ゴッド・オブ・ウォー

対応機種・周辺機器
PlayStation 2
ジャンル
アクションアドベンチャー
著作・制作
(c)Sony Computer Entertainment America Inc / CAPCOM 2005

基本情報

 SCEアメリカがプレイステーション2の代表タイトルとすべく総力を挙げて3年の開発期間を経て発売された、ファンタジーアクション。
 ソニーの海外スタジオが作ったゲームというと、クラッシュ・バンディクーラチェット&クランクが浮かぶが、これらは開発は別で販売のみソニーである。
 そして本作は、開発はソニーで(日本の)発売はカプコンという、なんだか変な立ち位置のゲームである。

ギリシャ神話の世界

 ギリシャ神話の世界を用いたゲームはいくつか思いつくが、それぞれのゲームのできはともかく、あんまり人気のある題材ではない。
 ただし、ゼウスやアテナなどの神々の名前や、メデューサやミノタウロスなどモンスターについてはゲームでは非常に多く現れる、親しみのある世界でもある。

 このギリシャという扱いやすいようなそうでないような材料を、本作ではとにかくバイオレンスでカラーをつけている。
 とにかく血しぶき、血だまり、返り血、首はもぎ取り目は潰す残虐っぷり。主人公の容赦のなさがいっそ清々しい。
 この印象が強くて、そういえばギリシャ神話が題材だったな、というくらいのギリシャ神話度になっている。
 特に、主人公およびモンスターのデザインは従来のギリシャ神話題材の映画などと被らないように、相当苦心したようだ。

基本システム

 とにかく最初に受ける印象は、そのグラフィックの圧倒的な美しさ。ムービーシーンのままのクオリティでゲームシーンが作られているかのようだ。

 本作はサードパーソンビューの剣劇アクションであるカプコン鬼武者に近いシステム。
 カメラワークや操作感はコナミメタルギアソリッドに近い。
 そして謎解きやトラップなどの印象はアイドストゥームレイダーに近い。
 単にパクったというより、非常に良く以前のゲームを研究していると感じた。

 そして、3Dのアクションで問題になりがちな敵との距離感の問題は、鎖鎌のようなリーチが長く攻撃範囲の広い武器を持たせることで、解決している。
 アクションの種類も豊富で、特に戦闘でのモーションや振動も含めたエフェクトが気持ちよく、意味もなく攻撃アクションをふるいたくなる。
 またその欲求を満足させるように、ツボや箱などの適宜破壊可能オブジェクトが置いてあり、実に如才ない。

 3Dで弓を持たせるとロックオンや誘導、また矢の直進などにうさん臭さが出てリアリティを持たせようとすると、モードの切り換えがあったりして、結局使いづらくなってしまいちだ。
 本作では神が与えた魔法で雷を投げる、とすることで、ロックオンや連射が超高性能でも納得させられる。

 3Dのゲームで問題となりがちな、行けそうなのに進めない「透明の壁」問題は、もうあからさまに常に透明の壁を置くとい開き直りにより、逆にあまり気にならなくなっている。
 横スクロールアクションで奥に行けないのは当然、という感覚に近い。
 ただ、落下してミスとなるポイントもあり、見た目では区別がつかないので、やはりそこは理不尽さを感じる。

CSアタック

 本作の目玉のひとつは、コンテキスト・センシティブ・アタックと呼ばれる、画面に表示されるボタンや方向キーの指示に従って入力すると、自動的に迫力のあるアクションが発生するシステムだ。
 これはSEGAダイナマイト刑事シェンムーなどで採用されているシステムと同じではある。
 ただしアタックの名の通り、攻撃のしかもフィニッシュに特化しているため、「とどめは派手なムービーで決めたいが、そうすると一番の決めのシーンでプレイヤーが傍観者になってしまう」という問題を鮮やかに解決している。

 ちなみに、序盤の娼婦たちを相手に別の意味でのフィニッシュを決めて、CSアタックの練習ができるのが、大人向けかつゲームらしいジョークとなっていて面白い。

ゲームバランス

 こと3Dになってからのマップデザインは、日本よりアメリカやイギリスのゲームの方が優れているように思う。
 本作の場合、3Dフィールドとはいえ基本的には一本道になるように設計されていて、ほとんど迷わない上に、マップの前後を先読みしてメモリに貯めているようで、ほとんどローディングのストレスがない。
 カメラをプレイヤー側で動かせないので、一方向のグラフィックデータですむとはいえ、相当上手く作ってある。

 とにかく難しくてクリアさせる気があるのか怪しかった昔の洋ゲーに比べ、本作は実に熟れた作りとなっている。
 武器や魔法を強化して増えるアクションを駆使すると俄然楽に敵を倒せるようになる上に、単純なアクションしかつかわなくてもなんとかなるような調整になっている。
 一部、トラップの調整は時間とか距離とかギリギリすぎるんじゃないかという気もするが、セーブ地点以外にも細かく復活地点が設定してあるので、もう一回やってみようと思える。

 ちょっと回復ボックスを配置し過ぎな印象があるが、これカプコンのローカライズによる調整な気がする。カプコンは「難易度を落とす=回復アイテムを置く」という傾向が強い。
 これだけ置くならもう、セーブ地点で完全回復するような調整の方が良かったかもしれない。
 ちなみに、アメリカ版では一般人を殺害して回復できたらしい。

まとめ

 見た目は2005年の最新ゲームという感じだが、そのゲーム部分は極めてオールドファッションな調整であり、アクションゲームの本質的なところで勝負してきている。
 このゲームをプレイしていて、ファミコン時代のような懐かしさを覚えたほどだ。

 そこで結論。

「3Dゲームのひとつの到達点であると同時に、アクションゲームそのものの集大成でもある大傑作」

ただ、防御はL2にしてください、お願いします。大きい方が押しやすいのです。


2013-03-30