探偵 神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに

対応機種・周辺機器
ファミリーコンピュータ(レビューはPS版アーリーコレクションを元にしています)
ジャンル
アドベンチャー
著作・制作
(c)DATA EAST 1990

 今回、神宮寺三郎が挑む事件では殺人は起きない。
 そのぶん細かい描写を駆使して、人の心を描き出す意欲作となっている。

 前作で行き着くところまで行ったグラフィックを、更に向上させる方法として、グリーンのモノトーンで描かれている。
 モノトーンで描く理由として、1年前の事件を思い出しながら語るという設定を思い付いたのだと思う。
 この過去をモノクロで描く手法はシンキングラビットの傑作アドベンチャーゲーム「カサブランカに愛を(時を超えた手紙)」でも使われている。
 また過去を物語ると言う設定から、ときどき聞き手の熊さんの出す質問に答えるシーンがあり、事件の流れを整理するのだが、これが物語の理解を深めるのに役立っている。
 これらのことがピタリとゲームにはまっていて、心地いい。

 コマンド選択ごとにカーソルが頭に戻ってしまうということがなくなった。また、カーソルが、上下ループするようにもなった。これらが、大幅な操作性の向上につながっている。実に快適。まあ、当時としても、これらのインターフェースは、ほぼ当たり前になっていたと思うが。
 それから、推理してコマンドを選んでみると、ちゃんとシナリオが進むことが多い。
 コマンドの結果に、プレイヤーを納得させるだけの理由がきちんと設定されていると言い換えることもできる。
 前作までは、コマンド総当たりでやってみて、シナリオが進んでも「なんで?」ってことも少なからずあった。
 ただ、これまでも問題となっていた、コマンド実行ごとに動詞-名詞のコマンドを選択する必要があるのは改善されていない。連続して質問する場合など、いちいち「きく-まわりのひと-じけんのこと」と入力するのは面倒。

 今回はロムカートリッジでの発売となったので、できれば漢字フォントを使ってほしかった。
 このころはかなり容量に余裕があったはずだし、実際スタッフ名には漢字が使われている。
 数十程度の漢字を使うだけで、かなり読みやすくなるものだし、明らかに子供向けでは無いのだから、漢字が読めないことを心配することも無い。

 ロムカートリッジになったため、パスワードコンティニューを採用している。今回は物語の区切りごとにパスワードが変わる形式を採用しているので、4桁の数字というまず間違いようが無いものになっているのもいい。
 ただ、アーリーコレクションではカードに記憶できるので、逆にセーブできる場所が制限されて問題となっているが。

 そこで結論。

「ファミコンアドベンチャーの最高峰」


2002-04-04