新創世記ラグナセンティ

対応機種・周辺機器
メガドライブ
ジャンル
アクションRPG
著作・制作
©SEGA ネクステック

基本情報

 本作新創世記ラグナセンティはメガロープレプロジェクトの第一弾として登場したタイトルである。
 このプロジェクトは、その後シャイニングフォースCDストーリーオブトア〜光を継ぐ者〜など良いゲームを多く供給してくれたのは間違いなく、その意味では成功だったと言える。売れ行きはともかく……(こぞって中古価格が高騰していることで察してください)
 原因のひとつは本作発売年末には次世代機であるサターンが登場するタイミングであり、もはやセガマニアたちの目は次世代機に釘付けだったことだ。
 とはいえエクスランザーで技術力には定評のあるネクステック開発とあって、セガマニアの中のマニアには期待されていた。
 そんなわけで紹介されるときは「隠れた名作」呼ばわりされることが多い本作、実際名作なのか見ていこう。

 なお本レビューはメガドライブ ミニ2に収録されたバージョンをプレイしての感想。

システム

「セガのゼル伝」と揶揄されるぐらい絵的にもシステム的にも任天堂ゼルダの伝説 神々のトライフォース()(以下神トラ)に似ている。
 主人公が剣士なのはともかく、緑の服と三角帽子の少年…というところまで寄せる必要あった?
 その上で体力表示が神トラのハートに対し、本作はリンゴになっていたりして、言い訳がましい差異がチラチラあるのもパチモンっぽさを感じさせる要因だ。……なぜリンゴ?
 出てくる敵の挙動なども、神トラで見たやつだ!と思わず進研ゼミの広告みたいなことを言ってしまいそうになる。
 神トラを知らない人に解説すると「2D見下ろし型。経験値ではなくアイテムを入手することで強くなる。剣を振って闘うアクション」だ。

 とはいえ、カプコンファイナルファイトに対するセガベア・ナックルで分かるように、本作が他社の丸パクリであるはずはない。…ちょっとは変えてくるぞ!!
 本作の特徴は最多で15種類の動物たちを仲間にすることで、ボタンためで発動する剣飛ばしの能力が変化することを基本に、様々な追加能力を手に入れることだ。
 また動物は同時に2匹をお供にできるので、組み合わせによりさらなるバリエーションがある。
 これらの能力を駆使してトラップを抜けたり、敵を倒したりして行く。

良いのだが最高ではない作り

 謎解きや敵は神トラで挫折したボーイズ&ガールズでもクリアできるぐらい易しめに設定されていて、無茶な難易度でプレイヤーを挫折の谷に落とし続けてきたセガとは思えない優しさだ(開発はセガじゃなくてネクステックだけどね)
 またいつでも行ける訓練場が押し付け感のないチュートリアルになっていて、基本的なアクションを学べる。

 ただ神トラにあるような謎を解いた時のジングル音や弱点を攻撃した時のヒットマークなどがなく「この方法で本当に合ってるのかな?」と不安を抱えながらプレイすることが多い。
 クリアして先に進んだものの「謎を解いたというより、バグでたまたま進めた」ような気分になるというか。

 また後ろをついてくる動物たちはCボタンを押すことで前に出して盾として活用できるという鬼畜仕様がある(笑)
 ただボタンを押してから前に出るまでのラグが大きいので、そんなことしている間に敵を倒したほうが早い、となりがち。
 この動物シールドは初心者救済策だとは思うが、アクションゲーム苦手な人はボタンを使い分けることが苦手な率がすごく高い(印象)なので、あまり救済策にはなっていないように思う。
 当初は自動で動物が戦ってくれる仕様にしていたが、技術的あるいは納期的に難しく簡易な方法を取った、という雰囲気を感じる。

 マップは重ね合わせが自然で「通れそうなところは通れる」作りになっていて快適だ。
 木の後ろを通過する場合に、隙間からプレイヤーキャラがチラチラ覗くのもいい雰囲気だし、雪や砂に足跡がつき水辺を歩けばバシャバシャと波を立てるのもいい。穴に落ちたあと目だけ見えるのも可愛い。
 ただ、体が壁などにめり込んだり、隠れている部品からはみ出したりしているのが若干気になる。
 もしかしたら開発終盤でキャラのサイズを大きくしたのだろうか。

 体力を回復させるリンゴは簡単に入手でき、自宅に帰ると休んで回復もできるし、体力増強アイテム(命のリンゴ)をしっかり入手していけば体力自体も有り余るほど多く、加えて一回復活させてくれる動物を金で雇うこともできる。
 ほぼ万全の体制だが自宅が町の入り口から遠いなど、なんかこれも微妙に作りが悪い。

 ストーリーは人間・動物(モンスター)、現在・過去など多層的に語られ、なかなか奥が深いが、全体に情報が少なくヒロインの印象が弱いとか展開に唐突感がある他、移動範囲を制限されがちなのが困ったところ。

 メッセージ表示は大きく漢字仮名混じりで読みやすいが、ウィンドウの背景が透明なので背景と混じって読みづらい。
 神トラも同じ方式のメッセージウィンドウだが、本作の場合背景を描きこんだのが裏目に出た格好だ。

まとめ

 ということで、全体に良質のアクションRPGであるのは間違いないが、あと一歩の部分で詰め切れず惜しいできになっている。
 おそらくメガロープレプロジェクトの第一弾として出すため、時間がかけられなかったのだろう。
 そもそも、プロジェクトは前述のようにサターンを視野に入れるともう遅すぎるぐらいだった。
 言っても詮無いが、あと半年開発時間がかけられて、あと1年前に発売できていたら名作だったろうなぁ…という感じ。

 後にネクステックが出したサターンのアクションRPGはラグナセンティ 〇〇みたいなタイトルにして欲しかったがリンクル・リバー・ストーリーになっていた……諸般の事情というやつだろうか?
 トアのサターン新作はトア精霊王紀伝となってたように、タイトルを継続して欲しかったのだが。

 ちなみに珍しくソニックがゲスト出演しているが、特になんの役割もなくいるだけなので、仲間動物として登録できて欲しかった。

参考

 そこで結論。

名作は言い過ぎだけど、やって損はない傑作!