ソニックチームが挑む3Dアクションの新境地。
科学装備で身を固め、炎と戦うレンジャー達の活躍を描くノンストップSFアクション。
個人的にはコスチュームやメカが、ださカッコよく、往年のTVアニメ「テクノボイジャー」を彷佛させてよろしい。
炎を相手にすると言う基本設定もよく、映画「バックドラフト」の例もある通り、炎は緊張感を演出するのに又と無い素材である。
ゲームに相応しく、主題歌もかなり燃えるもので、ボーカルに光吉猛修を起用するあたり「解っている」
また、プログラム技術も非常に高く、滑らかにマップを表示し、重大なポリゴン欠けもない。
ゲームは3Dポリゴンで表現された災害現場を縦横無尽に探索し、人を助けつつ、炎を消火銃で撃って消すことで進行する。
おおまかに「ドゥーム」タイプの3Dシューティングの変型と考えて良い。
さて、3Dアクションゲームにおいて、最も重要な部分はカメラワークであると言っても過言では無い。
本作の場合、縦横に走り回りジャンプするゲームであり、しかも屋内が舞台であるため、カメラワークは非常に重要であると言える。
結論から言ってしまえば、「頑張ってるけどダメ」である。
あまりにキャラクターにカメラがより過ぎているし、少し上の角度から捉えておかないと、周囲の物体の位置を把握し辛い。特にジャンプが多いゲームだけに、上の様子が分かりにくいのは痛い。
このせいで、初めてのプレイでは勿論、かなり慣れてからも、何をやっているか判らない状態に陥ってしまう。
また、カメラが頻繁に回り込み過ぎ、操作性を落としている。
「スーパーマリオ64」は非常にうまくカメラワークを処理していたが、思いきって「ダークセイバー」のようにカメラの角度を固定してしまったり、「トゥームレイダース」のようにキャラクターの後方に固定するのも、一つの見識であると言えよう。
次にマップ構成がよくない。
最初からジャンプを多用させるように作ってあり、先ほど述べたカメラ位置の悪さと相まって、ストレスがたまる。
ミッション数が4ミッションと少ないこともあり、段階的に難易度が上がるような調整がされておらず、ミッション1と最終ミッションのレベルの違いはかなり小さいと言える。このため、展開が単調に感じられてしまったのは残念。
クリアするとジェネレート機能が働き、マップを生成するようになるが、コンピュータが生成したマップが、人間が作ったマップより良くできているはずも無い。
オートジェネレートでお茶を濁さず、CDを2枚にしてもミッション数を増やすべきだった。4ミッションはいかにも少ない。
また、このゲーム、キーの割り当てがあまり適切とは言えない。
特に水中や無重量状態でのキー配置は大いに間違っている。方向キーは旋回と上昇下降に使用し、ジャンプボタンで前進にするべきだった。カメラワークの悪さもあり、混乱することおびただしい。
3Dゲームでは、通常のアクションと視点切替用のキーが必要なため、勢い使用キーが多くなるものだが、このゲームでは、二個余っている。結果は余計に分かりにくくなっただけなので、下手に減らすより、全部使い切って、機能を割り振った方が良かった。
細かいことだが、クリスタルが消えていく時、小さくなっていって消えるのは良く無い。
3Dのゲームでは物体が小さくなっていもるのと、遠くに動いているものの区別ができないからだ。色が薄れていく等の処理にすべきだったろう。
ゲーム中、隊長のクリスがナビゲートしてくれたり、他の隊員からの連絡が音声で入るのは、なかなか雰囲気を高めてくれる。
指示は比較的適確なのだが、前後左右の指示は動き回っている時は分かりにくいことおびただしいので、画面にコンパスを表示し、東西南北で指示するようにしてほしかった。
オプションでは、これまでに助けた救助者が一人ずつ異なったグラフィックで一覧表示され、達成率を分かりやすく確かめられる上に、感情移入度も高まるようなうまい作りになっている。
また、救助者からメールが届いたりするのは、ゲーム中とは言え「消防士になって良かった」という気分にさせてくれる。
炎を相手にするゲームとしては「ファイヤーメン」という、知っている人は知っている名作がある。かの作品はストイックに炎を相手にしていて、男の消防魂ここにありって感じだった。
本作の場合はまず、主役とも言える、炎のバリエーションが少ない。災害現場では遭遇する危険に事欠かないと思うのだが。
さらには何故かボスのモンスターがいたりする。うーん、バーニングレンジャーは消防士じゃなかったのか。
ソニックチームだからといって、「コースを疾走後、ボスを倒してステージクリア」の構図を律儀に守ることも無いのに。
このことに限らず、ソニック的な作りが悪く出ている面が多く、「新しいゲームを作り損ねた」と言えるかもしれない。
色々と苦言を並べたが、基本的な部分ではかなり出来が良いので、一度プレイしてみる価値はある。
全体に開発を急いでしまったために、調整不足になった感がある。SEGAはもう少しじっくりと開発することも考えるべきであろう。
そこで結論。
「このままでは勿体無いので、もう一回作りなおすべき」
1998-12-12 1999-01-26