すことやタルを壊すように、入れ物を消滅させる「破壊型」
 破壊型は爽快感はあるし、もう取れないことがハッキリ分かる。コーエーテクモゲームスの無双シリーズのような爽快感優先のゲームによく合う。
 敵は基本的に、このカテゴリに含まれるが、任天堂 星のカービィポケットモンスターのように、敵そのものがアイテム化しているものは、敵を手に入れるという目的においては内包型ではない。

変形型

 箱のふたを開けて取り出すように、コンテナを壊しはしないが形が変わる「変形型」
 変形型は破壊型に比べて爽快感は劣るが、もう取れないことが分かると同時に、以前そこにアイテムがあったことも分かる。
 つまり既にそこを調べた(通った)ということが分かり、道しるべ的な役割をする。ファルコム イースといった探索型のゲームと相性が良い。
 任天堂 ゼルダの伝説シリーズの草を刈る場合のように、コンテナが復活する場合、道しるべ的役割は限定的なものになる。

非破壊型

 コンテナを壊す事も形が変わることもない「非破壊型」
 敵などから盗む場合もここに含まれる。

 非破壊型は、外見では調べたか調べてないか分からないし、時間が経つとアイテムが現れることもあるので何度も調べることになる。
 本棚やタンスなどの家具に多く、スクウェアエニックス ドラゴンクエストの町中に代表されるように、安全圏での探索そのものを楽しむ対象として存在している。
 推理ものアドベンチャーゲームなどは非破壊型が基本だ。ゲーム中の多くを(会話を含めた)探索に使うのだから、あからさまに証拠が落ちていたりすると、あっという間にゲームが終わってしまうという問題があるからだ。

 釣りは、釣り竿を鍵とし水中を宝箱とし、取得までの時間と種類のランダム性がある。
 釣り以外でも、仕掛けを設置するタイプは時限式とランダム式の組み合わせだ。
 設置場所が固定の場合もあれば任意の場合もあり、任意の場合は罠やエサの種類と合わせて、かかる獲物を限定できる。

 生き物に子供を産ませる繁殖も、元のアイテム(生き物)が減るわけではないので、ここに含めても良いだろう。
 ただシステムによっては、育てるための食料との交換に近いものになる。どちらであっても、大抵は時限式で、オス・メスあるいはそれ以上のランダム性がある。

 何度もアイテムが出る場合は、探索対象ではなく補給地点となり、その場所を中心に活動する事になる。

 以上が内包型となる。

交易型

 交易型は、主にゲーム内のキャラクタとのやりとりによってアイテムを手に入れる方法だ。
 人間とのやりとりになるので、ストーリーとの絡みを出しやすいのも特徴。

 これも、いくつかのタイプに分けてみた。

交易型-報酬型

 何かを達成して、その報酬としてアイテムを貰うのが「報酬型」要は現物支給の仕事だ。
 タダで譲渡される場合は無条件という条件で報酬を貰ったと考える(そう思わせてそれは前払いで、条件として魔王を倒さなきゃいけなかったりするわけだが)

 条件の厳しさでアイテムの価値が定義される。
 条件のクリア後、依頼者に報酬を貰いにいくというステップが必要なのが報酬型だ。
 報酬型の条件については、そのうちクエストだけを取り上げて語りたい。

交易型-交換型

 あるアイテムと別のアイテムを入れ替えるという入手方法。
 大抵は依頼を成し遂げた事の証として何らかのアイテムを必要とするので、報酬の段階の中に交換が含まれる。

 任天堂 ゼルダの伝説シリーズの「わらしべイベント」のように、次々とアイテムを交換していき、次はどんなアイテムになるのか楽しめる。
 消費型の鍵の場合の宝箱を開ける行為は、福引きのようなもので、交換の一種とも言える。
 もちろん、福引き(くじ引き)そのものも交換の一種だ。

 たまごの孵化や種の成長など、栽培も交換の一種で、時限式との組み合わせだ。

 アイテム錬成(料理・合成・解体など)も交換の一種だ。
 複数のアイテムが、別のひとつのアイテムと交換される、という解釈だ。
 アイテム錬成は、かなり多くのゲームで主軸となるシステムでもあるので、別項で語りたい。

 取り替え元のアイテムの価値で、取り替え先のアイテムの価値が定義できる。

交易型-購入型

 購入と売却は交換の一種だが、通貨という交換を前提とするものが仲立ちをする事で、かなり違った印象となる。
 セガファンタジーゾーンのコインのようにいかにも通貨らしいアイテムを使うものから、UPLアトミックロボキッドのように残機を通貨として使うものまである。
 基本的に「買い物は楽しい」ので、ゲームではよく使われるシステムといえる。
 ただ、買い物中はゲームの進行が停滞してしまうので、アクションゲームとの相性はそれほど良くない。

 時限式は例えば、昼または夜だけ営業する店、行商で一定期間だけ開いている店、季節で品揃えが変わる店など。
 ランダム式は、入荷する品物の種類が変わる店などの他、採取を依頼する場合は入手するアイテム自体にランダム性が入る。

 購入可能なアイテムは、いくら高価でも特別感に欠ける部分がある。
 いかに金を集める事が困難であっても、結局は金さえ持っていれば誰でも手に入るもの、という印象だからだ。
 例えばある敵を倒さないと手に入らないアイテムは、希少感とともに名誉という特別感も付加される。
 購入するにしても、オークションだと話は別で、他の人と競いあった上に手に入れた、という名誉が付加される。
 要するに「伝説の剣が店で売ってちゃダメ」ってことだ。

 以上が交易型だ。

条件型

 その他条件によってアイテムが手に入るが、この条件というものも幅が広く、なかなか一度には言い切れない。
 スコアでのエクステンドなんかは、購入型や報酬型っぽくもあるが、特に交易の相手はいないので、条件型だ。
 逆に、報酬型との違いは、報酬としてのアイテムを貰う相手がいないだけで、条件のパターンにそう違いはない。
 また、自機そのものはアイテムではないので、1UPアイテムを取得即使用したことにより自機が増えた、と解釈する。かなりどーでもいい部分だが。

 魔法をアイテムの一種と考えると、時間が経つと(宿屋に泊まるとか含む)持物に出現する「条件型」だ。
 魔法はアイテムとよく似ているが、多少取り扱いが異なるので、そのうち別に取り上げたい。

 また、条件型の詳細も、スイッチについての項目で語ろうと思っている。

まとめ

 まず、入手方法には大抵「時限式」と「ランダム」の要素が追加できる。
 その上で、以下のような分類ができる。

  • 採集型
    • 設置型
    • 内包型
      • 破壊型
      • 変形型
      • 非破壊型
  • 交易型
    • 報酬型
    • 交換型
    • 購入型
  • 条件型

 そこで結論。

ゲームの中での入手方法の大半は、現実世界の入手方法とほぼ同じ

ならば、それ以外の部分こそがゲームをゲームたらしめる部分と言えるだろう。