不思議の国のアリスに付いて調べた。読んだのはの三冊。
左からルイス・キャロル、アリスの服に絡めた当時の子供服、挿絵画家ジョン・テニエルの本。
どれも面白いし、図版が多くていい。
図説|不思議の国のアリス (ふくろうの本)も読んだんだった。
これはまぁ、普通です。
「手塚治虫マンガ論」米沢 嘉博 に続いて、同著者による漫画家論。
なぜか作家として語られることの少ない藤子不二雄を、きちんと捉えた名著。
藤子不二雄の漫画は、作品あるいはキャラとして語られることが多く、特にそれは「ドラえもん」とイコールであることが多いのだが、この本は作家としての藤子不二雄(AとF)とその作品について語ったもので、あまりドラえもんについての記述は多くない。
それもそのはず、ドラえもんは藤子不二雄という偉大な作家のほんの一部でしかなく、またスタジオ制作による作品であるため、藤子不二雄の作品と言っていいのかも怪しい。まちがいなく藤子F不二雄監督作品であるにしても。
本サイトのGame / IF / 虚空の揺籃は、非常に藤子F不二雄のSF(すこし不思議)の影響が強い。…まだ作りかけだけど。カンビュセスの籤とか知ったのも、藤子不二雄漫画だ。
それにしても、米沢氏による赤塚不二夫論、石森章太郎論がまとめて読めないものか。
2008-10-12
米沢 嘉博のマンガ史3部作の一つにして、最も評価の高い本書。噂に違わぬとはこのこと。
1980年までの少女漫画通史としてだけではなく、少女漫画史で現在本書に比肩するものは皆無と言っていいだろう。感嘆する他ない。
それと同時に、こんなにも漫画が繁茂している日本に於いて、ここまで漫画研究が浅い領域で足踏みしているのか、と憤りも禁じえない。
残念ながら、漫画の技術や表現についての研究という意味ではほとんど見るべきところはない。
とはいえ、漫画研究の足がかりとして、これほどの良書も他にないのではないだろうか。
漫画表現は主として少女マンガの中で高度化を辿り、著者が立役者の一人ともなった漫画同人誌を引っ張ったのも少女たちだ。
ある意味、少女漫画をフォローしておけば漫画研究の大半は成立する。
1980年以降も漫画は・少女漫画は進化・あるいは変化を続けている。まだ「BANANA FISH」を描いていない吉田秋生が期待の新人であるとした慧眼に驚嘆する、とともに「その後の漫画史」の欠如を嘆かざるを得ない。
誰か、「あさきゆめみし」を「日出処の天子」を「ガラスの仮面」のその後を、「セーラームーン」を「彼氏彼女の事情」語るものはいないのか!
私には無理だ。
1987年出版の本で、マンガ批評宣言のタイトル通り、漫画批評の転換点的本ではある。
何人も人を集めた割りに漫画で描かれた漫画批評がひとつもないのが、なんだか寂しい感じだ。
米沢 嘉博の漫画に対する熱いラブレターはなかなかステキではあるし、四方田犬彦や竹内オサム他の分析は鋭いが、著者の個人の本が今は別にあり、そこで同じ論をより詳細に語ってあるかここで書いたものが再録してある。あえてこの本を読む必要があるかは多少懐疑的。
樫村晴香の論が、かなりのページを割いて掲載されているが、これがつまらない。正直何が言いたいんだか分からない。まったく哲学とか思想家は困ったものだ。これがなかったら、この本の印象はぐっと良くなったと思う。
参考:嘘の力と力の嘘 ――大島弓子と、そのいくつかの政治学樫村晴香
漫画批評の歴史を追うには外せない一冊だろうが、漫画批評そのものを求めるなら、「もう古い」と断じても良いかと思う。
2008-10-27