シェンムー第一章横須賀

対応機種・周辺機器
ドリームキャスト GD-ROM×4
ジャンル
FREE(Full Reactive Eyes Entertainment)
著作・制作
(c)SEGA 1999

 詳しいことはシェンムーオフィシャルページを参照のこと。
 特に、バーチャファイター3tbのオマケGD-ROMで鈴木のおっさんが、やたらと自慢げに語ってたのを見て「ヤバイ」と思ったもんだが、できあがってきたもんも、なかなかにヤバイもんであった。

 絶対にアナログスティックを移動に使うべきだった。
 3D空間で十字キーでは、画像がリアルなだけに動きに違和感があるし、望む方向をポイントしにくい。
 十字キーをメインに採用した理由は、アナログでは納得いくだけのもの格闘システムを作ることができなかった、ってのが主な理由だろうとは思うのだが、「格闘はオマケ」なんだから、そっちのほうこそ適当でイイってことに気付いてほしいものである。
 最終的な格闘システムが良くできているかって言うと、カメラが中途半端な位置で止まることが多くて、どっちにコマンド入れたらいいか分からないとか、コマンドが暴発しがちだとか、単発の技がほとんどの上に、一部の技の性能がいいので、それさえ連発してりゃ勝てるとか、結構散々な出来である。

 少し前の現代日本を舞台にしているのだが、その選択はリスキーだ。
 理由は幾つもあるが、結局一つに集約することができるそれは「知ってるものと比べてしまう」と言うことだ。
 人の動きがちょっとでも変だと気になる、ゲーム的な記号が気になる、ジャンプできないことが気になる、風呂にもトイレにもいかないのが気になる、どこでも走り回っちゃう主人公が恥ずかしくて気になる(自分で操作してるんだが)。
 画像がリアルであればあるほど、笑ってしまう。

 それはともかく、現代日本で3Dゲームを成立させるには、まず最初に大きなウソを付き、次にウソを付き続ける必要があると思う。
 最初のウソは、ヤンキーマンガや超伝奇小説のような一種のファンタジー空間の設定であり、頻繁に付くウソはアクのあるキャラクターである。
 シェンムーの場合、どちらも弱いので、なんとも気持ちの悪い中途半端なリアリティをかもし出している。
 ヤンキーものの三種の神器「車(バイク)とケンカと女」のうち、特に「女」が弱いのも痛い。

 クイックタイマーイベント(QTE)ってのが用意されているが、これはLDゲームで良く採用されたシステムと同じもので、画面に表示される指示通りにボタンを素早く押すと映像が進行するという「もぐらたたきの変形」である。
 それからフリーバトルは、しゃがみとジャンプがなくて、避けがあるバーチャファイター。
 あまり、ごちゃごちゃとシステムをぶち込み過ぎである。戦闘は全部QTEに統一すべきだった。

 ゲーム全般に技術を自慢したいが故の設定やシステムが目に付く。
 主人公の家の家政婦が老女なのは、シワが表現できるようになったことを自慢したかったからに違いないし、持ったアイテムをくるくる回せるのも、こんなとこまでポリゴン使ってるんダゼーって自慢したいからに決まっている。ゲーム的な意味は一片も無い。
 たしかに、グラフィックは自慢したくなる程凄いが。

 ヘルプシステムが充実していて、細かい操作はもとより、インターネットに接続して、進行上のヒントなんかももらえるようになっている。
 しかし、これは根本的な部分で間違っている。「丁寧に説明することよりも、説明しなくても分かることがより良い」のだから。

 他にも、箱庭的空間がつくられており、沢山のキャラクターがそれぞれの生活リズムで行動していたりとか、おまけに「ハングオン」や「スペースハリアー」の完全移植版が入っているとか、ネットワークランキングを実施しているとか、書くに足りる要素はテンコ盛りだが、一言でいって、「詰め込みすぎ」である。5本分ぐらいの要素を一本に入れちゃってるのが大間違い。
 結局、何をするゲームか、「何をさせたいゲームなのか」さっぱり分からない。

 そこで結論。

「金と労力を注ぎ込みすぎたが故の駄作」


2001-10-23