メタルギアソリッド

対応機種・周辺機器
プレイステーション デュアルショック対応 CD2枚組
ジャンル
タクティカルエスピオナージアクション
著作・制作
(c)KCE Japan 1987,1998

 MSX2の伝説の潜入アクションが、PS版となって帰って来た!
 倒して進むのではない、見つからずに潜入する、逆転のゲーム性が3Dという衣を纏って帰って来た!
 伝説の傭兵スネークが帰って来た!
 今回の任務はテロリスト集団が占拠した核施設に潜入し、核兵器の発射を未然に防ぐ事だ。

 メタルギアの続編として、潜入アクションとしての進化は勿論、もう一つの前作とも言える「ポリスノーツ」で懸念を示した、ゲームとなるかゲームをやめるかの方向性がどうなるかも気になる所だ。

 アクションゲームとして考えると、前転やら横っ飛びなんかの特殊な動作は勿論、ジャンプすらないし、比較的一般的な持ち上げや、押す引くなんてものも無い。
 その代わり、このゲームにはしゃがみ、匍匐前進、覗き込み、首締め→首折り、引きずり、壁たたき等と言ったアクションが装備されており、潜入アクションというゲームの方向性を際立たせている。
 壁に張り付いた時や狭い所に潜る時の視点移動も、気が利いている。

 インタフェースも、よく考えられており。例えば、くの字に表示されるアイテム選択メニューは、画面の邪魔にならないように多くのアイテムを表示させるうまい方法だ。
 プレイ再開時にミッションログとして、現在の状況を説明してくれるのも親切。

 グラフィックはイベントシーンも含めてリアルタイムフルポリゴンで作られている。
 読み込みストレスも少ない、といってテクスチャがチャチと言う訳でもない、水中の表現などもかなり高度だ。
 勿論、PSと言うハードとして考えれば、という但し書きがつくが、やはり凄い。

 イベント中もリアルタイムフルポリゴンであるので、プリレンダムービーと比べると、どうしても表情付けやモーションの細かさに劣るが、カット割りやカメラワークで説得力を持たせている。
 そして、イベントシーンの画面がゲーム本編と同じ手法で作られている事が、ゲームの統一感を高め、プレイヤーの没入感を高めている。

 3Dゲームで問題となるゲーム中のカメラワークだが、基本的には2Dに近い見下ろし視点として、カメラの方向を一定とすることで、ゲームとしての遊びやすさを確保している。
 また、レーダーも表示されているので、自分の位置を見失う事がない。逆に敵に補足された時などにレーダーを隠す事で、うまく混乱状態を作り出している。

 ストーリーは非常に出来が良い。
 というのも、多くのゲームで陥りがちな、ストーリーを考えてそれにゲームをかぶせたものではなく、ゲームのためのストーリーとなっているからだ。
 ストーリーに限らずゲームとして面白くなる、と言う事を第一優先事項としてアイテムもキャラクターも作っている事が伺える。
 例えばアラスカと言う舞台設定にしても、テクスチャをモノトーンにして、少ないデータでグラフィックの美しさや見やすさを高める、またゲームとして必要な周囲と隔絶させた空間を作るためではないかと思われる。

 それから、MSX2で開発された前作、前々作をプレイした人なら、もー嬉しくって悶絶する位、ストーリーの関連性は深い。
 ただし、丁寧なストーリーのおさらいもあるので、このゲームがメタルギア初体験という人も、ゲーム中に出てくるキャラクターの関係が分からなくなる事は無いので、置いていかれる心配は無い。
 とは言え、できればMSX2版をPSに完全移植し、その上で本作を発売してほしかったところ。
 ちなみにファミコン版は「無かった事」にされているようだ。

 それから、無線で連絡できる仲間から、蘊蓄がコレでもかと聞ける。
 多少国際情勢やミリタリーに興味を持っている人ならば常識のような知識も多いのだが、ゲームは教育的でなくてはいけない、という持論を持つ私としては非常に関心した。
 蘊蓄は、聞かないなら聞かなくても良い、というのも気の利いた作りだ。まずゲームは楽しみであるので、説教臭くなっては意味が無い。

 また、核や戦争問題、民族人種問題、遺伝子倫理問題など、現実の用語を使って取り上げているので、どこからがフィクションか分からなくなる位だ。
 と同時に、アラスカでも女性は胸をはだけた衣装とか、ヘリや戦車と生身で対決、というケレンも見せる。

 ゲーム中のシリアスなキャラクターが「セレクトボタンを押すんだ」とか言っちゃうあたり、非常に割り切りが良い。
 コントローラやマニュアルをうまく使った仕掛けも見られ、ハードウェアの使い方やマニュアルも含めてゲーム、と言う考えが全編を貫いていると言える。

 小島監督作品と言われる一連のゲームは、とにかく良い声優がそろっているので、少々冗長な言い回しや長いイベントでも、飽きずに聞く事ができる。
 ちなみに私は、「メタルギアソリッド インテグラル」がVRトレーニングが沢山入っていると言う事で買ったら、英語音声だったので、結局本作を買い直した。
 塩沢兼人氏が亡くなる直前の作品と言う事で、特に「スナッチャー」「ポリスノーツ」とプレイした人にとって、英語版は考えられないだろう。
 それはそれとしても、やっぱりイベントシーンは長めと思う。

 難易度だが、非常に厳しい任務の割には、かなり楽。
 ゲームを進めているとアイテムが復活しているので、ほとんどの装備品が満タンの状態で進める。
 そもそもが攻撃ボタンの位置を忘れる位に敵を倒さずに済むゲームではあるが、アイテムが多いので、どんどん倒していってもどうにかなっちゃう。
 そんな事もあって、案外緊張感が無いゲームバランスとなっている。ただ、全編緊張感バリバリではプレイがきついので無難なバランスかもしれない。
 割とクリアまでのボリュームは少めだが、舞台に絵的なメリハリが高い訳ではないので、飽きてしまうだろうし、繰り返しプレイも考えると、ちょうどいい長さと言えるだろう。

 オプションで操作方法を選択できるが、プレイ前に毎回選び直さなきゃいけない。これは本編をコレだけ作り込んでおいて、ちょっとあり得ないポカだ。
 私は3D視点はリバース派なので、非常にイライラさせられた。

 そこで結論。

「ゲームのままだ!映画にはならなかった!!しかも素晴らしいゲームだ!!!」


2004-12-16