VRAVE FENCER 武蔵伝

対応機種・周辺機器
プレイステーション FF VIIIとエアガイツの体験ディスク付き
ジャンル
アクションロールプレイング
著作・制作
(c)スクウェア 1998

基本情報

 スクウェアが新たに立ち上げた、フルポリゴンアクションロールプレイングゲーム。
 キャラクタデザインにFF7で人気を得た野村哲也を起用。
 サブキャラクタデザインは、当時ブギーポップで注目を集めていた緒方剛志。
 さて、その内容は?

操作性

 フルポリゴンの世界で8方向にしか動けないのはつらい。アナログコントローラには対応しているものの、移動量をスティックで調整できるだけで方向は8方向のままのようだ。PSのゲームであるためアナログ専用にはしづらい事情もあるだろうが、任天堂スーパーマリオ64を体験したあとでは、哀れですらある。
 カメラを回転できる場所と、カメラ位置は固定でズームが出来る場所、それに完全固定の場所があるが、全部完全固定にしてもらった方が、8方向の操作でもスムーズで良かったろう。

 スクウェア製品の割に、冗長なインタフェースが所々見受けられる。
 例えば、セレクトボタンを押したあとR1を長押しすると寝るのだが、これセレクトボタンを押した時点で寝ていいんじゃないか?

 また、アクションRPGなのにアドベンチャーゲームやRPGのようにコマンドメニューで選択する場面が多い。
 例えば、店や城の中は人に話しかけるのも移動も全部コマンド選択で、アクションRPGの利点である手触り感に乏しい。

 戦闘では連続でコンボを決められるのだが、最後までタイミングを掴めなかった。タイミングが厳しいのか、変なタイミングなのか…
 当たり判定も、微妙に分かりにくい。

ストーリー

 二刀流だから武蔵ってことだろうが、他に武蔵である必然性を感じない。
 味方の名前は焼き肉関連、敵は酒関連で付けてあるが、特にこれと言った意味はないようだ。
 ネーミングだけでなく、全体的に「特に意味無し」な雰囲気が横溢している。

 モンスター以外の敵キャラクタが多すぎる感がある。ほとんど出番らしい出番も無いし、あんまり敵の間での人間関係も描かれない。
 なにげに声優が豪華だけど、せっかく千葉繁とか使っといて、あの程度の役?と残念。
 そもそも、主人公が異世界から召還されたという立場なため、敵との因縁もありようもなく、戦いの動機付けも薄い。

 あちこちに散らばった住人を探して戻す事が、ゲームの目的の1つであるのだが、ほとんどの住人は城に行ってしまう。
 住人を見つけるたびに村の機能が強化されて、ゲーム進行に有利になる、と言った事だと住人探しにもやる気が出るのだが、村人は全員最初からいるので、なんとも危機感がない。
 村を育てる(復興する)という仕掛けは、エニックスアクトレイザーソウルブレイダーあたりから、割と使われていて効果も高いんで、素直に取り入れて欲しかった。
 城に戻った住人も、情報を教えてくれたり、シナリオの進行を助けてくれたりするのではあるが、助けた喜びとしては、ちょっと弱い。

グラフィック

 プレイステーションのフルポリゴンという意味では出色の出来と言っていいだろう。ただ、パッケージの絵とゲーム中の武蔵が全然違う人なんだけど…
 カメラワークとも関わる事だが、店の看板が屋根の上にあるので、入り口は見えているけど看板は画面外なんてな状況が多く分かりづらい。小さくても入り口の近くに付けた方が結局分かりやすかったろう。
 看板に限らず、飛び降りられる崖とそうでないところの区別が分からないとか、工夫してないわけではないが惜しい感じのものが背景に散見される。

 フキダシで台詞が表示されるのだが、フキダシの中に顔グラフィックが表示される上に、シッポの方向も画面上のキャラクタとずれている事が多く、フキダシの意味無し。
 メニュー画面で、武蔵にフキダシが合っているのに明らかに武蔵の台詞じゃないものもあり、フキダシである意味を放棄していると言ってもいい。

 イベントシーンはムービーを使わず、プレイ中と同じリアルタイムポリゴンで進行する。
 それに、時々挿入されるミニゲームも、グラフィックに統一がとれている。
 ここらの統一は高く評価できるが、しゃべってる人以外も動いて誰がしゃべってるのか分かりにくい等、演出面に弱さを感じた。

システム

 色々とシステムがあるが、使える範囲が限定的で広がりに乏しい所がある。
 例えば、折角持ち上げのアクションがあるのに、敵の持ち上げ以外では使わなかったような…
 任天堂ゼルダの伝説シリーズと同じである必要は無いが、壷投げてガッシャンとか、草引っこ抜いたりとかしたい。
 使用範囲が限定的だと、時々しか使わないシステムで謎を解くことになり、そういうシステムが存在する事を発見する(思い出す)事が、一番の謎になりかねない。

 ゲットインという敵の能力を取り込むシステムは、敵の能力を取るという性質上、その敵がいる場所以外では使いづらい。
 ただ、ゲットインの他に五輪の書という魔法的な技もあるので、謎解きを複雑にしないためにも、ほとんどその場限りのゲットインシステムは、そう悪い判断でもない。

 リアルタイムに昼夜が変わり村人もそのリズムで生活しているのは、なかなか頑張っている。
 日本ファルコム風の伝説ザナドゥなんかで既に実現されているので、目新しいわけではないが。

 結局、システムはどこをとっても既に見たようなもので、しかも本作の方が優れていると言えるものでもない。逆に、そんなに外したこともやってないので、アクションRPGをあまりやってない人なら、それなりに面白いだろう。

 難易度は、おおむね低いのだが急に高い部分もあり、ちょっとばらつきがある。
 それにセーブポイントの配置が、どーも納得いかない。ボスの前後とイベントの前後には置いてほしいもんである。
 そんなわけで、ゲームバランスとしては、微妙なところ。

 そこで結論。

「それなりにも面白い、以上のものではない」