真・三國無双

対応機種・周辺機器
PlayStation2
ジャンル
戦術アクション
著作・制作
(c)コーエー 2000

基本情報

 一大シリーズというよりもうジャンルとなった「無双」シリーズの方向性を決定づけたタイトルであり、シミュレーションゲーム一辺倒のコーエーのイメージを覆した名作。
 タイトルに「真」と付いていることから想像できるように、PlayStationで対戦格闘ゲーム「三國無双」が出ており、位置づけとしては続編とも言える。
 ちなみに無印「三國無双」は、知る人ぞ知る「けっこう遊べるゲーム」であったが、当時は対戦格闘ゲームが出過ぎていて、その中に埋もれてしまっていた。
 この辺アトラス「女神転生」と「真・女神転生」みたいなものか。

 本作は3Dアクションで三国志の英雄たちが対決するという基本は踏襲しつつ、同社「決戦-KESSEN-」で培ったリアルタイムで大量のキャラがわさわさ動く技術を投入し、全く違う面白みを持った作品に仕上がった。

PS2初期ラインナップにつき

 全体的に「プレイステーションに毛が生えた」感のあるグラフィックで、特に背景のテクスチャがしょっぱい。
 とは言え、武将のデザインなどはかなり完成しており、格好良い。

 PlayStation2ではあるがCD-ROMでのリリースであり、容量的に厳しい物があった事は想像がつく。
 音声が少ない事も含め、ちと寂しさがあるのは致し方ない。
 想像ではあるが、PS2初期はDVDのプレス工場自体も整っておらず、安定して安価に供給できる状態ではなく、CDなら計画が立てやすい、との判断だったかと思われる。

 で、ボリュームが少ないかと言われると、プレイヤーキャラは最終的に28人にも達し、十分なボリュームとなっている。
 ただし、ステージやモーションの使い回しが多く、しょーじき飽きる。

システム

 戦場を三国志の英雄となって並みいる兵士をバッサバッサと斬って行く。
 これだけだと、昔からあるベルトスクロールタイプのカプコン「三国志」と何ら変わらない。実際の話、プレイ感はかなり似ている。
 個人的な感触ではトレジャー「ガーディアンヒーローズ」が、横画面のアクションではあるが、一番近いプレイ感覚ではないかと思う。
 本作も「ガーディアンヒーローズ」も、護衛の兵隊が付いてくるし、ザコが大量に出てきて、上手く片づけて行かないとボコボコにされるとか。
 コンボを決めるのが楽しい、空中に吹っ飛ばされたり吹っ飛ばしたりの派手なアクションとか。
 バリバリ敵を倒して経験値を手に入れて、プレイヤーキャラが育って行くとか。

 そんな爽快感溢れるシステムだが、もーひとつ敵が密集してくれないので、一挙に大量の敵にダメージを与えるというのは難しく、その辺にシステムの方向性のチグハグ感がみられる。
 とは言え、斬られるために密集している嘘くささがなく、「ごれぞ戦場」って雰囲気はよく出ている。

 馬に乗ると抜群に強くなるので、シューティングゲームでパワーアップしたかのような爽快感を得ることができる。
 ただ、馬だと小回りが利かないので、ある程度ダメージを与えたら、馬から下りて掃討戦を行う必要がある。
 これが非常に良いテンポを作り出していて、メリハリの利いたゲーム進行となっている。

 そして、これが本作の骨子と言ってもいいが、自分が戦っている間にも戦場の他の場所では、刻々と戦況が変化しており、適切に拠点を攻略したり、友軍の救援に行ったりしないと、いくら一人で奮戦しても勝てないようになっている。
 画面は敵の大量に出る(時のオカリナ以降の)「ゼルダの伝説」という雰囲気なのに、シミュレーション的な楽しみも同時に持っている。
 これは素晴らしい。
 大抵、2つのシステムをくっ付けると、どっちも中途半端な「つまんないゲームを2種類やらされる」ような雰囲気になりがちだが、本作はその愚を犯さず、「面白い物と面白い物をくっ付けて、もっと面白く」してしまった。

難点

 馬やアイテムが消えてしまうまでの時間が短すぎで、ちょっと放っておいて、あとで取りに行こうとすると大抵無くなっている。
 これは相当にストレスとなる。

 弓兵がブワッといつの間にか湧き出ていて、知らないうちに大量の体力が減らされる。
 その上、櫓の上にいる弓兵が、弓で射ってもなかなか倒せない。
 爽快感を著しく削ぐ。

 ゲームプレイをセーブして中断できないのは困る。
 だいたい1プレイ30分はかかるし、調子よくないとか、アイテム収集とかしていると、制限時間100分ギリギリまで行ってしまう。
 ステージをクリアした後は保存できるのではあるが、30分以上時間を使って、凡ミスでそれまでのプレイが消えてしまうのは滅入る。
 制限時間100分のステージを、一気にクリアしなきゃいけないのは「ファミコン時代かよ!!」という気分になる。

 回復アイテムは、主に護衛兵のような、ちょっと固めのザコが落とすものが頼りなのだが、これが良くない。
 有名武将を倒すには周辺のザコを倒して、武将と戦っている時にザコから邪魔されないようにするのが定石となる。
 当然この時点で回復アイテムがポコポコ出てくるのだが、武将と戦ってないので体力が減ってない。
 そして、いざ武将と戦い一気に体力を減らされた時に、回復アイテムを持っているザコが周辺にいないのだ。
 痛し痒し!!

 更に、(主に)敵武将が起き上がりにバンバン回復するので、「吹っ飛ばし攻撃を決める→敵が回復する」の繰り返しになってしまう。
 そうならないためには、最初の3撃までで攻撃をやめ、吹っ飛ばさないようにチクチクと攻める必要がある。
 そうやっていても、友軍が吹っ飛ばし攻撃を食らわせたりして、「吹っ飛ばし→回復」のループからなかなか抜け出せない。
 ここが、本作の一番の失敗かと思う。

 あと、PS2の3Dアクションでは必ず言っている気がするが、ガードはL2の方が良いと思うのだが…。
 それから、一旦各モードに入ったら、リセットでしかメニューに戻れないのはいかがなものか。

 そこで結論。

「カレーにトンカツ乗っけた並の自然すぎる融合。絶品です」


2012-09-11