ワンピース 海賊無双2

対応機種・周辺機器
PS3(1〜2人)
ジャンル
アクションアドベンチャー + 戦術アクション
著作・制作
(c)バンダイナムコゲームス/ コーエーテクモゲームス / オメガフォース / 尾田栄一郎 / 集英社・フジテレビ・東映アニメーション

基本情報

 無双シリーズと人気漫画ONE PIECEが組み合わされた、コラボ無双のシリーズ。
 前作ワンピース 海賊無双の大ヒットを受けての2本目は、どのようなゲームに仕上がったのか。

 主人公のルフィを操る普通のアクションゲーム的なステージ構成とゲーム進行であったメインログが撤廃され、無双的な陣取りルールで戦うステージに一本化された。
 ワンピースのゲームは沢山あるので、無双と名のついたゲームで無双らしくないことしてもサービスにならない、ということに気づいたようだ。
 というか、アンケートで「いらない」「つまんね」って意見がたくさん来たんだと思う。

システム

無双としては独特の操作系

 前作同様「△数回+□」に拘らないボタンの組み合わせで出る技は、ボタン適当押しでいろんな技が出て楽しい。
 ×ボタンはジャンプではなくダッシュ。ただし長押しではなく、ボタンを押すと即ダッシュ開始するように改良されていてかなり快適だし、リスクも低く、攻撃の回避行動として使いやすくなった。
 前作と同様ではあるが、ガードがないのも思い切った作りだ。

 キャラごとにアタッカーかテクニカルのスタイルが設定されていて、スタイルアクションという一定時間スタイルに合わせたパワーアップをする仕組みが導入されている。
 コレはボスに多い自然系(ロギア)能力者に対してダメージを与えるモード、という意味合いが強く、前作でロギア能力を出されると攻撃が全然当たらなくなって、イライラする問題への対応策となっている。
 仲間ストライクで仲間と入れ替わりしばらく操作するのは前作同様だが、出撃前に設定した仲間に固定で、スタイルアクション中○ボタンで呼ぶように変更されている。

 これらの特徴により、スタイルアクションを発動させるR1は、対ボス用の特別時間を発動させるトリガという雰囲気になっている。
 「おっしゃ行くぞ!」と気合いを入れつつR1を押すのは、なかなかに盛り上がる。
 発動に必要なスタイルゲージは時間で溜まるので、溜まるまで雑魚戦、溜まったらボスに挑む、というプレイスタイルになって分かりやすい。

 仲間ストライクにはプレイアブルでないキャラも設定できるのだが、その場合は必殺技を打つだけで終了。
 □連打だけでもいいから、どうにか通常攻撃も装備して欲しかった。モーションはあるんだから。

廃止されたアクション

 前作で主人公のルフィにやたら多く装備されてた必殺技は、一人2種類で(スタイルアクション中でない場合の)○ボタン長押しで使い分けられるように整理された。
 同様にルフィ専用だった特殊アクション切り替えや、つかみアクションも廃止されている。
 この辺りは、アスレチック的なゲームであったメインログ廃止に伴うもので、ゲームのテンポも悪くしていたし、楽しいというより面倒臭いという印象が強かったので必然だろう。

 前作で多用されていたQTEは全廃された。
 ダメな使い方も多かったが、上手いシーンも多かったのに、コレは残念。

ストーリー

 前作は原作を再現しようとしてすっかり破綻してしまったが、本作はゲームオリジナルのシナリオを採用している。
 アニメ映画は原作にないエピソードの島というパターンで毎回作られていて、本作もそのパターンを採用することもできたかもしれないが、もっと大きな枠で島々を駆け回るifのストーリーということにしてある。
 これにより、原作に出て来た島を巡ることもでき、前作のマップを使いまわすことができ(笑)、新鮮さとなじみ深さを両立させている。

 自由に人を操れるアイテムが盗まれ、仲間が操られて散り散りになってしまう、アイテムを取り戻したい海軍や同様に仲間がいなくなってしまった他の海賊と一時的に協力して、仲間を取り戻すのだ。
 という基本設定は、ゲームのために作られたストーリーとしてめちゃくちゃに正しい。
 なんで仲間同士で戦うの? なんでキャラを増やしていくの? みたいな疑問に的確に答えられる。

 ただ、ゲームのルールの理由づけ以外の、物語そのものの面白さはほぼ無い。
 原作にないキャラの掛け合いに「ほほう」と思うぐらい。
 特に、各キャラを仲間にするためのエピソードは「俺と戦って実力を見せてみろ」にほぼ一本化されていて、あまりにも工夫がない。
 「あるアイテムが欲しいんだがひとりでは厳しいから一緒に戦ってくれないか、アイテムを手に入れられたら仲間になってもいい」程度の話、簡単に作れるだろ。

