鬼武者

対応機種・周辺機器
プレイステーション2
ジャンル
戦国サバイバルアクション
著作・制作
(c)CAPCOM 2001

基本情報

 バイオハザードのシステムを基本に、刀による接近戦主体の攻撃に変更し、舞台を和風にしたもの。
 金城武がそれと分かるぐらいそっくりにモデリングされた主人公が大いに話題となった本作。
 果たして中味は話題のぶんだけあったのか?

バイオすぎる

 バイオハザード コード:ベロニカのレビューでも書いたけど、アナログスティックがあるのに十字キーでラジコン操作というのは辛い。
 コード:ベロニカで背景がリアルタイムポリゴンになってたのに、本作ではプリレンダの固定背景で、ちょっと退化しちゃった感もあるが、そのぶん非常に綺麗に作られている。
 プリレンダの宿命、壊せたり動いたりする背景は少なめで、書き割り感は否めない。わりと頑張ってるけど。

 犠牲者が残した文書で物語背景を伝えたり、鍵穴っぽいもの発見→キーアイテムを発見のコンボがメインとか、薬草で回復とか、その他細々したところまでバイオハザードっぽい。
 剣劇アクション以外のところで冒険しない、という堅実な作りと言える。

戦闘システム

 さて、本作の眼目である剣劇アクションのできはどうだろうか。
 流石にベルトスクロールアクションで、さんざん剣劇アクションを作ったカプコンだけあって、連続で斬る感覚が凄く気持ちいい。
 適当に斬っても、敵を追跡して斬り掛かってくれるし、防御すれば基本的に全方向からの攻撃を防ぐことができる。ヘタクソさんでも気分よくプレイできる。
 更に「一閃」という、相手の攻撃に合わせてタイミング良く攻撃仕返す事で、雑魚を一撃のもとに切り捨てる事もできる。
 ただ、あんまりプレイヤーにそういうシステムがある事を知らせようという努力がされておらず、折角のシステムも気付かずプレイした人も多そう。

 敵を倒すとアイテム(魂)が飛び散り、これを吸い込んで集める事で、体力・気力回復、経験値(的ななにか)となる。
 斬る・吸い込むのアクションが、単純に攻撃していくだけでないリズムを作り出しており、楽しい。
 また、全体としても武者(金城)とくノ一のプレイヤーがシーンによって入れ替わり、これもリズムを作っている。

 問題は飛び道具で、基本的に同一平面上の敵を撃っていたバイオハザードに対し、本作は上下位置にいる敵に対処するためにつかう。
 三人称視点なのに、左スティックで敵を狙って射つというのに無理があるし、武器の切り換えもいちいちメニュー画面に入らないとできないのもテンポ悪い。

プロモーションの上手さとか

 まず、金城武の顔そのまんまでゲームをプレイできるという話題作りが上手い。
 非常に分かりやすく従来のゲームとの差別化がされているし、ゲームにあまり興味がない層への訴求もある。
 日本語が棒でお馴染みの金城武なので、ゲーム内でもヘボいんだけど、開発期間の長いゲームで、当時旬であった俳優を使えたのは偉い。
 ちなみに、カプコンはマーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイターで憲磨呂(木梨憲武)を出演させるなど、この時期は芸能人起用に積極的。

 他にも、シーグラフにムービーを出品するなど、話題作りにがんばり、PS2初のミリオンセラーとなった。
 ゲームが良い上で、さらにどうしたら良いかというところをちゃんと考えて作られている。
 決して、芸能人のネームバリュー借りたどうしようもないゲームではない。

 だいたいクリアまで6時間ぐらいと、この時期のゲームとしては思い切った短さで、まとまりが良いのも魅力だ。

 そこで結論。

非常に高いプロデュース力で作られた、意外に中味は正統派アクション、傑作


2013-03-11