洋館に響くムチの音と、怪しく揺らめく蝋燭の明り、そして吸血鬼。
コナミの看板アクションゲーム「悪魔城ドラキュラ」が、ついに3Dアクションゲームとなった。これは、ファミコンのディスクによる2作目以外に大きなシステムの変更が無かった(と思う)シリーズに革命的な出来事である。
果たして、この変更は吉と出たか凶と出たか。
ドラキュラシリーズは、狭い足場をジャンプしていくタイプのゲームなので、距離感が掴みにくい3Dでは、ゲームとして成立させるのが非常に厳しいと言える。
このゲームの場合、ジャンプシーンでは2Dに近いカメラアングルを取ることや、大雑把に跳んでも大丈夫なマップにすることで回避している。
他にも色々工夫の後が見られるが、「そんなに苦労して3Dにする必要があったのかな」と言う気がしなくはない。
基本的なルールは、体力制で、飛び道具を使うにはアイテムによる制限があり、一度に一つの飛び道具しか持てない、ステージの最後にはボスが用意されているなど、ドラキュラシリーズのものを踏襲している。3Dに変えた上に、基本ルールまで変えてしまっては、ファンに「こんなのドラキュラじゃ無い」とそっぽを向かれかねないので、まず無難な選択であろう。
相変わらず、セーブポイントの配置が絶妙で、定位置復活型のゲーム作らせたら、コナミは抜群だなと思う。何度でもチャレンジする気にさせる長さを心得ている。
主人公は2人用意されていて、キャラクターによってマップがかなり異なるので、同じことをくり返している気分にはならないし、キャラクターによってプレイ感が異なるので、ある程度マップを共有しつつ、プレイヤーに新鮮味を与え、ボリュームを増加させることに成功している。
これが、一部のマップの入れ替え、キャラの入れ替えのどちらかだけだったら、退屈な印象を与えたであろう。実際これまでの「バンパイアキラー」や「悪魔城ドラキュラX」などの作品では、マップに変化が無いので、キャラ変更もオマケの域を出ていない。
3Dになったメリットとして、イベントシーンの演出の高度化と、ゲームシーンとの切れ目の無さが注目できる。
ただ、3Dになると、つい映画的にしたいという欲が出るのか、字幕風に会話が表示されるのだが、読みにくいし、ゲームとしては不自然な印象である。素直に会話ウィンドウを付けた方が良かったろう。
ドラキュラを3Dにして破綻なくまとめているのは素晴らしい。が、3Dにする必要があったのかな?と言う疑問が無くはない。
キャラクターイラストを梅津氏が担当しているのだが、ゲーム中のキャラは全てポリゴンだし、パッケージにも使って無いし、ほとんど意味無かったようなきもする。勿体無い。
そこで結論。
「ドラキュラは3Dでもドラキュラだった、秀作です」
2001-02-17