コンピュータキャラの挙動

雑魚敵

 前作で邪魔臭かった特殊な敵は、大きく性質を変えている。
 例えば普通に攻撃するとダメージを受けていた棘雑魚は、通常は他の雑魚同様だが突進攻撃を行う敵に変更された。
 この棘雑魚を吹っ飛ばして他の敵にぶつけるとぶつかった敵に高いダメージを与える。
 自分がダメージを食らった時に納得感があり、うまく利用すればメリットもある、と全面的に改善されているのだ。
 他の盾兵や爆弾兵なども倒しやすくなったり、利用しやすくなったり、爽快度を上げる変更がなされている。

 前作で少々まばらに感じた敵の量も、無双らしく感じられる位に増え、吹っ飛ばしがいがある。

味方

 味方の行動パターンは改善され、特攻して憤死というパターンは減った。
 その上で、味方が倒れるとゲームオーバーというルールのマップも減った。
 さらに嬉しいのが、危機にある味方の近くに寄ると味方の体力を一定量回復させられる。
 周囲の敵を一掃するのに比べて即効性もあり「助けに来たぞ!」って気分が非常に高まる。
 味方として「頼もしい」レベルではないが、前作の「いない方がマシ」な状態から明らかな進歩がある。

その他

マップ

 マップ上には様雑な機能を持った拠点があり、占拠することにより自軍に有利な機能を得る。
 また、拠点間につながりがあって、隣接拠点を自軍のものにすることによって敵拠点を弱体化できる。
 これらは無双エンパイアーズに存在し、なぜ無双本編で採用されないか疑問なぐらいいいシステムだったので、本作での採用は諸手を挙げて歓迎したい。
 実際、非常に良い効果を上げている。

コイン

 本作はポケットにコインを装備し、隣接コインで発生する効果を最大限にするパズル的な要素がある。
 これ自体は非常に面白い、面白いんだけどキャラを頻繁に変えると、だいたいわかってる答えを再現する必要があり、面倒なことこの上ない。
 ポケット数が同じ別のキャラの設定を、そのまま持ってくるとかできなかったものか。

 ポケットの他に、ビンゴ形式でスキルを取得できるシステムがあり、これは素晴らしい。
 ビンゴはランダムでもたらされるアイテムにより発生するボーナスとして、全面的に肯定できるシステムだ。
 本作ではスキルシートという名で、いくつものシートが存在していて、コインを取得によるビンゴ発生の確率を高くしている。
 最終的に手に入れたスキルを使わなかったとしても、「ビンゴが成立した」ということそのものが嬉しく褒美となっている。
 これにより、ポケットに使用しないコインにも取得のメリットを持たせることに成功している。
 また、海賊という主題とギャンブル的なビンゴは相性が良い。

オンライン

 ネットを介しての共闘ができるモードがあるが、接続できてないので評価はなし。
 DLCは前作に比べ無料か安いものになっており、本体に十分なボリュームがあることと合わせて、ガメツイ商売というより更に追加で楽しめるサービス品の印象となった。

まとめ

 前作の普通のアクションゲームっぽいシーンをバサッと切って、通常の無双シリーズのフォーマットに揃えてきた。
 悪く言えばシステム使い回しのキャラ変えゲームだが、原作の技を再現した個性的な27キャラがプレイアブルである時点で強烈な個性があるのだから、変にゲームの方に個性をつけない方針は成功している。
 無双の良い部分をきちんと取捨選択し、ターゲットに合わせ複雑・高難度を避け、ほぼ原作のイメージを損なわないビジュアルとアクションを詰め込んできたのだから、素晴らしい。

 加えて、麦わらの一味と黒ひげの10人は別バージョンもあり、仲間ストライク専用のキャラがさらに20人いるのだから、普通なら万全のボリュームと言えるだろう。
 そもそも原作は魅力的なキャラクターが大量にいるので、文句なしまでいくには3本分の労力は必要だろうから、無茶言うなという話だ。

 最終的に売上としては大ヒットと言える本数が出ているが、前作を超えるまではいかなかった。
 ゲーム内容的には間違いなく、本作の方がよくできているのだが、タイミングであるとか前作の評判であるとか、いろんな要因もあって、ままならないものである。

参考

 そこで結論。

求められていたものをちゃんと出してきた。ファンがプレイして間違いないでき。