Celeste
- 対応機種・周辺機器
- Switch / PS4 / XBOXOne / Windows / Mac / Linux
- ジャンル
- ジャンプアクション
- 著作・制作
- ©Matt Makes Games Extremely OK Games
基本情報
Celeste(セレステ)カナダの小規模スタジオMatt Makes Gamesが開発したジャンプアクション。
要はジャンプを駆使して進んでいくサイドビューの2Dアクションゲームだ。
Nintendo Switchの発売()に合わせて制作されていたが、延期されてに発売された。
ほぼ同時に PS4 / XBOXOne / Windows / Mac / Linux 版も発売されている。
本記事はMac版をプレイしてのレビュー。
グラフィック
かなり荒いドットで描かれたゲーム画面はメガドライブぐらいの雰囲気だが、キャラクターが小さめなので「色数の多いファミコン」といった雰囲気がより正確かもしれない。
ただしダッシュの際に波紋のようなエフェクトがついたりしてリッチだし、キャラクターパターンやマップチップのバリエーションも豊富だ。
時々挿入されるイラストはドット絵ではなく漫画あるいは絵本っぽいイラストで、自撮り写真という形で表示されるので、ゲーム画面との画風の違いに唐突感がなく馴染んでいる。
このイラストと同じ画風でメッセージウィンドウの顔画像は描かれていて、表情がよく動く。
声優の声はなく、ペチャクチャという擬音っぽい音声とともに表示される。
文字サイズが変わったり色がついたりするのはもちろん、強調する部分が揺れたりするなど、なかなか凝っている。
そもそもゲーム画面上のキャラクターの動きが凝っているので、ショボイとか古臭いという感じはない。
アクション操作
本作は通常の歩行移動の他、ジャンプと8方向に移動可能なダッシュ、そして壁張り付きなどができる「つかみ」があるだけの極めてシンプルな操作系となっている。
この操作感が非常に良く、アニメーションやエフェクト、効果音などが気持ちよく、ただ操作して楽しい。
そして操作ミスをした時にゲームの作りのせいにできない「そう動いたのならそう動かしたのだ」と納得できる反応と判定がある。
実際は崖から飛び出した瞬間ならジャンプ可能なコヨーテタイムと呼ばれる仕組みや、キャラの見た目より小さな当たり判定などで、かなりプレイヤー有利に調整してある。
この調整のバランスが悪いと「自分が操作したつもりもないアシスト機能で勝手に成功した」り、逆に「操作したはずなのに反応しなくて失敗」したように感じるのだが、本作のバランスはまっこと絶妙と言える。
また基本的に敵が出てこないし時間制限もないので、焦らず落ち着いてプレイができるのも良い。
もちろんそれだけでは変化に乏しすぎるので、豊富なマップ上の仕掛けや、たまにボス戦っぽいものや追いかけっこで緊張感を出してくる。
それにチャプター区切りでマップの雰囲気や仕掛けを大きく変え、退屈させないようになっている。
マップ
マップデザインがこなれていて、パズル的に悩ませる部分とアクションの操作が難しい部分を適度に混在させてある。
また取っても特にパワーアップなどのゲーム的意味のないイチゴが、マップの各所に配置されており探索心を煽る。
ダッシュは回数制限があり壁張り付きも体力制限があるので、闇雲にやっては進めないルートがあり、それがパズルとして成立している。
ただしメインルートのパズルはそこまで難しくない。パズルを難しくしすぎると「まったく思いつかない」進行不能状態が発生してしまうので、それを避けたのだろうと思われる。
例えばアスキーキャッスルなどはクリアできる方が珍しいぐらいクリアできてないと思う(エクセレントに至っては…)
代わりにアクションはかなり難しく、チャレンジ精神を刺激してくる。
序盤からマップは棘だらけで、終盤はタイトーニュージーランドストーリーを思わせるトゲトゲっぷりだ。
とはいえミスの後に復活するポイントが短めに区切られているし、やり直し回数に制限はないので無限にミスできる(笑)
この区切りは基本的に1・2画面で終わるか、傍の通路で先まで見れる作りになっているか、あるいはマップ上に時々置いてある双眼鏡で先を見ることができるので、実際に進む前にルートを組み立てることができるという、気の利いた作りになっている。
それからマップはスクロールせず固定か、ほとんどは横か縦方向のみのスクロールになっており、迷いにくくかつ操作しやすくなっている。
また前述の通りイチゴは取らなくても先に進めるため、イチゴを取るルートは容赦なく難しくしてある。
加えて各チャプターにあるカセットを取ると選べるようになるB面や、ハート型のクリスタルを集めることでエンディング後に進める追加チャプターが用意されていて、無限に遊べるのではないかと思えるほどのボリュームがある。
またチャプターをクリアした後はチャプターがさらに区切られ、区切りごとに取得したアイテムと未取得のアイテムが表示され、途中の区切りから始めることもできるので、残りの回収も快適だ。
そんな難しいアクションは無理だという人のために、無敵、ダッシュ回数無限、(壁張り付き)体力無限などなど、といったオプションも最初から用意されている。
それでつまらなくなるかといえば、つまらなくはなるのだが、まだ探索の面白さは残っているし、前述の通り操作すること自体が楽しいので、意外に楽しめる。
ストーリー
山に登るという基本設定がいい、迷ったら上に進めば大体OKだから。
いじけがちな主人公の心と対峙していくストーリーとかは、ゲーム的には割合どうでも良いといえば良いのだが、山登りに対するモチベーションを維持させたり、理不尽な仕掛けを納得させたりする役に立っている。
とはいえゲームの説明のためだけに存在していて、物語的にはぞんざいかというとそうでもなく、前述のメッセージやキャラクターの演出やピアノの旋律と相まって、なんなら割と感動しちゃうぐらいの出来だ。
まとめ
ひとつひとつの要素を取り上げていけば、すでに見たようなものばかりの本作だが、その調整がとにかく丁寧。
任天堂スーパーマリオブラザーズを筆頭とした過去のジャンプアクションを深く研究している…というか「とにかく大好き」というのがそこかしこでうかがえ、ちょっとやりすぎな所もあったりするが、その辺りも微笑ましい。
本作は「要素を厳選し磨き上げる」という良い作品を作るには当然やらなければいけないことを愚直にやり遂げ、結果としてジャンプアクションのオールタイムベストのひとつと言えるほどの完成度に至った。
参考
そこで結論。
セレステ山の頂は、ジャンプアクションの頂だ!