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ヤクザの抗争を描く、任侠アクションアドベンチャー。
前作の舞台「神室町」に、大阪の「蒼天堀」「新星町」を加え、スケールもググッとアップ!
声優も渡哲也、舘ひろし、赤井英和、寺島進、徳重聡とさらに渋みと厚みを増し。釘宮ボイスの浮きっぷりも最高潮。
そして挿入歌にクレイジーケンバンドを迎え、男臭さ満開。
前作と比べ、初期状態での戦闘能力(技の種類など)が高く、序盤からストレスなく遊べるようになっている。
基本的な操作性もかなり良くなっていて、基本部分はゲーセンに置けるレベルになっている。
ゲージが溜まると出せるヒートアクションがタッグでも出せるようになるなど、大幅に種類が増えている。
「今度はアレを決めてみよう」とか考えながら戦えるので、街中での遭遇戦を単調にしない良いアクセントになっている。
戦闘中や移動中に発生する「シェンムー」のQTE(クイックタイマーイベント)のような、素早く画面に表示されたボタンを押す事で、動画を絡めた大胆なアクションが発動するシステムが、実に上手い具合に組み込まれている。
特に、街で助けた人が喧嘩に加勢してくれるアクションは胸が熱くなる。
個人的にはQTE大好きなので、もう「キャバクラもQTEでいいじゃん」とか思っちゃう位。
前作でも書いたが、ガードやシフト移動といった、頻繁に使うボタンはL1、R1でなく、大きなL2、R2に配置して欲しい。押し間違いはあまりないものの、指が疲れる。
前作ではもう一つだった移動制限の方法であるが、本作ではかなり開き直った方法がとられた。
そこから先は行けないという部分に来たら、プレイヤーキャラの頭の上に進入禁止マークが灯り、それ以上進めなくなるのだ。
「そう来たか!」と思った。大抵の場合は没入から冷めてしまうこのシステムだが、ここまで露骨だと、もはや清々しい。
適度に、人垣や通行止めで妨害したり、「この方向ではなかったな」とかつぶやいて振り返るとか、連れている仲間が「どこに行くつもりだ」とか行って振り向かされたり、といった別の方法も混ぜてあるため、そこまで鼻につかない。
ただ進入禁止マークも出ない「透明の壁」が存在する箇所も割と多く、そこは何かやって欲しかった。
今回は町で発生するサブイベントの数が半端なく、その中でも「ホスト体験」と「キャバクラ経営」のボリュームは、もう「龍が如く2」の内容の記憶の大半を占めるレベル。
さらに前作のミニゲームに加え「麻雀」や「将棋」を本当に打てるとか、「パチスロ」に「アラジンA」と「獣王」の実機シミュレータが入っているとか、他にも多くのミニゲームが追加されており、もはや「ミニ」と付けてはいけないレベル。
あと、キャバクラ通いもパワーアップ。ゲームとしては「ときめきメモリアル」の三択の中からベストアンサーを選択して行くと女の子の好感度が上がるという部分を取り出した単純なものだが、グラフィックの作り込みやリアクションなど、スタッフの力の入れかたが尋常ではない。
力入れるとこ間違ってるよ! いや、間違ってないよ! と、同時に叫びたくなる。
もうこの本編より周辺でしょ、って力の入れかたは「ゼロヨンチャンプ」シリーズに匹敵する。…と言って、どのくらいの人に通じるのかなぁ。
クリア後に、本編以外の部分だけプレイできるモードも存在していて、じつに至れり尽くせり。
ただ、アイテムボックスがもっとあちこちに用意してある方が良かったし、アイテムの整理操作のもっさり感もいただけない。他の部分の操作性はかなり良いのに残念。
あと前作もそうだが、タクシーを街の端っこに置く意味はあまりない、タクシーの乗り降りで無駄に走らされてタクシーのメリットが低い。街中に車が走っていない不条理さを感じさせないための端への配置と思うが…、にしても不便。
前作の事件から1年後、クリスマスを前にした神室町からスタート。「ダイハード」かよ!、とか思いつつも、良い引用。
パートナーは、前作の少女から「ヤクザ狩りの女」の異名を持つ美人刑事へ。
「んー、大丈夫かなー。生意気な女パターンって最後までムカつくキャラのまま比率が凄い高いんだけど、経験上…」
結論「最後までムカついたけど、アクセント的には良し!」ずーっとプレイヤーにひっ付いている訳ではないのが良かった。
マップに堀…つまり水が流れている箇所があり、これが非常にいい雰囲気となっており、イベントシーンの演出でも実に効果的に使われている。
大阪を追加した事により文化的な世界観の広がりを持った事も大きかったが、水辺そして橋があることが一番雰囲気に影響を与えているように思う。
前作の「100億の少女」ってハッタリのかけ具合が凄かったが、本作もフィクションだからハッタリかけ放題だとばかりに、竜虎対決はあるし、城の演出とその意味の無さにビビる事必至。
このくらいでっかくウソをついてくれると、キャバクラやホストクラブの桐生(プレイヤーキャラ)とイベントシーンの桐生の別人っぷりなど、細かい事と気にならなくなる。
地味でリアルなディティールを重ねておきながら、要所要所でどでかいウソを突っ込んでくる。そうする事で「街中で喧嘩し過ぎだろ、このおっさん」とかいう部分でプレイヤーを冷めさせない。この絶妙のバランス感覚はSEGAとは思えない見事さ。
基本的なストーリーは、大阪だけでなく韓国系マフィアが大きく絡むなど、かなりハードボイルドだ。
すぐ攫われちゃう大吾のお姫さまっぷりとかも面白いが、それよりも個人的には真島の兄貴が、とにかく恐カッコ良くて、もー主人公は真島の兄貴でいいじゃん、とか思ったり。
真島の兄貴とタッグで行動したら、拳とドスでの日本の極道統一も夢じゃないよ!!
そこで結論。
「シェンムーを作った意味は確実にあった、あの失敗を肯定できるほどの名作」
2012-08-21